「印紙税」の版間の差分
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{{混同|印税}}
{{law|地域=日本}}
{{課税}}
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[[ファイル:A_revenue_stamp_of_the_Ryukyu_government.jpg|thumb|200px|琉球政府の1セント収入印紙]]
'''印紙税'''(いんしぜい)は、[[印紙税法]](昭和42年5月31日法律第23号)に基づき、課税物件に該当する一定の文書(課税文書)に対して課される[[日本]]の[[税金]]。
== 課税文書 ==
課税文書は、[[印紙税法]]の別表第一に掲げられている1号から20号までの文書である。以下、課税文書につき簡記する。
# [[不動産]]等の譲渡[[契約書]]、[[地上権]]または土地の[[賃貸借|賃借権]]の設定または譲渡の契約書、[[消費貸借]]契約書、運送契約書
# [[請負]]契約書
# [[約束手形]]、[[為替手形]]
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# 継続的取引の基本契約書
# 預貯金証書
# [[貨物引換証]]、倉庫証券、[[船荷証券]]
# 保険証券
# [[信用状]]
# [[信託]]契約書
# 債務保証契約書
# [[金銭]]、[[有価証券]]の[[寄託 (
# [[債権譲渡]]契約書、債務引受契約書
# [[配当金]]領収証、配当金振込通知書
# [[領収書|金銭又は有価証券の受取書]]
# [[預金通帳|預貯金通帳]]、信託通帳、[[銀行]]・[[無尽会社]]の掛金通帳、生命保険会社の保険料通帳、生命共済の掛金通帳
# 1・2・14・17の文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的で作成する通帳
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# 建物の賃貸借契約書
# 委任状または[[委任]]に関する契約書
# 営業に関しない金銭の受取書 # [[質権]]・[[抵当権]]の設定または譲渡の契約書
# 18号に該当する通帳のうち、[[政令]]で定められた主体が発行するもの([[信用金庫]]、[[労働金庫]]、[[JAバンク]]など)
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=== 領収書に関する例 ===
上述した17号文書のひとつである[[領収書]]については、5万円未満(2014年(平成26年)3月31日以前は3万円未満)の文書は印紙税非課税であるが、額面と消費税の関係については、金額について、税抜金額を記載している、あるいは消費税額が明確に明示されている場合'''以外'''は、税込金額で判断される。ただし、消費税及び地方消費税の免税事業者については、その取引に課されるべき消費税及び地方消費税がないため、たとえ受取書等に消費税額として具体的金額を区分記載したとしても、これに相当する金額は記載金額に含めることになる<ref>[https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/19/21.htm
非課税となる場合については、前述のとおり営業に関しない領収書であり、主なものを列挙する。
* 医療法に基づく医療法人
* [[医師]]、[[歯科医師]]、[[歯科衛生士]]、[[歯科技工士]]、[[保健師]]、[[助産師]]、[[日本の看護師|看護師]]、[[あん摩マッサージ指圧師|あん摩・マッサージ・指圧師]]、[[はり師]]、[[きゅう師]]、[[柔道整復師]]、[[獣医師]]等が作成した領収書等
* [[弁護士]]、[[弁理士 (日本)|弁理士]]、[[公認会計士 (日本)|公認会計士]]、[[計理士]]、[[司法書士]]、[[行政書士]]、[[税理士]]、[[中小企業診断士]]、[[不動産鑑定士]]、[[土地家屋調査士]]、[[建築士]]、設計士、[[海事代理士]]、[[技術士]]、[[社会保険労務士]]等が作成した領収書等
* [[宗教法人]]や[[財団法人]]、[[学校法人]]などの[[公益法人]]が発行する領収書等([[印紙税法]]第5条)
* 印紙税法別表第二、別表第三に規定するもの。主なものとして
** 国や各種[[公的機関]]([[地方公共団体|地方自治体]]だけでなく、[[地方公営企業]]などを含む)、一部の[[独立行政法人]](一部の[[地方独立行政法人]]を含む)に関するもの(これらの者から該当業務の委託を受ける一部の者)
** [[日本学生支援機構]]から学資の貸与を受ける者
** [[社会福祉法]]に規定する生計困難者や、[[母子及び父子並びに寡婦福祉法]]に規定するものが資金の融通を受ける場合
なお、[[クレジットカード]]での買い物客の求めに
== 課税主体・納税義務者 ==
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国・地方公共団体が作成する文書は非課税である。なお国・地方公共団体と私人が共同作成した文書の場合、私人が作成して国・地方公共団体が保管するものは課税されるが、国・地方公共団体が作成して私人が保管する文書は非課税である。およそ2通作成して各自1通ずつ保有する場合、国・地方公共団体側が印紙税の消印をされている方を保有する。 ==
課税標準および税額は、同法の別表第一に掲げられている各号ごとに細かく分けられている。税額で最も安価なのは、上記8 - 16号・18号や、契約金額の記載されていない文書{{efn|例として、土地の贈与契約書は、時価や記載金額にかかわらず契約金額の記載のない契約書として扱われる。}}等の200円である。なお、契約金額を変更する契約書の場合、変更前の契約金額を証明した契約書が作成されていることが明らかな場合、契約金額を増加させる場合はその増加金額を記載金額とし、契約金額を減少させる場合は契約金額の記載のない文書として扱う。 不動産の譲渡に関する契約書に2つ以上の記載金額がある場合︵一度に複数の物件を譲渡する場合等︶、これらの金額の合計額が不動産の譲渡に関する契約書の記載金額となる。不動産の交換契約の場合、交換対象物の双方の価格が記載されている場合は、交換差金の額にかかわらず、いずれか高い方の金額が記載金額となる。交換差金の額のみが記載されている場合は、その交換差金の額が記載金額となる。 売上代金の受取書︵領収書︶に係る税額は、以下の通りである。<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7105.htm |title=No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書 |accessdate=2022-2-28 |publisher=国税庁}}</ref> {| class="wikitable"
