土司
概要
土司は、元代以降、中国と直接境界を接する諸民族において、ある民族が一国を形成しないまま、分立する各地の支配者が個別に中国王朝と交際する場合に、州・県の知事職や、衛所制にそった軍事指揮官の称号を受けた者たちを指す。清においては、さらにこれらを区分し、軍事指揮官の称号を受けた者たちを土司︵aiman i hafan︶、州・県の知事職を受けた者たちを土官と呼ぶ。
なお、土司・土官における﹁土﹂とは土着の意で、先祖伝来の所領において世襲でポストに着くことを指す。科挙を経て任官する官僚が、出身地のポストに赴任することが禁止され、数年の任期ごとに各地のポストを転々としたのを指して流官と称するのと対比した表現である。
これら非漢人の世襲の諸侯領を廃止して中国に組み込み、科挙官僚である流官を派遣して統治する地域に改めることを﹁改土帰流﹂と称する。