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[[ファイル:W daizu4091.jpg|200px|thumb|大豆の花]]
'''大豆'''︵学名: {{snamei|Glycine max 東アジア原産の[[ツルマメ]]が原種と考えられる。ツルマメは特に日本、中国、韓国に広く分布しており、歴史的に複数の地域で栽培化が始まった<ref name="島本義也">{{Cite journal|和書 | author = 島本義也 | year = 2000 | title = 三内丸山文化圏で育まれたダイズ: 葉緑体とミトコンドリアからみたダイズの起源 | journal = 育種学最近の進歩 | volume = 42 | pages = 157-162 | publisher = 養賢堂 | url = https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010700002 | issn = 03888177 | ref = harv }}</ref>。 30行目:
[[農作物]]として世界中で広く栽培されている。[[日本]]には[[縄文時代]]に存在したと思われる大豆の出土例があり、『[[古事記]]』にも大豆の記録が記載されている。
植物の中でも[[タンパク質]]を多く含有する<ref>{{Cite web ===連作障害===
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古くからの在来種・固定種が多く現存している。[[両性花]]なので[[自家受粉]]可能であり、自家採種のしやすい植物である。その反面、葉の黄化や生育不良や収穫減少などの[[連作|連作障害]]を起こしやすいため、隔年または2年ごと<ref>上野敏昭、渡辺耕造、石川元一、[https://doi.org/10.20768/jcskanto.1.0_51 転換畑における麦-大豆体系の転換期間] 日本作物学会関東支部会報 p.51-52, {{doi|10.20768/jcskanto.1.0_51}}</ref>に[[輪作]]を行ない、違う作物を作付けし、連作を避けるか、連作を行なうために土壌消毒や土壌改善を行う等の対策を練らねばならない。日本国内においては、このことが栽培規模拡大への障害のひとつとなっている。連作障害には{{仮リンク|ダイズシストセンチュウ|en|Soybean cyst nematode}}が関与していると考えられている<ref name=ktpps1999.2006.153>伊藤綾、竹内浩二、高木章雄 ほか、[https://doi.org/10.11337/ktpps1999.2006.153 東京都におけるエダマメのダイズシストセンチュウ発生実態] 関東東山病害虫研究会報 2006巻 (2006) 53 号 p.153-156, {{doi|10.11337/ktpps1999.2006.153}}</ref>。 それほど耐湿性が高い作物ではないため、稲作との輪作では水田地形特有の過剰な水分や冠水などがダイズの生育に影響を与えることがある。多くの場合、[[畝]]を高く盛ることで対応するが、アメリカの{{仮リンク|ミシシッピ川デルタ|en|Mississippi River Delta}}地帯などの大規模な[[湿地帯]]の農家では対応が難しく死活問題となる。このため、耐湿性の強さに着目した品種の導入や改良も試みられている<ref>{{Cite web === 根粒菌との共生 ===
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原産地は東アジアである。日本にも自生している[[ツルマメ]]が原種と考えられている。
遺伝学的研究によれば、東アジアの複数の地域で野生ツルマメからの栽培化が進行し、日本も起源地のひとつである<ref name="縄文時代のダイズ"/><ref name="島本義也"/>。2010年代の考古学的研究では、アジアでも他の地域に先駆けてダイズの栽培化が進行した可能性が判明しており他の起源地は中国や朝鮮半島である<ref name="縄文豆利用">{{Cite journal 中国や日本などでは[[米]]・[[ムギ|麦]]・[[アワ|粟]]・[[ヒエ|稗]](ひえ)・豆(大豆)が[[五穀]]として重用されている。
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=== 世界への伝播 ===
[[ファイル:Leiden University Library - Seikei Zusetsu vol. 18, page 023 - 穭豆 - Glycine max (L.) Merr., 1804.jpg|サムネイル|大豆、『[[成形図説]]』の挿絵(1804)]]
[[ヨーロッパ]] このようにダイズの伝搬が遅れたため、英語名の「{{en|Soy}}」は醤油が語源と言われる。
