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{{改名提案|Fランク大学|date=2024年6月}}
'''ボーダーフリー''' ([[和製英語]]:Border Free)とは受験用語の一つである。また、この用語から派生した「'''Fランク大学'''」についても解説する。
[[予備校]]の[[河合塾]]は、各[[大学]]の個別試験において、合格者と不合格者の割合が50%ずつになる偏差値帯︵[[学力偏差値#平均偏差値とボーダー偏差値|ボーダー偏差値]]︶を算出・設定し、16区分に分類した難易予想ランキング表<ref group="注釈">37.4以下、37.5~39.9、40.0~42.4、42.5~44.9、45.0~47.4、47.5~49.9、50.0~52.4、52.5~54.9、55.0~57.4、57.5~59.9、60.0~62.4、62.5~64.9、65.0~67.4、67.5~69.9、70.0~72.4、72.5以上の16区分。37.4以下の偏差値帯は便宜上35.0で表示。 河合塾が独自に実施する﹁全統模試﹂の偏差値を基準としている。</ref>を作成しているが、そのなかで偏差値35未満の区分を﹁'''ボーダーフリー︵略称BF︶'''﹂と呼ぶ<ref name=":4">{{Cite web|和書|title=入試難易予想ランキング表 {{!}} 志望校をさがす {{!}} 河合塾 Kei-Net |url=https://www.keinet.ne.jp/university/ranking/ |website=www.keinet.ne.jp |accessdate=2022-01-15}}</ref><ref name=":11">{{Cite web|和書|title=バカでも入れる? 偏差値35未満﹁Fラン大学﹂が定員割れの進む﹁大学全入時代﹂に増えた実態と今後 |url=https://allabout.co.jp/gm/gc/488360/ |website=[大学受験] All About |access-date=2022-07-01 |language=ja}}</ref>。 '''{{Main|学力偏差値}}'''
合格者と不合格者の割合が50%ずつになる偏差値帯︵[[学力偏差値#平均偏差値とボーダー偏差値|ボーダー偏差値]]︶が算出できない大学・学部が急増したことで作成された区分である<ref name=":12">{{Cite web|和書|title=Fランク大学が都市部で消滅へ~激戦の大学受験事情とは︵石渡嶺司︶ - 個人 |url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f8245c3972fd76fe0a72ee9ee0abd2e9409cb89a |website=Yahoo!ニュース |access-date=2022-08-30 |language=ja}}</ref>。模擬試験において志願者数が少ない定員割れや定員割れ予備軍の大学には、偏差値は付かなくなっていき、最終的に﹁ボーダーフリー﹂となる<ref>{{Cite web|和書|title=増加する﹁Fランク大学﹂、“ボーダーフリー”時代の大学の選び方 |url=https://diamond.jp/articles/-/314990 |website=ダイヤモンド・オンライン |date=2022-12-22 |access-date=2023-08-31 |language=ja}}</ref>。 学生の就学動機や学力、学習観が多様化する中で、特に「受験さえすれば合格できる確率が高い大学、すなわち事実上の全入状態にある大学」は'''ボーダーフリー大学(BF大学)'''と呼称される<ref>{{Cite journal|author=菊池 美由紀|year=2020|title=ボーダーフリー大学におけるキャリア科目担当教員のストラテジー|journal=教育社会学研究|volume=107|page=27-47|DOI=10.11151/eds.107.27}}</ref><ref name=":1">[https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/2/28640/20141016164932326500/BullGradSchEduc-HiroshimaUniv-Part3_58_27.pdf ボーダーフリー大学における学生調査の意義と課題] [[広島大学]]</ref><ref>{{Cite web|和書|title=九九が言えない学生も…大学のバカ化が凄いことに {{!}} 女子SPA! |url=https://joshi-spa.jp/438056 |website=女子SPA! |date=2016-02-08 |accessdate=2022-01-15 |language=ja}}</ref>。