|-
! colspan="2" |記載された受取金額
!税額
|-
| colspan="2" |5万円未満のもの、営業に関しないもの
|非課税
|-
|5万円以上
|100万円以下のもの
|200円
|-
|100万円を超え
|200万円以下のもの
|400円
|-
|200万円を超え
|300万円以下のもの
|600円
|-
|300万円を超え
|500万円以下のもの
|1,000円
|-
|500万円を超え
|1,000万円以下のもの
|2,000円
|-
|colspan="2"|1,000万円を超えるもの
|4千円~(上限20万円)
|}
== 納税方法 ==
印紙税の納税方法にはいくつかの方法がある。申告納付にする場合は管轄[[税務署]]の承認を受ける必要がある。
# 課税文書に[[収入印紙]]︵[[切手]]と酷似した額面が印刷された[[金券]]で、[[郵便局]]の郵便窓口や郵便切手類販売所などで販売されている。ただし、郵便には使用できない︶を貼り、'''消印'''する。[[消印#印紙の消印|消印]]は[[印章]]または署名で行わなければならない。ただし # [[税務署]]に課税文書を持ち込んで、税額を納付して税印を押してもらう。
# [[印紙税納付計器]](郵便でいう[[メータースタンプ]]に相当)の設置許可を受け、税額を納付して納付印を押す。
# 毎月継続的に作成されたり、特定日に大量に作成される定型的な課税文書につき、書式表示を行い、毎月作成数量を申告するとともに税額を納付する。
# [[預金通帳|預貯金通帳]]等につき、4月1日から3月31日までの1年間に作成するものに係る税額を金銭で納付する。
=== 過誤納となったときの処理 ===
[[ファイル:Inshi kagono kakunin.jpg|thumb|200px|税務署で過誤納確認を受けた課税文書の一部]]
課税文書が何らかの理由︵書損じた場合等︶で使用する見込みがなくなった場合や、課税文書に正しい金額を超えて収入印紙を貼ってしまった場合は、印紙税法第14条第1項・第2項、印紙税法施行令第14条第1項・第4項の規定により﹁印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続﹂を管轄税務署で行うことにより、印紙税の還付や充当を受けることができる。この場合、確認申請書又は充当請求書と一緒に過誤納となった事実を証明するために、その文書を提示しなければならない。税務署で確認後、1か月程度で確認申請書又は充当請求書で指定した方法で、印紙税が還付又は充当される。なお、印紙部分には確認印が押され、返却される。以下の場合に過誤納となる。 ; 書損等
: 課税文書の用紙が、用紙の書損、損傷、汚染などにより使用する見込みがなくなった場合。
; 納付額超過
: 印紙税の額が、印紙税法に規定する正しい税額を超える場合。
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== 過怠税 ==
'''過怠税'''(かたいぜい)は、[[印紙税法]]第20条に基づき、印紙税をその課税文書作成時までに納付しなかった場合に課せられる。
過怠税の金額は、原則としてその納付しなかった印紙税額の3倍(最低額は1,000円)とされる。ただし、自主的にその不納付を申し出るなど一定の要件を満たせば、不納付額の1.1倍とされる<ref group="注釈">実務では国税当局がミスを指摘した後に、通常「不納付事実申出書」の提出で1.1倍の過怠税で済む。[https://www.tax-support.xyz/Q-and-A/%E5%8D%B0%E7%B4%99%E7%A8%8E/%E5%8D%B0%E7%B4%99%E7%A8%8E%E3%81%AE%E9%81%8E%E6%80%A0%E7%A8%8E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-561 印紙税の過怠税について(税務調査対策専門チーム)]</ref>。
また、印紙を適切な方法で消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収される。
過怠税は、[[所得税]]の[[必要経費]]又は[[法人税]]の[[損金]]に算入することができない。
== 歴史 ==
* [[1624年]] - [[オランダ]]で[[八十年戦争]]の戦費調達のため、税務職員ヨハネス・ファン・デン・ブルックが発明。
* [[1660年]] - [[デンマーク]]で導入
* [[1673年]] - [[フランス]]で導入
* [[1694年]] - [[イギリス]]で導入
* [[1765年]] - イギリスで[[1765年印紙法|印紙法]]成立。[[13植民地|アメリカ植民地]]で導入
* [[1873年]] - [[日本]]で導入
== 税収の推移 ==
印紙税の税収がいくらかを正確に把握することは困難である。なぜならば、印紙税の納税は、印紙を購入することにより行われるのではなく、原則的には印紙を文書に貼って、消印することにより行われるからで、これらの行為を逐一把握することは事実上不可能だからである。[[収入印紙]]も参照。 ここでは、下記に参考として財務省の統計から、租税及び印紙収入決算額にある印紙収入の推移を掲げる。これは、印紙の売り捌き︵うりさばき︶収入と現金分の '''印紙
{| class="wikitable"
!年度!!収入額(単位:100万円)
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!2016
|1,079,147
|-
!2017
|1,051,520
|-
!2018
|1,072,909
|-
!2019
|1,023,211
|-
!2020
|{{0|0,}}919,463
|-
!2021
|{{0|0,}}960,848
|-
!2022
|{{0|0,}}982,121
|}
== 脚注 ==
{{
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 関連項目 ==
* [[領収書]]
* [[印税]] - 当税務にちなむ。
* [[印紙税納付計器]]
== 外部リンク ==
* [
{{日本の租税}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:いんしせい}}
[[Category:日本の租税]]
[[Category:日本の印紙|*]]
[[Category:流通税]]
|