ダイズが伝播後19世紀にかけては、[[アジア]]圏以外では重要な[[農産物|作物]]とはみなされておらず、[[緑肥]]や飼料作物としての生産に留まっていた。20世紀に入り搾油用の需要が拡大していった。[[ヘンリー・フォード]]は、油脂の採取、繊維・プラスチックの開発目的で大豆農園を経営していた。[[作物]]︵油糧作物︶として注目されるようになったのは[[1920年代]]以降であり、ヨーロッパで食料として初めて収穫されたのは[[1929年]]とされる。アメリカで本格的にダイズが栽培されるようになったのは、[[1915年]]に{{仮リンク|ワタミハナゾウムシ|en|Boll_weevil}}の侵入によって[[アメリカ南部]]の[[綿花]]が大打撃を受け、それまでアメリカの製油業の中心であった[[綿実油]]が不足してからである。ワタに代わる新たな製油材料として、それまでも徐々に栽培を拡大させてきたダイズは一気に脚光を浴びることとなった。[[1920年代]]には[[製油]]用や[[飼料]]用としての需要の高まりにより、さらに大規模に栽培されるようになった<ref>{{Cite book | 和書 | title = ケンブリッジ世界の食物史大百科事典 | volume = 2 主要食物‥栽培作物と飼養動物 | others = 三輪睿太郎︵監訳︶ | publisher = 朝倉書店 | date = 2004年9月10日 | edition = 第2版第1刷 | pages = pp. 461-462}}</ref>。第二次世界大戦後、アメリカは世界最大の大豆生産国となったが、1973年に大豆の輸出規制を実施。大豆の消費の多くをアメリカからの輸入品に頼っていた日本は、輸入国の多様化を図る必要性に迫られた。当時の[[田中角栄]]政権は、[[ブラジル]]で放棄されてきた内陸部の[[サバナ (植生)|サバンナ]]地帯︵[[セラード]]︶に着目、大豆生産を働きかけたところ軌道に乗り、[[2010年代]]のブラジルはアメリカに匹敵する規模の大豆生産国となった<ref>{{Cite web タンパク質含有量の高いダイズ種子は用途が広く、様々な食品の製造に加工されている。そのタンパク質以外の成分である[[脂質]]からは食用油以外にも[[レシチン]]などが抽出され、利用されている。
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属名 {{snamei|[[ダイズ属|Glycine]]}} は[[リンネウス]]による命名である。本属の命名時、リンネウスはこの属内の種の一つが甘い根を持つことに気付いた。この甘味に基づいて、ギリシア語で﹁甘い﹂を意味する {{lang|el|γλυκός}} ({{lang|el-latn|glykós}}) をラテン語化した<ref name=":1">{{Cite journal|last1=Hymowitz|first1=T.|last2=Newell|first2=C.A.|date=1981-07-01|title=Taxonomy of the genusGlycine, domestication and uses of soybeans|journal=Economic Botany|language=en|volume=35|issue=3|pages=272–88|doi=10.1007/BF02859119|s2cid=21509807|issn=0013-0001}}</ref>。本属名は[[アミノ酸]]の[[グリシン]] ({{en|Glycine}}) とは直接の関係はない。 リンネウスは著者﹃ == 生産 ==
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===戦略物資としての大豆===
中国は世界の大豆生産量の6割を輸入する大消費地であるが、その輸入元の3割はアメリカ合衆国となっていた。2018年、両国間で貿易摩擦問題が深刻化し、アメリカが中国産品に追加[[関税]]を掛けることを予告すると、中国もアメリカ産大豆を含む[[報復関税]]対象リストを発表。春先には大豆市場の価格が2割近く下落する動きが見られた<ref>{{Cite web == 用途 ==
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以上のように大豆の第一次の用途で最大のものは加工用大豆の85%であり、未加工大豆の食用は4%に達しない。加工用大豆から生成されるダイズ油の食用分9.1%、醸造用などに使われる大豆粕1.14%を加味してもヒトの食用は総生産重量の約14%となっている。一方で飼料の用途では未加工大豆が6.53%、加工用大豆から搾油された後の副産物の飼料用大豆粕が65.76%で合計72.29%が使われており、重量の観点から大豆は重要な飼料作物のひとつといえる。一方で大豆の大部分が[[家畜]]飼料に使用されることから、中国のように、食料安全保障を確保するために家畜飼料中の大豆のシェアを削減するよう求める動きもある<ref>{{Cite web |url=https://www.caixinglobal.com/2022-09-22/to-ensure-food-security-china-calls-for-cutting-share-of-soy-in-animal-feed-101943378.html |title=To Ensure Food Security, China Calls for Cutting Share of Soy in Animal Feed |access-date=20220925}}</ref>。 