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Leukemianwalt (会話 | 投稿記録) →任意的倒産処理: 準則型私的整理と純粋私的整理の別につき記載し、詳細を敷衍。 |
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'''倒産'''︵とうさん︶とは、明確な定義はないが、概ね、個人や法人などの[[経済主体]]が経済的に破綻して弁済期にある[[債務]]を一般的に弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になること︵あるいはそのような恐れが生じること︶をいう。 法人の場合は、'''経営破綻'''︵けいえいはたん︶ともいう。なお、一社の企業が倒産することにより、関連会社や取引企業が連鎖的に倒産することを'''連鎖倒産'''︵れんさとうさん︶という。 また、日本においては「会社が'''潰れる'''」・「あの会社は潰れた」などの俗的な表現もある。
倒産状態になった経済主体による、債権者への弁済のための処理ないし手続を、'''倒産処理'''ないし'''倒産(処理)手続'''といい、私的・法的の区別と清算型・再建型の区別とがある。
法的倒産手続には、日本の場合、[[破産]] == 歴史 ==
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[[旧約聖書]]とユダヤ教聖典においては、[[モーセ]]の律法が、聖年︵ヨベルの年︶が50年ごとに訪れ、天の命令により、ユダヤ人の間ですべての債務が除かれ、すべての債務奴隷は自由の身になると定めている<ref>Leviticus 25:8–54.</ref>。さらに、聖書の[[申命記]]15:1-2では、債務免除のヘブライ︵ユダヤ︶法を見ることができ、そこでは7年ごとに債務を免除することを命じている。 [[古代ギリシア]]では、倒産︵破産︶というものは存在しなかった。もし父が債務を負い︵都市で生まれた成年男子のみが[[市民]]となることができたので、法的に財産の所有者となるのは﹁父﹂であった。︶、それを支払うことができなくなれば、彼の全家族︵妻 英語の bankruptcy という単語は、古代[[ラテン語]]の''bancus''︵台、テーブル︶と''ruptus''︵壊れた︶から生成された。bank︵銀行︶はもともとは台のことを指している。昔の銀行家たちは、公の場所、市場や定期市などで、台を持ち、そこでお金を徴収したり[[為替手形]]を書いたりしていた。そのため、銀行家が破綻すると、彼はその台を壊し、公衆に、台の所有者はもはや事業を続ける状況にはなくなったということを知らせた。この慣行は[[イタリア]]でよく行われており、bankruptという単語は[[イタリア語]]の''banco rotto''︵broken 英米法上、債務の免除を伴う破産制度が導入されたのは、1705年の[[アン (イギリス女王)|アン女王]]時代の制定法においてであり、そこでは、支払不能となった債務については、可能な限りの支払をするための資産を集めるのに協力した破産者に対する報奨として、免除が与えられた。 32 ⟶ 35行目:
1990年代後半以降、会社の倒産についての[[新聞]]などの[[報道]]では、「経営破綻」(または単に「破綻」)という言葉が使われることが多い。日常用語で「(会社が)つぶれる」というのも倒産とほぼ同じ意味で使われる。
どの時点で倒産と評価するかについて、明確な基準はないが、[[東京商工リサーチ]]では、次のような状況になった場合に企業の﹁倒産﹂と表現している<ref>{{ * 6月以内に2回目の[[手形]][[不渡り]]を出し、[[銀行取引]]停止処分を受けたとき
* 裁判所に以下の法的整理手続の申立てをしたとき
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: 法的倒産手続によらず、債権者との話し合いにより債務整理を図る方法である。
また、[[雇用保険]]の[[雇用保険#
#倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等) に伴い離職した者
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=== 事実上の倒産 ===
経済主体が企業である場合、''' [[手形]]や[[小切手]]の1回目の[[不渡り]]から6か月以内に2回目の不渡りを出した場合、銀行取引停止処分'''となる。こうなると、すべての銀行において当座取引および貸付を受けることが不可能になるため、企業の資金繰りは断たれる。このような状態をして'''[[事実上]]の倒産'''と呼ぶ。 このような場合でも、法人の解散事由︵破産手続の開始等︶が生じたわけではないから、法人としての存続は否定されたものではないが、多くの場合、法的倒産処理手続または任意的倒産処理︵私的整理︶に移行することから、当該時点において﹁事実上﹂という言い方を用いる。また、帝国データバンクなどの信用調査会社では、企業が事業停止しかつ事後処理を弁護士に一任した時点で事実上の倒産︵この時点で倒産集計には入らないが破産手続に入ることがほぼ確実なため︶として倒産情報を出している。 94 ⟶ 97行目:
=== 任意的倒産処理 ===
