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'''チート'''︵''{{lang-en-short|cheat}}''︶とは騙す、欺くこと。[[コンピュータゲーム]]において、広義には制作者が意図しない方法や結果により使用者が意図的に公平性を損なわせる行為のこと<!--広義においては全てが﹁誤動作﹂﹁優位性﹂を伴うとは限らないことに注意-->。 狭義には、コンピュータゲームにおいて優位に進めるための︵バグ等を用いた︶[[不正行為]]または[[クラッキング (コンピュータ)|ハッキング]]行為のこと<ref name="onlinegame2011-152-153">中嶋謙互 ﹃オンラインゲームを支える技術 --壮大なプレイ空間の舞台裏﹄ 技術評論社、2011年、p152-153。ISBN 4-7741-4580-7</ref><ref name="binary-70">愛甲健二 ﹃たのしいバイナリの歩き方﹄ 技術評論社、2013年、p70。ISBN 4-7741-5918-2</ref><ref name="ITmedia20141127">[ 製作者が意図して組み込み・公開した機能は仕様でありチート行為とは称されないが、非公開機能や仕様バグ、実装バグを用いた「[[バグ技]]」はその名の通りチート行為である。
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== 概要 ==
コンピュータゲームにおいて、不正な[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]の実行を総じて﹁チート﹂と呼ぶ。一般には専用の改造ツールなどを使用するが︵[[#技術手法 技術手法以外に法的な妥当性が取り沙汰されることもある。技術的にチート行為が可能であっても、特に[[オンラインゲーム]]におけるチートは他のプレイヤーや運営会社に損害を与える場合もあり、ゲームの規約に違反する場合には不正行為であるだけでなく、[[不正アクセス]]とみなされる可能性もある。国の[[法律]]に違反する場合もあり、チートツールの販売者および使用者もアカウント停止だけでなく警察に摘発された例がある<ref name="yomiuri20160913">[https://web.archive.org/web/20160914184605/http://www.yomiuri.co.jp/national/20160913-OYT1T50051.html スマホゲーム不正﹁裏技﹂横行…ポケGOでも] 読売新聞 2016年9月13日</ref>。︵[[#対策と対応]]や[[#社会現象]]を参照︶。 またオンラインゲーム以外(オフラインでのプレイ)におけるチートでも、[[#事件となったチート行為|後述]]するように[[著作物]]であるソフトウェア内容の改変とみなされたケースもある。
なお、意図しない[[バグ]]の一種についてはチート行為の範疇には含まれない。コンピュータが外来[[ノイズ]]などで偶発的に誤動作を起こした場合、[[確率]]の問題からまれにそれが利用者にとって好ましい結果となりうるケースもあるが、これらはチート行為の範疇には含まれない。 [[チェス]]、[[囲碁]]、[[将棋]]では人間同士の対局においてコンピュータの手を参照([[カンニング]])する行為を「ソフト指し」と呼ぶ<ref name="shogiclub24-kiyaku-2016">{{Cite web|和書 |url=https://www.shogidojo.net/info/rule/soft/ |title=24ソフト指し取締委員会|利用規約 |publisher=日本将棋連盟公式 将棋倶楽部24 |date=2016-01-17 |accessdate=2023-07-23}}</ref><ref>{{Cite web|和書 |title=グルジアのチェス名人、スマホでカンニング |publisher=CNN.co.jp |date=2015-04-14 |accessdate=2015-04-24 |url=http://www.cnn.co.jp/showbiz/35063137.html}}</ref>。
== 語源と用法 ==
英語圏では、cheatは﹁ズル﹂や﹁騙す﹂ことを意味するごく一般的な単語であり、また日本語でいう﹁[[ペテン師]]﹂に相当する﹁不正を行う者﹂の俗称でもある。英語圏では[[wikt:浮気|浮気]]を意味する言葉としても広く使われている。 試験官を欺くことを意味する[[カンニング]]は[[和製英語]]で、英語では﹁cheating﹂と表現し、[[ポーカー]]ではブラフなどを含む一種のテクニックで他のプレイヤーを欺く行為をcheatと呼ぶ。[[ウエイトトレーニング]]においては動作に反動をつけて楽をすることで通常よりも重い負荷でトレーニングをする行為をcheatingといい、コンピュータゲームにおいては、ハッキングなどでシステムを欺く行為をcheat︵[[動詞]]︶あるいはcheating︵[[名詞]]︶と呼ぶ。 なお、チートを行うプレイヤーのことを'''チーター'''(''cheater'')と呼ぶ<ref>[