ダイズ油のその他の利用は6.53%で、これは[[バイオマス燃料]]や化学工業用などである。近年は加工用大豆の需要が拡大し続けており、食用の比率は年々低下している<ref>{{Cite web 日本国内のダイズ消費量は2005年度に534万8000トンであり、このうち大豆油用が429万6000トン、食用が105万2000トンである。ダイズが基幹食料となっている日本では食用消費の占める割合が世界消費に比べかなり多くなっているが、それでも20%弱に過ぎない。日本国内の食用消費の内訳は、豆腐が49万6000トンで半数近くを占め、ついで味噌・醬油用が17万1000トン、納豆用が13万6000トン、煮豆や惣菜用が3万3000トン、その他が21万5000トンとなっている。国産大豆は食用消費の21%を占めている<ref>{{Cite book | title = 絵で見る‥食糧ビジネスのしくみ | pages = pp. 136-137 | author = 榎本裕洋、安部直樹 | others = 柴田明夫︵監修︶ | publisher = 日本能率協会マネジメントセンター | date = 2008年8月30日 | edition = 初版第1刷}}</ref>。 255行目:
{{栄養価 | name=だいず︵全粒、国産、黄大豆、乾︶<ref name=mext7>[[文部科学省]] ﹁[https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版︵七訂︶]﹂</ref>| kJ =1765| water=12.4 g| protein=33.8 g| fat=19.7 g| satfat=2.59 g| monofat = 4.80 g| polyfat =10.39 g| carbs=29.5 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=1.5 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=16.4 g| fiber=17.9 g| sodium_mg=1| potassium_mg=1900| calcium_mg=180| magnesium_mg=220| phosphorus_mg=490| iron_mg=6.8| zinc_mg=3.1| copper_mg=1.07| manganese_mg=2.51| selenium_ug =5| betacarotene_ug=7| vitA_ug =1| vitE_mg =2.3| vitK_ug=18| thiamin_mg=0.71| riboflavin_mg=0.26| niacin_mg=2.0| vitB6_mg=0.51| folate_ug=260| pantothenic_mg=1.36| opt3n=[[ビオチン|ビオチン︵B<sub>7</sub>︶]] | opt3v=27.5 µg| vitC_mg=3| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] ﹁{{PDFlink|[https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準︵2015年版︶]﹂}}</ref>。| right=1 }} {| class="wikitable" style="float:right; clear:right"
|+ 大豆100 g中の主な[[脂肪酸]]の種類<ref>[
|-
! 項目 !! 分量(g)
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{{hidden end}}
[[ファイル:Soybean-AAS.JPG|330px|thumb|'''ダイズ'''の[[アミノ酸スコア]]<ref>http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/</ref><ref>[﹃タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告﹄日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 ''{{PDFlink|[http://whqlibdoc.who.int/trs/WHO_TRS_935_eng.pdf Protein and amino acid requirements in human nutrition]}}'', Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]</ref>]] 大豆種子はタンパク質・脂質および炭水化物を豊富に含んでおり、主にその脂質とタンパク質を食用および飼料用に利用するために大規模に生産され利用されている。サポニンやイソフラボンも含まれている<ref>{{Cite web|和書|url=https://friday.kodansha.co.jp/article/123056|title=﹁野菜350g﹂は本当にカラダにいいの…?