「不当利得」の版間の差分
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=== 公平説と類型説 ===
* 公平説(衡平説)
: [[ドイツ民法|ドイツ民法学]]における公平の理念を基礎とする不当利得の統一的理解は、日本の民法学者︵[[我妻栄]]など︶においても受け入れられ、不当利得の制度は形式的には問題のない財産的価値︵財貨︶の移転が実質的観点から正当化できない場合に生じる矛盾を公平の理念に従って調整するものと考えた。これを公平 * 類型説(類型論)
: その後、ドイツ民法学において公平説に対しては多様な適用場面を包摂する不当利得において、公平という概念が曖昧であり個々の場面では用をなさないという批判が大きくなり、日本でも次第に不当利得が適用される場面の類型に応じて理論化する類型説︵類型論︶が有力視され現在では主流になっているとされる<ref>内田貴著 ﹃民法Ⅱ 第3版 債権各論﹄ 東京大学出版会、2011年2月、566頁</ref><ref>川井健著 ﹃民法概論4債権各論 補訂版﹄ 有斐閣、2010年12月、368頁</ref>。 28行目:
* 給付利得
: 給付利得とは、外形的には有効な契約など(表見的法律関係と呼ばれる)による財貨の移転ののち、当該法律関係が無効・取消し・解除によって清算の対象となる類型を指す<ref>内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、566-568頁</ref><ref>川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、368頁</ref>。その性質は財貨帰属秩序の回復であるとされ<ref>大島俊之・下村正明・久保宏之・青野博之著 『プリメール民法4 第2版』 法律文化社〈αブックス〉、2003年3月、166頁</ref>、当事者間の公平の観点から[[同時履行の抗弁権]]や[[危険負担]]の規定が適用される<ref>内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、568頁</ref>。
* 侵害利得(財貨利得)▼
: 侵害利得とは、何らの法律上の原因も存在しないまま、相手の権利を侵害して利益を受けている者がいる場合に、そこで得られた利益の返還を求める類型を指す<ref>内田貴著 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月、568頁</ref><ref>川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月、369頁</ref>。その性質は財貨運動秩序の巻き戻しであるとされる<ref>大島俊之・下村正明・久保宏之・青野博之著 『プリメール民法4 第2版』 法律文化社〈αブックス〉、2003年3月、166頁</ref>。
その他、以下のような類型が用いられることもある。
▲* 侵害利得
* 費用利得
: ある者が他人の財産のために費用を負担した場合(費用償還しうる関係)を不当利得の一類型とするもの<ref>大島俊之・下村正明・久保宏之・青野博之著 『プリメール民法4 第2版』 法律文化社〈αブックス〉、2003年3月、167頁</ref>。
* 求償利得
: ある者が他人の債務を弁済した場合(求償しうる関係)を不当利得の一類型とするもの<ref>大島俊之・下村正明・久保宏之・青野博之著 『プリメール民法4 第2版』 法律文化社〈αブックス〉、2003年3月、167頁</ref>。
==不当利得の要件==
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