「コンピュータがチートをする」などの用法については[[#コンピュータ側の「チート」]]を参照。
=== サブカルチャー分野における用法 ===
{{出典の明記|date=2024年4月|section="1"}}
日本では2000年代後半からインターネット上で「チートを使ったように強すぎるキャラクター」という意味で「チート」ないし「チートキャラ」と表現する比喩的な用法が登場した。[[シモ・ヘイヘ]]や[[ハンス・ウルリッヒ・ルーデル]]といった実在の人物に対して使われるときには「リアルチート」という表現も存在した。
その後、[[ライトノベル]]やそれを原作とする[[漫画]]・[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]などの作中において、主人公が異世界に転移・転生する際に、その世界の神が主人公にだけ特別に強力なスキルを授けたり、主人公が現代の進んだ知識を異世界に持ち込んだりすることを、「転生チート」「神様チート」「知識チート」などと表現するようになった。それらは正当な努力なしに破格の能力を得ることを「チート」にたとえたものである。
{{Seealso|なろう系|{{intitle|"チート"}}}}
== 「改造」との違い ==
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バグ技と異なり正規の実装である[[裏技]]([[隠しコマンド]])を用いる機能は、狭義においてチートの定義からは外れる。一方で非公開かつプレイヤーの使用を意図されていない機能に関しては、実装として存在していてもゲーム本来の公平性から逸脱するためチートと呼ばれる。
また一部のゲームにはプログラム内に一定の予定された機能として、﹁'''チートモード'''﹂と呼ばれていた付加機能が追加されている場合がまれにあった<ref>﹃[[ライオットアクト (コンピュータゲーム)|ライオットアクト]]﹄など︵アップデートおよびDLC導入が必要になる︶。</ref>。これらはプログラム制作者が意図的にプログラムの[[おまけ]]として付加したものであるため、本来のチートとは意味が異なるが、元々のプログラムにはない使い方が提供されている。またPCゲームのコンソール画面から入力する、デバッグのために用いられるコンソールコマンドもこれに該当する。 こういった機能はゲーム本編をクリアしたり特定の条件を達成すると利用できるゲームが多い。
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そして、コンピューターの性能が段違いにアップしてきた2000年以降は、プレイヤーが負けてくるとアイテムを出して楽しくプレイさせたり、敵キャラクターを弱くするなどの救済措置を用意するのもある。
これらはゲームの難易度を調整するテクニックだが、プレイヤー側とコンピュータ側とで確かな不公平が存在することになり、行うほどにそれを増やしてしまう手法になるので、あまりにできが悪い場合 === チートモード ===
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チートにはいくつかの手法が存在する。なお、ゲーム提供側の防止策については[[#対策と対応]]を参照。
=== ハードウェアチート ===
外部周辺機器を使用したものをハードウェアチートと呼ぶことがある。例えば、連射機能付きゲームコントローラーや、マクロ機能のあるマウスやキーボードなどが上げられる。連射機能は、人力では不可能な速度で連打を行うため、格闘ゲームなどで気絶状態から瞬時に回復したり、FPSでは連射が効かないはずのセミオートライフルがフルオートなみに発射されることになる。マクロにコマンドを事前登録しておけば相手より先んじることが可能となる これらは、発見や対処が困難であり、また機能自体は不正かどうか曖昧であるために放置されがちだ。例えば、マウスのマクロ機能は、キーを連打するように設定しなければ、キーバインドの変更の範囲に収まるし、RTSやMMOではマクロ機能がゲーム側に備わっている場合もある。対処された例としては、﹃[[コール オブ デューティ ブラックオプス]]﹄で、セミオートライフルで一定速度以上で連射すると、弾詰まりが起こるように修正された例がある。 ;コンバーター(変換器)