食生活のウソホント|publisher=FRIDAYデジタル|date=2020-07-16|accessdate=2020-11-27}}</ref>。 ダイズ種子[[貯蔵タンパク質]]の[[アミノ酸]][[残基]]組成において、含硫アミノ酸である[[メチオニン]]と[[システイン]]残基が少なく、それらは制限アミノ酸となっていると言われたことがある。そのため、タンパク質の有効利用効率を示す[[アミノ酸スコア]]や[[プロテインスコア]]を下げていると言われていた。 しかし、これらは成長期のラットに基づく数値であり、その後、ヒトに基づく数値に置き換えられ、具体的には、大豆の[[アミノ酸スコア]]が1973年には86点だったものが、1985年には100点と変更された。大豆は、[[牛乳]]や[[卵]]と同等の良質なタンパク質であるとの評価を得ている<ref>{{ 発酵性大豆食品の摂取量が多いほど総死亡リスクが低いとの指摘がある<ref>[https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8438.html 発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連]、現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。▼
=== 大豆油 ===
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ダイズ種子(大豆)はタンパク質や[[脂肪]]、[[鉄|鉄分]]、[[カルシウム]]など、[[ミネラル]]を多く含む。畑の肉と称されるほどタンパク質が豊富で、調理法によっては肉のような食感が得られるため、戒律によって食肉の扱いに慎重なイスラム教徒などに人気の食材となっている。 日本では色々な形に加工され、利用されている。まず、大豆を暗所で発芽させると[[モヤシ]]、未熟大豆を枝ごと収穫し茹でると[[枝豆]]、さらに育てて完熟したら大豆となる。大豆を搾ると[[大豆油]]、油を絞った粕は[[大豆粕]]として食用・醤油製造や飼料へ、煎って[[穀粉|粉]]にすると[[きな粉]]、蒸した大豆を[[麹|麹菌]]と耐塩性[[酵母]]で[[発酵]]させると[[醬油]]・[[味噌]]、また蒸した大豆を[[納豆菌]]で発酵させると[[納豆]]となる。熟した大豆を加水・浸漬・破砕・加熱したものを搾ると液体は[[豆乳]]、その残りは[[おから]]、豆乳を温めて[[ラムスデン現象]]によって液面に形成される[[膜]]を[[ゆば|湯葉]]、[[にがり]]を入れて[[塩析]]で[[タンパク質]]を固めると[[豆腐]]、豆腐を揚げると﹁[[油揚げ]]﹂﹁[[厚揚げ]]﹂、焼くと﹁[[焼き豆腐]]﹂、凍らせて﹁[[高野豆腐|凍み︵高野︶豆腐]]﹂となる。[[代替肉]]タンパク質源としても利用され[[食肉]]に似た食味の製品も作られる。大豆には[[サポニン]]等水溶性の低分子化合物やタンパク質性のプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターやレクチンなど {| class="wikitable" style="font-size:smaller;"
|+ 食用大豆の用途別使用量/1000 t (食料産業局食品製造卸売課の推計<ref>{{
! 年 !! みそ !! 醤油 !! 豆腐・油揚げ !! 納豆 !! 凍豆腐 !! 豆乳 !! 煮豆・惣菜 !! きなこ !! その他 !! 合計
|-
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|chapter=康平傷寒論解説17‥梔子豉湯 梔子甘草豉湯 梔子生姜豉湯 梔子厚朴湯 梔子乾姜湯}}</ref>、[[陶弘景]]校定による﹃名医別録﹄には﹁豉﹂として収載されている<ref name="gotou"/>。香豉には発汗作用、健胃作用があるとされ、香豉を含有する[[漢方薬]]には梔子豉湯、瓜蔕散などがある<ref name="gotou"/><ref name="matsuda"/>。本来、黒豆の発酵・乾燥品を用いるが、現在では納豆を乾燥させたものを代用する<ref name="matsuda"/>。 ===
多くの[[マメ科]]植物の種子と同様に、ダイズ種子中には、微量タンパク質を含み多様な機能を発揮する。[[プロテアーゼ]]・[[インヒビター]]([[プロテアーゼ阻害剤 (生物学)|プロテアーゼ阻害剤]]) ([[トリプシン 生で大豆を食べると、トリプシン・インヒビターなどにより消化不良で[[下痢]]を起こすことがある。
大豆乳の加熱処理について、100℃10分間の加熱処理した大豆乳には加熱未処理試料のトリプシン・インヒビター活性の約34%が残存し、また100℃20分間では約30%、120℃10分間では約10%、120℃20分間でも約5%のトリプシン・インヒビター活性が残存した<ref>松岡 博厚, 笹子 謙治、[[doi:10.3136/nskkk1962.19.262|大豆乳を利用したチーズよう食品の製造に関する研究]] 日本食品工業学会誌 Vol.19 (1972) No.6 P262-267</ref>。 392 ⟶ 390行目:
* [[ミヤギシロメ]]
* [[大白]](おおじろ)
* [[音更大袖]]
* [[フクユタカ]] - 日本のシェア第1位の大豆品種。主に[[豆腐]]用。
* [[エンレイ (大豆)|エンレイ]] - 日本のシェア第2位の大豆品種。主に豆腐用。
* 納豆小粒・一関在来・遠野在来・地塚・小娘・生娘 - [[納豆]]専用の小粒品種<ref>[http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/kaidai/kankouitiran/ichiran.html 農林水産研究文献解題] - No.27 大豆 自給率向上に向けた技術開発 - [http://rms2.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/kaidai/daizuNo27/27-1-6-2_h.html (2)極小粒・小粒納豆用育種]{{リンク切れ|date=2015年10月}}</ref>。
* [[小糸在来]]
* [[津久井在来大豆]]
== さまざまな大豆加工食品 ==
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雄の2型[[糖尿病]]マウスに[[ダイズサポニン|大豆サポニン]]Aグループと大豆サポニンBグループを別々に投与したところ大豆サポニンBグループに[[血糖値]]上昇抑制作用は認められたが大豆サポニンAグループにはその作用は認められなかった<ref>田中真実 ほか、[https://doi.org/10.11288/mibyou1998.12.1 ソヤサポニンBの血糖上昇抑制効果]」『日本未病システム学会雑誌』 2006年 12巻 1号 p.1-8, {{doi|10.11288/mibyou1998.12.1}}</ref>。
▲発酵性大豆食品の摂取量が多いほど総死亡リスクが低いとの指摘がある<ref>[https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8438.html 発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連]、現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。
===アレルギー===
大豆はアレルゲンの1つであり、日本のアレルギー原因食物の全年齢を対象とした調査分析では、大豆の割合は2008年には全体の1.5%で11位<ref>{{Cite report ===イソフラボン===
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大豆[[イソフラボン]]とは、大豆に含まれる[[ゲニステイン]]、[[ダイゼイン]]、[[グリシテイン]]などのイソフラボンの総称で、弱い[[女性ホルモン]]作用を示すことから[[骨粗鬆症]]や[[更年期障害]]の軽減が期待できる<ref>{{Cite journal|author=Nagata, C., Takatsuka, N., et al.|year=2001|title=Soy Product Intake and Hot Flashes in Japanese Women: Results from a Community-based Prospective Study|journal=Am. J. Epidemiol.|volume=153|issue=8|pages=p.p.790-793|issn=0002-9262|doi=10.1093/aje/153.8.790|url=http://aje.oxfordjournals.org/cgi/reprint/153/8/790|format=pdf|accessdate=2010-05-22}}</ref><ref>{{Cite journal|author=Kronenberg, F., Fugh-Berman, A.|year=2002|title=Complementary and alternative medicine for menopausal symptoms: a review of randomized, controlled trials.|journal=Ann. Intern. Med.|volume=137|issue=10|pages=p.p.805-813|id=PMID 12435217|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12435217|accessdate=2010-05-22}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=陳瑞東|year=2004|title=サプリメントの使い方・選び方‥更年期障害‥のぼせを中心に|journal=薬局|volume=55|issue=5|pages=pp.1848-4853|issn=0044-0035|url=http://www.nanzando.com/journals/yakkyoku/915505.php|accessdate=2010-05-22}}</ref>。 イソフラボンはヒトに対する悪影響も懸念されており(詳しくは[[イソフラボン]]を参照)、[[内閣府]][[食品安全委員会]]は、食品とサプリメントを合わせた[[一日摂取許容量]]を、一日あたり70 - 75mgに設定している<ref>[