;私的整理(任意整理・内整理)▼
:債務者が債権者らと任意に協議して財産関係を処理することをいう。法的倒産手続とは異なり、債権者と債務者の当事者間での合意に基づいて債権を処理するものである。
:大別して、法令または業界団体等のガイドラインに準拠して行われる[[準則型私的整理]](例として[[ADR]]一般や、[[自然災害債務整理ガイドライン]]など)と、債権者及び債務者が(多くの場合代理人弁護士を介して)全くの任意に交渉を行う[[純粋私的整理]]に分類されることが多い。
:債務者が個人である場合には経済的再生を目的とすることになるが、法人である場合には清算を目的とすることも再生を目的とすることもある。[[債権者]]が[[消費者金融]]、[[クレジット会社]]、[[銀行]]などの場合は、債務者本人が任意整理をしようとしても債権者がこれを相手にすることは少ないため、通常は[[弁護士]]や[[司法書士|認定司法書士]]などに依頼することになる。債権者らが消費者金融の場合、[[約定利息]]を[[利息制限法]]に引きなおすことで債務額を減額し、また36回から60回程度の分割払いで和解することによって債務を整理することが多い。 ▲;純粋私的整理(任意整理・内整理)
:[[純粋私的整理]]では、法的倒産処理手続と異なり公の機関による監督がないため、時間的・経済的に有利ともいえるが、整理案に反対する債権者を拘束する手段がないことや、不平等な整理案が作られる可能性が高いなど不正が行われやすい弊害もある。複数の金融機関が関与する私的整理手続においては、私的整理を実現するためには、主導権を握る主要貸付を行った金融機関︵メインバンク︶が、他の金融機関の貸付を実質的肩代わりを余儀なくされる﹁メイン寄せ﹂の問題があることが、私的整理手続による債務整理の利用の障害となる問題がある。 ;準則型私的整理
:[[準則型私的整理]]では、各準則は対象となる債権者に対し事実上の拘束力︵所管官庁又は業界団体としての監督権限を背景とするものなど︶を有することがほとんどであるうえ、準則によっては弁護士・税理士・公認会計士等の専門家が関与する体制が整備されているため、上記のような問題は生じづらい。他方、対象となる債権者の範囲に制限がある︵例えば、[[自然災害債務整理ガイドライン]]は原則として金融機関のみが対象となり、債務者が自営業者であっても取引債権者は対象とすることができない。同ガイドライン3.(2)本文。︶など、一定の限界がある。 :2001年9月に私的整理に関するガイドライン委員会が作成した「[http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/050511/guideline.pdf 私的整理に関するガイドライン]」を参照。
;[[産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法]]所定の特定認証紛争解決手続([[事業再生ADR]]手続)
:準則型私的整理の一種である。特定認証紛争解決事業者である[[事業再生実務家協会]]がその運営を担っている。
:詳細は[[事業再生ADR]]の項目を参照。
=== 日本で特に負債額の大きかった倒産 ===
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| {{Display none|くらうんりいしんく/}}[[クラウン・リーシング]] || 1997年{{Display none|0}}4月 || {{Display none|11874-}}1兆1874億円 || {{Display none|03-金融・リース/}}総合リース業 || 破産
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| {{Display none|まれりほーるでぃんぐすく/}}[[マレリホールディングス]] || 2022年{{Display none|0}}6月 || {{Display none|11330-}}1兆1330億円 || {{Display none|08-製造/}}[[製造業]] || 民事再生法
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| {{Display none|きつしんようくみあい/}}[[木津信用組合]] || 1995年{{Display none|0}}8月 || {{Display none|10044-}}1兆44億円 <ref group="注釈">公的資金での金銭贈与額(平成9年2月実施)</ref> || {{Display none|01-銀行/}}[[信用協同組合]] || [[整理回収機構]]に営業譲渡
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| {{Display none|にほんこうくう/}}[[日本航空 (持株会社)|日本航空]] || 2010年{{Display none|0}}1月 || {{Display none|06715-}}6715億円<ref name="nihonkoukuu" group="注釈"></ref> || {{Display none|09-他/}}空運 || 会社更生法