==Fランク大学==
「ボーダーフリー」から派生し、低偏差値大学への呼称として'''Fランク大学'''(Fランク、Fラン)という言葉が生まれた'''<ref name=":3" /><ref name=":6">{{Cite web|和書|title=まるで小学校? 低レベル学生を過剰に“おもてなし”するFラン大学の実態 {{!}} マネーポストWEBマネーポストWEB |url=https://www.moneypost.jp/542487 |website=マネーポストWEB |date=2019-05-27 |accessdate=2022-01-15 |language=ja}}</ref><ref name=":1" />'''。
[[広義]]では、大学数の増加によって、「入学者の基礎学力が十分ではない大学」を意味し<ref name=":11" />、インターネットを中心に「偏差値の低い大学」という意味でも使われる<ref name=":12" />。<br>同年代学力平均を越えている偏差値帯の[[中堅|中堅大学]]を「Fランク大学」と呼ぶ場合があるが<ref name=":9">{{Cite web|和書|title=日東駒専レベルは低いと言うSNSに騙されてはいけない! - 予備校なら武田塾 茂原校 |url=https://www.takeda.tv/mobara/blog/post-148276/ |website=武田塾 |access-date=2022-07-02 |language=ja}}</ref>、実態に即していない用法である<ref name=":5">Fランク化する大学p13(小学館新書)音真司</ref><ref name=":9" /><ref name=":0">危ない大学・消える大学p23-26. 2008年、島野清志</ref>。
===Fランク大学の背景・実情===
大学経営側に注目すると、Fラン大学の経営は特に[[貸与型奨学金]]に支えられているとの指摘がある<ref name=":3">{{Cite web|和書|title=奨学金が支える﹁Fランク大学﹂の葛藤と不安 {{!}} 奨学金制度はどうあるべきか |url=https://toyokeizai.net/articles/-/114808 |website=東洋経済オンライン |date=2016-04-26 |access-date=2022-07-01 |language=ja}}</ref><ref name=":14">[[舞田敏彦]]博士 (2017年4月21日). “データえっせい: [http://tmaita77.blogspot.com/2017/04/blog-post_21.html 大学タイプ別の奨学金利用率・延滞率]”. データえっせい</ref>。 上位大学卒業生と比較して、下位大学卒業生ほど大卒学歴が欲しいばかりに奨学金で無理をして入ったものの卒業後は返せない状態に陥るケースが多い。そのため、[[奨学金]]の延滞率が最も高くなっている層である<ref>﹁[http://tmaita77.blogspot.com/2017/04/blog-post_21.html?m=1 大学タイプ別の奨学金利用率・延滞率]﹂[[舞田敏彦]] (2017年4月21日).﹁大よそランクが下がるほど,奨学金の延滞率が高くなっています。Aランクでは0.91%ですが,Fランクでは2.69%,およそ37人に1人です。﹂﹁大卒学歴が欲しいばかりに,奨学金という借金を背負って,無理をして入ってくる。卒業後,それが返せなくて人生が破たんする。﹂ </ref>。 大学ランクが下がるほど貸与型奨学金の滞納率が高くなっており、大卒学歴が欲しいために借金で無理をして入って卒業後に返せなくて人生が破綻する流れが多くなっている<ref name=":8">{{Cite web|和書|title=データえっせい: 大学タイプ別の奨学金利用率・延滞率 |url=http://tmaita77.blogspot.com/2017/04/blog-post_21.html |website=データえっせい |date=2017-04-21 |access-date=2022-07-01 |last=[[舞田敏彦]]}}</ref>。貸与型奨学金の延滞率の高低において、地方の私立大学卒業生は高い一方で、国公立大学卒業生は地域にかかわらず延滞率ランキング下位に固まっており、卒業後の経済的堅実さの傾向がある<ref>{{Cite web |title=独自集計!全大学﹁奨学金延滞率﹂ランキング |url=https://toyokeizai.net/articles/-/168512 |website=東洋経済オンライン |date=2017-04-20 |access-date=2024-05-23 |language=ja}}</ref>。 ====Fランク大学の学生の就職事情====