[[乳がん]]の抑制として大豆麹が注目されている。乳がんの原因として[[エストロゲン]]過多がある。女性ホルモンのエストロゲンは多すぎるとDNAを損傷させ癌化の原因となる変異原性となるが、それを抑制する抗変異原性が麹や大豆、特に大豆麹の発酵食品にあることがわかった。乳がん発生率は西洋諸国よりも東洋諸国のほうが低い、これは大豆の摂取量が関係している。東洋人や菜食主義者など大豆を多く食べる人々は尿中のエストロゲンの排出量が多い。大豆イソフラボノイド化合物がエストロゲンと似た構造を有するために同様の生理作用をもたらすためだと考えられる。しかし、大豆製品の中でも作用に違いがあり、非発酵大豆や、発酵大豆でも納豆や醤油は抗変異原性が低く、味噌や[[テンペ]]の抗変異原性が高い。これは麹が生産するβ-グルコシターゼの活性により、イソフラボンの配糖体が[[アグリコン]]に変化することが関係していると考えられる。その効果が大豆麹の味噌では効果が強く、中でもベータグルコシターゼの活性が強い麹菌は﹁アグリコン﹂として流通している。一方で発酵大豆でも納豆ではβ-グルコシターゼの作用が弱く、醤油では変化したアグリコンがさらに変化してしまい抗変異原性が低くなると考えられる<ref>{{Cite journal|和書 | author = 今野 宏 | date = 2019-05 | title = 麹・その古くて新しいもの | journal = 応用糖質科学 日本応用糖質科学会誌応用糖質科学 | volume = 9 | issue = 2 | pages = 90-97 | publisher = 日本応用糖質科学会 | issn= 21856427 | url = https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010927903}}</ref>。 524 ⟶ 527行目:
===微量タンパク質===
生の大豆には微量含まれるタンパク質がいくつか存在する。その1つにトリプシン・インヒビターがあり、生の大豆で活性がある。生の大豆を飼料としてラットに大量摂取させると成長阻害や[[膵臓]]肥大が起こることが報告されている<ref>片山 徹之ほか、[[doi:10.11428/jhej1987.53.1139|呉の加熱工程に電子レンジ加熱を利用した豆腐のラットにおける栄養評価]]、日本家政学会誌、Vol.53 (2002) No.11 </ref>。この膵臓肥大は、腸内で阻害される[[トリプシン]]を補うための膵臓の機能亢進の結果として生じると考えられる<ref>麻生和衛、高橋芳雄、田中米二、[[doi:10.2508/chikusan.38.435|雛における大豆トリプシン•インヒビター(SBTI)の栄養阻害作用に関する研究]] 日本畜産学会報 Vol.38 (1967) No.10 P.435-442</ref>。生の大豆粉はラットの[[膵臓癌]]と相関するという報告があるが<ref name="ToxSci">{{cite journal|last1=Dethloff|first1=L.|last2=Barr|first2=B.|last3=Bestervelt|first3=L.|last4=Bulera|first4=S.|last5=Sigler|first5=R.|last6=Lagattuta|first6=M.|last7=De La Iglesia|first7=F.|date=May 2000|title=Gabapentin-Induced Mitogenic Activity in Rat Pancreatic Acinar Cells|journal=Toxicological Sciences|volume=55|issue=1|pages=52–59|publisher=Society of Toxicology|doi=10.1093/toxsci/55.1.52|pmid=10788559}}</ref>、加熱調理済みの大豆粉の発ガン性は認められていない<ref name="CanRes">{{cite journal|last1=Roebuck|first1=B. D.|last2=Kaplita|first2=P. V.|last3=Edwards|first3=B. R.|last4=Praissman|first4=M.|date=March 1987|title=Effects of Dietary Fats and Soybean Protein on Azaserine-induced Pancreatic Carcinogenesis and Plasma Cholecystokinin in the Rat|journal=Cancer Research|volume=47|issue=5|pages=1333–1338|publisher=American Association for Cancer Research.