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| {{Display none|とうしよく/}}[[東食]] || 1997年12月 || {{Display none|06194-}}約6397億円 || {{Display none|07-商社/}}[[商社|食品商社]] || 会社
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| {{Display none|にほんしんこうきんこう/}}[[日本振興銀行]] || 2010年{{Display none|0}}9月 || {{Display none|06194-}}約6194億円 || {{Display none|01-銀行/}}[[銀行|銀行業]] || 民事再生法
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| {{Display none|とうきようりんかいふくとしんけんせつ/}}[[東京臨海副都心建設]] || 2006年{{Display none|0}}5月 || {{Display none|01440-}}約1440億円 || {{Display none|06-不動産/}}第三セクター || 民事再生法
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| {{Display none|とまこまいとうふかいはつ/}}[[苫小牧東部地域|苫小牧東部開発]] || 1999年{{Display none|0}}9月 || {{Display none|01423-}}1423億円 || {{Display none|06-不動産/}}第三セクター || 特別清算
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| {{Display none|ひようこくれしつとさあひす/}}[[兵庫クレジットサービス]] || 1995年{{Display none|0}}8月 || {{Display none|01403-}}1403億円 || {{Display none|02-貸金/}} 貸金業|| 民事再生法
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| {{Display none|えいたいさんきよう/}}[[永大産業]] || 1978年{{Display none|0}}2月 || {{Display none|01350-}}1350億円<ref group="注釈">子会社も含めると1800億円。</ref> || {{Display none|08-製造/}}[[合板]]製造 || 会社更生法<br />→更生終結 |-
| {{Display none|はやしはら/}}[[ |-
| {{Display none|あしあたいへいようとれえとせんたあ/}}[[アジア太平洋トレードセンター]] || 2003年{{Display none|0}}6月 || {{Display none|01263-}}約1263億円 || {{Display none|06-不動産/}}第三セクター || 特定調停
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消費者提案を行えるのは、債務額が5000[[カナダドル|ドル]]を超え、7万5000ドルまで︵主たる居住地の抵当権を含まない︶の場合に限られる。債務額が7万5000ドルを超える場合、破産・支払不能法第3編第1部の下に提案を申し立てなければならない。提案執行者の補助が必要である。提案執行者は、破産管財人の資格を持った者がなるのが一般的であるが、破産監督局が他の人を執行者に任命することもできる。 2006年において、カナダでは9万8450件の個人からの支払不能の申立てがあった。うち7万9218件が破産、1万9232件が消費者提案である<ref>{{ == ヨーロッパ ==
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=== 破産濫用防止・消費者保護法 ===
2005年の破産濫用防止・消費者保護法 :新法の下では、返済する能力のあるアメリカ国民は、少なくともその債務の一部を返済することが求められる。州の[[中央値|中位]]収入よりも低い国民は、債務の返済は求められない。新法により、何度も申立てをしている者は、最も寛容な破産の恩恵を濫用することが難しくなるであろう。全債務の帳消しを求める債務者は、これからは再度の申立てをするまでに前回の破産から8年間待たなければならない。新法により、我々は、破産の濫用者たちにどうすれば制度を悪用できるかを教えて金もうけをしている破産工場の連中を取り締まることができる<ref>{{cite web |publisher=Press Release, White House |url=http://georgewbush-whitehouse.archives.gov/news/releases/2005/04/20050420-5.html |title=President Signs Bankruptcy Abuse Prevention, Consumer Protection Act |date=2005-04-20 |accessdate=2008-09-19 |language=英語 }}</ref>。 |