タニノギムレット
日本の競走馬・種牡馬
タニノギムレットは日本の元・競走馬、現・種牡馬。2002年の第69回東京優駿︵日本ダービー︶優勝馬である。馬主の谷水雄三は、かつてタニノハローモア、タニノムーティエで東京優駿を勝った谷水信夫の子息で、親子二代での東京優駿馬オーナーとなった。
タニノギムレット | |
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2002年5月26日、東京競馬場 | |
品種 | サラブレッド |
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
生誕 | 1999年5月4日(25歳) |
死没 | (現役種牡馬) |
父 | ブライアンズタイム |
母 | タニノクリスタル |
母の父 | クリスタルパレス |
生国 | 日本(北海道静内町) |
生産者 | カントリー牧場 |
馬主 | 谷水雄三 |
調教師 | 松田国英(栗東) |
競走成績 | |
生涯成績 | 8戦5勝 |
獲得賞金 | 3億8601万円 |
「ギムレット」とはジンをベースにしたカクテルの名前で、東京優駿レース後の優勝騎手インタビューで、武豊が「今日はギムレットで乾杯してください」と語っている。
戦績
2歳時代
育成時代は北海道浦河の吉澤ステーブルで鍛えられ、デビューは2歳の夏、札幌競馬場のダート1000m。そこでは2着に敗れ、それ以降冬まで休養し、12月に阪神競馬場の芝1600mで復帰し、2着に7馬身差をつけ初勝利。
3歳時代
そして明け3歳となり重賞初挑戦となったシンザン記念は、騎手に武豊を迎え優勝。続くアーリントンカップも3馬身半差をつけ優勝し重賞を連勝。さらに初の関東遠征となった皐月賞トライアル、スプリングステークスでは負傷の武豊に代わって四位洋文が騎乗、大外を通り豪快な末脚でテレグノシス並び掛けて首差の差し切り勝ち。
皐月賞では再び四位を背に、2.6倍の1番人気に推された。しかしレースでは、最終コーナーで一番外を大きく回るコースロスが響いてしまい、直線に入ってからほとんどの馬を抜き去る豪脚を見せるが、前の2頭を交わすことはできず3着に敗れた。勝ったのは好位から抜け出した15番人気のノーリーズンであった。このときの四位の荒い騎乗について、明らかな騎乗ミスであったとされることが多く、解説者も﹁タニノギムレットは1頭だけ100メートル余分に走っていた﹂と語った。勝ちタイムは1.58.5は皐月賞レコード、ノーリーズンの単勝は万馬券、2着にも人気薄のタイガーカフェが粘り切って馬連53,090円となった。
このまま東京優駿へ向かうものと思われたが、次走は中2週で3歳のマイラーが集まるNHKマイルカップにケガから復帰した武豊を鞍上に迎えて出走し、単勝1.5倍の1番人気に推された。いつもの通りの後方待機から直線に向くも、テレグノシスの悪質な斜行より進路をふさがる不利があり、進路を左右に変えながら追い上げたが、そのテレグノシスの3着に敗れた。この悪質な斜行に鞍上武豊は激怒したという。
引き続き中2週と詰まったローテーションとなるが、次走は東京優駿に出走。ここでも1番人気に推され、いつもの通りの後方待機から直線に向くと直線坂下から末脚を繰り出し、後に2年連続JRA賞年度代表馬となるシンボリクリスエスを差し切り優勝した。これで鞍上の武豊は史上初の東京優駿3勝目を挙げる。なお、レース前にタニノギムレットについて﹁馬は絶好調だし心配することはほとんどないが、杉本さんの◎︵馬券予想で本命印︶だけが唯一心配だ﹂と関係者が揃って言っていた。
しかし、秋シーズンを迎えて神戸新聞杯から菊花賞を目指すローテーションが組まれた直後に浅屈腱炎を発症し、引退した。
競走成績
年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | 騎手 | 斤量 | 距離(馬場) | タイム(上り3F) | タイム 差 |
勝ち馬/(2着馬) | ||
2001 | 8. | 5 | 札幌 | 2歳新馬 | 12 | 6 | 7 | 2.1(1人) | 2着 | 横山典弘 | 53 | ダ1000m(良) | 1:00.8(36.5) | 0.2 | レアパール | |
12. | 22 | 阪神 | 2歳未勝利 | 16 | 2 | 4 | 3.6(3人) | 1着 | 四位洋文 | 54 | 芝1600m(良) | 1:35.6(35.2) | -1.2 | (ハマノホーク) | ||
2002 | 1. | 14 | 京都 | シンザン記念 | GIII | 16 | 2 | 3 | 2.2(1人) | 1着 | 武豊 | 55 | 芝1600m(良) | 1:34.8(34.5) | -0.1 | (チアズシュタルク) |
2. | 23 | 阪神 | アーリントンC | GIII | 13 | 6 | 9 | 1.3(1人) | 1着 | 武豊 | 56 | 芝1600m(良) | 1:33.9(34.1) | -0.6 | (ホーマンウイナー) | |