|pmid=3815341}}</ref><ref name="AdvExp">{{cite journal|last1=Roebuck|first1=B. D.|year=1986|title=Enhancement of Pancreatic Carcinogenesis by Raw Soy Protein Isolate: Quantitative Rat Model and Nutritional Considerations|journal=Advances in Experimental Medicine and Biology|volume=199|pages=91–107|publisher=Kluwer Academic|doi=10.1007/978-1-4757-0022-0_5|isbn=978-1-4757-0024-4|pmid=3799291|series=Advances in Experimental Medicine and Biology}}</ref>。ラットに与えられている大豆の量は、人間が通常摂食する量に比べてはるかに大きく<ref>{{cite journal|last1=Sarkar|first1=F.|last2=Banerjee|first2=S.|last3=Li|first3=Y.|date=November 2007|title=Pancreatic Cancer: Pathogenesis, Prevention and Treatment|journal=Toxicology and Applied Pharmacology|volume=224|issue=3|pages=326–336|publisher=Academic Press|doi=10.1016/j.taap.2006.11.007|pmid=17174370|pmc=2094388}}</ref>、また人間は生で大豆を食べず、調理することで微量なタンパク質の活性は極めて小さくなる。別の研究において大豆トリプシンインヒビターをラットとマウスに与えると、短期間︵28日間︶の実験において膵臓肥大を起こしたが、長期間︵95週間︶での実験では、マウスでは病変は観察されず、ラットでは膵臓病理が観察され、短期間の実験での膵臓肥大から長期間の病変形成は予測できないことが報告されている<ref>https://academic.oup.com/jn/article-abstract/119/11/1598/4738250?redirectedFrom=fulltext&login=false</ref>。豚に大豆トリプシン・インヒビターを含む餌を与えた研究では、6週齢と39週齢のどちらも膵臓細胞に影響がなく、血漿中のコレシストキニン、血清アミラーゼ活性などにも影響がなかった<ref>{{Cite journal|last=Garthoff|first=L. H|last2=Henderson|first2=G. R|last3=Sager|first3=A. O|last4=Sobotka|first4=T. J|last5=Gaines|first5=D. W|last6=O'Donnell|first6=M. W|last7=Chi|first7=R|last8=Chirtel|first8=S. J|last9=Barton|first9=C. N|date=2002-04-01|title=Pathological evaluation, clinical chemistry and plasma cholecystokinin in neonatal and young miniature swine fed soy trypsin inhibitor from 1 to 39 weeks of age|url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691501001211|journal=Food and Chemical Toxicology|volume=40|issue=4|pages=501–516|doi=10.1016/S0278-6915(01)00121-1|issn=0278-6915}}</ref>。またサルについてトリプシン・インヒビターによる膵臓肥大は観察されず、ラット、豚、サルにおいて加熱した大豆粉や分離大豆タンパクによる悪影響がなかったことが報告されている。2020年に公表された多目的コホート研究で、ヒトの非発酵性大豆食品摂取量と膵がん罹患リスクが関連していることが指摘されたが、発酵性大豆食品摂取量とは関連していないことが指摘されている<ref>[https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8492.html 大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連]、現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 == 環境への影響 ==
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