また、卒業したとしても就活においても、履歴書提出時点で[[学歴フィルター]]に引っ掛る可能性が高いとされる<ref name=":5" /><ref name=":7">{{Cite web|和書|title=Fラン大学の学生、就活の敵は「学歴フィルター」だけではない {{!}} マネーポストWEBマネーポストWEB |url=https://www.moneypost.jp/295189 |website=マネーポストWEB |date=2018-07-10 |accessdate=2022-01-15 |language=ja}}</ref>。
大学生[[ホワイトカラー]]内定率悪化の背景はFラン大学生数が増えたからであり、中堅大学以上であれば、昔に比べても就職難易度は変わっていないと指摘されている<ref name=":0" /><ref name=":10">{{Cite web|和書|title=大学生ホワイトカラー内定率悪化はFラン大学生数増えたから|url=https://www.news-postseven.com/archives/20110116_9723.html|website=NEWSポストセブン|accessdate=2020-07-17|language=ja}}</ref>。
====Fランク大学誕生の背景====
[[1990年]]の大学進学率は24.6%であったが、[[2007年]]時点で大学進学率は47.2%と約2倍となっている<ref>https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/11-3/dl/06.pdf</ref>。[[2009年]]時点で私立大の46.5%・短期大学の69.1%が[[定員割れ]]となっている<ref>{{Cite web|和書|title=私学を取り巻く経営環境‥文部科学省 |url=https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/005.htm |website=www.mext.go.jp |access-date=2022-08-30}}</ref>。 その後の一時期は、定員厳格化、共通テスト、東京都23区内の定員抑制措置の効果で、都市部の私大における定員割れは[[2014年]]の45.8%が2019年時点ではピークとなった<ref name=":12" />。2019年度は定員割れの大学が33.0%に低下し<ref name=":12" />、高等教育無償化法の認定校基準である「定員充足率80%未満が3年以上」という大学は122校(2014年)から51校([[2019年]])にまで減少した<ref name=":12" />。[[2022年]]時点で定員割れを理由に[[倒産]]した私立大学は15校である<ref name=":13">{{Cite web|和書|title=“受験生に2万円給付”案がネットで賛否 「Fラン大学無償化は税金の無駄」主張のひろゆき氏と考える、大学進学の意味 {{!}} 国内 |url=https://times.abema.tv/articles/-/8628284 |website=ABEMA TIMES |access-date=2022-08-30 |first=ABEMA TIMES |last=編集部}}</ref>。
しかし、[[2023年]]8月には定員割れの大学︵'''未充足校'''︶は前年比37校増の320校となり、[[日本]]国内の大学全体に占める割合は53.3%と、調査開始以降初の5割超えという'''過去最多'''を更新した<ref>{{Cite web|和書|title=定員割れの私立大53.3%…過去最多を更新︵リセマム︶ |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/1e881e06f3898f2d1aba518b3f388acd51d0ad3d |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-08-31 |language=ja}}</ref>。 更には、日本では2009年以降から[[大学全入時代]](大学進学希望者を入学定員総数が上回る時代)に突入したが、このままの[[少子化]](出生数減)が続くと受験生自体が減っていくため、大学進学率が2023年度と同値のままだとしても2042年度には[[MARCH (学校)|MARCH]]が[[日東駒専]]レベルへ、日東駒専は[[大東亜帝国]]レベルに、そして大東亜帝国は受験生が消滅する試算が出ている<ref>{{Cite web |title=出生数減の日本…。18年後、MARCHは日東駒専レベルに?日東駒専がFラン大になり大東亜帝国は消える [大学受験] All About |url=https://allabout.co.jp/gm/gc/503149/ |website=All About︵オールアバウト︶ |access-date=2024-05-23 |language=ja}}</ref>。 ==海外の類似表現==