3. | 17 | 中山 | スプリングS | GII | 16 | 6 | 11 | 1.3(1人) | 1着 | 四位洋文 | 56 | 芝1800m(良) | 1:46.9(34.5) | 0.0 | (テレグノシス) | |
4. | 14 | 中山 | 皐月賞 | GI | 18 | 6 | 11 | 2.6(1人) | 3着 | 四位洋文 | 57 | 芝2000m(良) | 1:58.8(34.8) | 0.3 | ノーリーズン | |
5. | 4 | 東京 | NHKマイルC | GI | 18 | 5 | 9 | 1.5(1人) | 3着 | 武豊 | 57 | 芝1600m(良) | 1:33.5(35.3) | 0.4 | テレグノシス | |
5. | 26 | 東京 | 東京優駿 | GI | 18 | 2 | 3 | 2.6(1人) | 1着 | 武豊 | 57 | 芝2400m(良) | 2:26.2(34.7) | -0.2 | (シンボリクリスエス) |
種牡馬として
現役引退後は種牡馬として、北海道安平町の社台スタリオンステーションに繋養され、社台ファーム所有の種牡馬では初のブライアンズタイム産駒となった。産駒は2006年から走り始め、初年度産駒のウオッカが第58回阪神ジュベナイルフィリーズを制して産駒の初GI勝ちを収め、更に64年ぶりに牝馬で第74回東京優駿を制覇するなど好調な出足を見せた。ウオッカとの父仔東京優駿制覇は史上5組目であり、父-娘の関係では史上初となる。
初年度からの好調な成績と、現時点ではマヤノトップガンやサニーブライアン、ナリタブライアン︵1998年死亡︶等、他のブライアンズタイム産駒の種牡馬から目立った後継が生まれていないこと、社台スタリオンステーションに繋養されるという環境から、現時点ではブライアンズタイムの最有力後継種牡馬として期待されている。血統的にもノーザンダンサーやミスタープロスペクターを含まず、サンデーサイレンスを父に持つ牝馬とも交配が可能で、加えてタニノギムレット自身が、ナスルーラやマームードといった名種牡馬と同じくムムタズマハルを牝系に持つ名牝系出身であることなどから、場合によってはブライアンズタイムの後継種牡馬としてだけではなく、ポストサンデーサイレンスの有力候補としても挙げられている。
2007年、この年は240頭に種付けを行い、この種付け頭数は当年の国内2位を記録した。12月13日に2008年の種付け料が100万円アップの400万円に設定されたことが発表された。
年度別繁殖成績表
- 中央競馬
年 | 出走 | 勝利 | AEI | 収得賞金 | |||
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頭数 | 回数 | 頭数 | 回数 | 順位 | |||
2006年 | 43 | 122 | 6 | 8 | 75 | 0.69 | 1億9469万9000円 |
2007年 | 128 | 561 | 41 | 25 | 18 | 1.14 | 9億5696万円 |
通算 | 171 | 683 | 47 | 33 | - | - | 11億5165万9000円 |
※2007年終了時点。
主な産駒
- 2005年産
血統表
タニノギムレットの血統(ロベルト系/Graustark3×4=18.75%、Sicambre 4×5=9.38%、Roman5×5=6.25%) | (血統表の出典) | |||
父 *ブライアンズタイム Brian's Time 1985 黒鹿毛 |
父の父 Roberto1969 鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to | |
Nothirdchance | ||||
Bramalea | Nashua | |||
Rarelea | ||||
父の母 Kelley's Day1977 鹿毛 |
Graustark | Ribot | ||
Flower Bowl | ||||
Golden Trail | Hasty Road | |||
Sunny Vale | ||||
母 タニノクリスタル 1988 栗毛 |
*クリスタルパレス Crystal Palace 1974 芦毛 |
Caro | *フォルティノ | |
Chambord | ||||
Hermieres | Sicambre | |||
Vieille Pierre | ||||
母の母 *タニノシーバード1972 栗毛 |
Sea-Bird | Dan Cupid | ||
Sicalade | ||||
Flaxen | Graustark | |||
Flavia F-No.9-c |
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