近年のハードウェアチートの一種として、コンバーターと云われるものも存在する。これは主にコンシューマーゲーム機において、[[マウス (コンピュータ)|マウス]]・[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]をコンバーターを経由させる事によって[[ゲームパッド]]と誤認識させる装置である。これによって得られる機能は、操作性の優れたマウス・キーボードを使用しつつ、パッドでしか得られない効果を同時に発揮させる事ができる。使用例としては、特にFPSゲームというジャンルにおいて、ゲームパッドはマウスよりもエイム操作性が劣るため、その救済措置として敵に自動で照準を合わせる[[オートエイム|エイムアシスト]]が備わっているゲームタイトルが多い。このエイムアシストは操作性の優れたマウス操作では無効化されるが、パッドと誤認識させるコンバーターを通す事によって、マウスで操作しているにも拘らずエイムアシストの恩恵を受ける事ができる。PCチーターと同様に、コンバーターも撃ち合いで圧倒的有利に働きゲームバランスが崩壊するため、オンラインFPSゲームで禁止されている場合が多い<ref>[https://fpsjp.net/archives/377618 エーペックスレジェンズ‥CS機の非公認コンバーターは完全禁止、EA/Respawnの最新公式見解]</ref><ref>[https://game.watch.impress.co.jp/docs/kikaku/1284138.html Switch版﹁フォートナイト﹂2,000時間プレイの凄腕中学生、﹁GameSir VX﹂のマウス&キーパッド環境でさらなる上達なるか!?]</ref><ref>[https://www.gamespark.jp/article/2020/12/14/104626.html ﹃スペルブレイク﹄コンバーター使用のチートも報告対象―﹃Apex Legends﹄では全面禁止に]</ref>。 === ソフトウェアチート ===
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例えば[[ファーストパーソン・シューティングゲーム|FPSゲーム]]で、本来プレイヤーが所持していない武器の銃弾を発射したり、他のプレイヤーが銃弾を発射したかのように誤解させる行為などだ。[[チャット]]機能が備わったオンラインゲームでは、発言時に表示されるプレイヤー名を改ざんし、他のプレイヤーになりすました発言を行うこともある。 チート対策でサーバー側を監視することは広く行われるが、パケットハックされた場合、サーバー側で受け取るパケットは正常なプレイ結果と見分けが付かない場合がある<ref>{{Cite web|和書|url=https://app.famitsu.com/20160226_661874/|title=サイファー・テックがスマホアプリメーカー向けに“チート被害把握キャンペーン”を開始|publisher=ファミ通App|accessdate=2018-01-28|date=2016-02-26}}</ref>。 ;その他
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ここでは、不正行為として行われるチートを防ぐため、ゲームを提供している企業側の対応や対策について述べる。
例えば、利用規約上でチートやバグ技を明確に禁止した上で、これに違反した場合はアカウントの抹消ないし停止などの処罰を課すなどの手段がある。実際にチートを行ったプレイヤーに対し、利用規約違反として[[アクセス禁止]]やアカウント抹消・強制解約を実施した例もある<ref name="gamewatch20030109">[
一方で、チートを行ったプレイヤーをゲームから完全に締め出すのではなく、チートを行うプレイヤーにもゲームをプレイする一定の機会・権利を認めるゲームおよび提供企業もある<ref>[
技術的な対策として、各プレイヤーのデータをチェックするプログラムをゲームソフトウェア内に追加したり、外部からはデータを不正に変更できないよう、通信の[[暗号|暗号化]]やデータをサーバで管理するなどの設計する様式が一般的だ<ref name="binary-70" />。[[アンチウイルスソフトウェア|ウイルス対策]]などと同じく、オンラインゲームのプログラム実行中に常駐して、チートの原因となる不正行為を監視するアンチチートソフトウェア(例:『[[PunkBuster]]』)やメモリ上の数値を常時監視して不正が検知された場合に処理を停止させる機能を持ったゲームソフト(例:『[[メタルギアソリッド ポータブル・オプス+]]』)が存在する。だが、その一方でこれらのソフトウェアの脆弱性や欠陥を突いて、機能を無効にするなどの行為も存在する。チート行為の影響を、できるだけ小さくするためのサービスを提供したり<ref>[http://www.gameguard.jp/ GameGuard] など</ref>、[[コンサルティング]]を実施している企業もある<ref>[
チート行為と防止策は[[いたちごっこ]]の関係にあり<ref name="yomiuri20160913" />、原理的に防ぐことができないことを指摘する声もある<ref name="onlinegame2011-156-157">中嶋謙互 ﹃オンラインゲームを支える技術 --壮大なプレイ空間の舞台裏﹄ 技術評論社、2011年、p156-157。ISBN 4-7741-4580-7</ref>。 135 ⟶ 142行目:
チートは不正な行為として処罰の対象とされる場合もあるが、ツール類や操作手段を解説した本も販売されている。作者不詳のチートプログラムが[[インターネット]]上で流布されているが、これらチートプログラムと偽って[[コンピュータウイルス]]や[[スパイウェア]]といった[[マルウェア]]も出回っている<ref>[http://www.asahi.com/national/update/0909/TKY201309090420.html ウイルス作成容疑、中高生を書類送検 IDなど不正取得] 朝日新聞デジタル 2013年11月14日</ref>。 特に、オンラインゲームを含む[[サーバ]]への接続を前提としたサービスでは、クライアントソフトウェア(→[[端末]])の改変による不正な情報の送信を行った場合に[[不正アクセス]]とみなされる場合もある。日本の場合、神奈川県警が2014年6月にゲーム改編のための不正プログラムの使用者に対し[[信用毀損罪・業務妨害罪#電子計算機損壊等業務妨害罪|電子計算機損壊等業務妨害]]容疑を初めて適用し摘発を行っている<ref>{{Cite news|url=http://www.asahi.com/articles/ASG6T52BTG6TULOB016.html|title=ゲームで不正プログラム使用、業務妨害容疑で書類送検|publisher=朝日新聞社|date=2014-06-25|accessdate=2014-06-29|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140628212109/http://www.asahi.com/articles/ASG6T52BTG6TULOB016.html|archivedate=2014年6月28日|deadurldate=2017年9月}}</ref>。また2015年5月にはツールと称した不正プログラムの販売に対し不正競争防止法違反(技術的制限手段回避装置提供)容疑で兵庫県姫路市の30歳男性が摘発されている<ref>オンラインゲームで不正プログラム、販売行為で初摘発、容疑で兵庫の男逮捕、警視庁(産経新聞2015年5月13日)[https://web.archive.org/web/20150513115529/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150513-00000535-san-soci]</ref>。
2018年4月、[[デル]]が[[中国]][[北京市|北京]]で新製品発表会を行った際、﹃︵チートプログラムを入れて楽しむ︶狂ったゲーマーでさえも満足できる性能を実現する﹄と説明を行ったが、後に説明が適切でなかったとして撤回した<ref>[https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1115334.html Dell、“狂ゲーマー”でも満足できるゲーミングノート﹁G﹂シリーズ] PC Watch 2018年4月4日</ref>。 173 ⟶ 180行目:
* ハイパーテック([http://www.hypertech.co.jp/products/crackproofge/ クラックプルーフゲームエディション])
* コーボー・ホールディングス([http://www.cobohd.co.jp/cheat.html チート対策ソリューション])
==チートをテーマとした作品==
* [[NHK Eテレ]]『[[ねほりんぱほりん]]』「元チーター」 2023年11月10日放送<ref>[https://www.nhk.jp/p/nehorin/ts/N1G2WK6QW5/episode/te/1JW39154V3/ 元チーター - ねほりんぱほりん] NHK</ref>
== 脚注 ==
180 ⟶ 190行目:
*ネットゲーム チートRMTの教科書 ISBN 4887188242
*『Cheating: Gaining Advantage in Videogames』Mia Consalvo, The MIT Press, 2007
*[
== 関連項目 ==
*[[脆弱性検査ツール]]
*[[ドーピング]] - [[スポーツ]]における不正行為。
*[[隠しコマンド]]、[[デバッグ#ツール|デバッグ・モード]]
*[[マジコン]] - [[カスタムファームウェア]]
*[[ピンボール#揺らし]]、[[パチンコ#不正改造・遠隔操作等の問題]]、[[ゴト]]
*[[クラッキング (コンピュータ)|クラッキング]]
190 ⟶ 202行目:
*[[プロアクションリプレイ]]
*[[ステルスゲーム]]
*[[eスポーツ]]
*[[バグ]]
*[[裏技]]
197 ⟶ 210行目:
{{DEFAULTSORT:ちいと}}
[[Category:コンピュータセキュリティ
[[Category:コンピュータゲームプレイ]]
[[Category:著作権侵害]]
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