[[海外]]にも類語が存在し、[[アメリカ合衆国]]や[[イギリス]]では無価値など見なされている講義や大学を﹁[[ミッキーマウス]]学位︵英語‥[[:en:Mickey_Mouse_degrees|Mickey Mouse degrees]]︶﹂がある。ミッキーマウスは[[英語]]の[[俗語]]的な[[形容詞]]として、重要でない、取るに足りない、︹科目・講座などが︺単位の取りやすい、︹学校の[[宿題]]や課題︺簡単な、などの意味がある<ref>{{Cite web|和書|title=英辞郎 on the WEB |url=https://eow.alc.co.jp/sp/search.html?q=mickey&pg=1 |website=eow.alc.co.jp |accessdate=2022-01-15 |quote=︿米俗﹀重要でない、ささいな、取るに足りない︿米俗﹀︹科目・講座などが︺単位の取りやすい、︹学校の宿題や課題︺簡単な}}</ref>。 [[カナダ]]では、鳥コース(bird courses)が「ほとんど勉強や知的能力を必要としない」講義を指す<ref>Barber, Katherine (2008). Only in Canada, You Say. Don Mills, Canada: Oxford University Press. p. 215. {{ISBN2|978-0-19-542984-8}}.</ref>。
[[大韓民国|韓国]]では、Fランと似たような表現に「地方にある雑多な大学」([[韓国語]]:{{lang|ko|지방소재의 잡다한 대학(地方所在의 雜多한 大學)}} 、略称として[[:ko:지잡대|지잡대]](地雜大)と呼ばれる<ref>{{Cite web|和書|title=韓国のFランに通う学生がかえって幸福な理由 |url=https://news.livedoor.com/article/detail/18878332/ |website=ライブドアニュース |access-date=2023-08-31 |language=ja}}</ref>。
[[中華人民共和国|中国]]では、もともと偽物の学歴を売る詐欺こと﹁ニセ大学﹂を表す言葉﹁[[野鶏大学]]﹂があって、語源は英語の[[ディプロマミル]]から来ている。転じて﹁本物の大学だが、卒業しても意味がない大学﹂も﹁野鶏大学﹂を呼ぶ傾向が近年には増えている<ref>{{Cite web |title=その数400校! 中国で﹁ニセ大学﹂による入試詐欺が増えている理由 |url=https://bunshun.jp/articles/-/10937 |website=文春オンライン |access-date=2024-03-14 |language=ja |first=安田 |last=峰俊}}</ref>。また、﹁楽単﹂や﹁何もしなくても単位を取れる授業﹂のことを﹁水課﹂と言い、﹁楽で卒業できる修士︵硕士︶、博士﹂は﹁水硕﹂﹁水博﹂と言うなど、﹁質が低い、ハードルがない﹂ことを﹁水﹂を付ける造語で言うことが多い<ref>{{Cite web |title=︻ニュース・中国︼教育部‥本科教育を全力指導!専門家‥根源の改革が先 {{!}} JSPS海外学術動向ポータルサイト |url=https://www-overseas-news.jsps.go.jp/%e3%80%90%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%bb%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%80%91%e6%95%99%e8%82%b2%e9%83%a8%ef%bc%9a%e6%9c%ac%e7%a7%91%e6%95%99%e8%82%b2%e3%82%92%e5%85%a8%e5%8a%9b%e6%8c%87%e5%b0%8e/ |access-date=2024-03-14 |language=ja}}</ref>。 == 関連項目 ==
*[[偏差値]]/[[学力偏差値]]
*[[河合塾]]
*[[奨学金|貸与型奨学金]]-[[奨学金]][[滞納]]
*[[学歴フィルター]]-[[就活]]
▲*[[定員割れ]]
*[[大学全入時代]]/[[定員割れ]]
== 脚注 ==
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[[Category:入学試験]]
[[Category:学校記事]]
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