日輪の遺産
『日輪の遺産』(にちりんのいさん)は、浅田次郎による長編小説である。1993年8月に青樹社から刊行された。
日輪の遺産(にちりんのいさん) | ||
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著者 | 浅田次郎 | |
発行日 | 1993年8月 | |
発行元 | 青樹社 | |
国 |
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言語 | 日本語 | |
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あらすじ
注意‥以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
1992年12月。メジロパーマーが逃げ切り勝ちで大穴を開けた有馬記念を府中競馬場で奇妙な老人とともに観戦した地上げ屋の丹羽は、不思議な縁により老人から一冊の古い手帳を託されることになった。その手帳に書き留められていた内容は驚くべきものであった。府中競馬場から多摩川を隔てて見える山林に、莫大な財宝が隠されているというのだ。老人の死を知って現れた地元の大地主の金原は何かを知っているようだが・・・。丹羽は同じく老人から秘密を託された福祉活動家の海老沢とともに、旧日本軍とマッカーサー将軍が終戦前後に壮絶な奪い合いを演じた財宝の恐るべき秘密に迫っていく。
登場人物
真柴少佐
近衛師団所属のエリート軍人。阿南惟幾陸軍大臣、森赳近衛師団長、田中静壱東部軍管区指令官、杉山元第1総軍司令官、梅津美治郎参謀総長という軍の最高幹部たちから、とある密命を受ける。
小泉主計中尉
東京帝大を主席で卒業した大蔵官僚。真柴とともに極秘の任務に就く。
曹長
中国戦線で長く戦った人物で、モーゼル社の自動拳銃を愛用する。真柴の運転手として活躍。本名不詳。
金原
武蔵小玉市の大地主で元市議。悪徳不動産業者として知られる。財宝についても何かを知っている気配を見せる。
丹羽明人
お人好しの地上げ屋。バブル景気崩壊で建て売り住宅の不良在庫を抱えて金策に奔走中、一攫千金を狙って競馬場に行き謎の老人に出会う。
海老沢
武蔵小玉市で福祉関係のNPOを切り盛りする中年男。妻の浮気に悩んでいる。謎の老人の世話をしていた縁で丹羽と知り合い、財宝の秘密に迫ることになる。
イガラシ中尉
日系2世のアメリカ軍人。ダグラス・マッカーサーの通訳を務めるうちに財宝を巡る陰謀に巻き込まれる。
野口孝吉
女学校の英語教員。財宝の秘匿作業に協力させられる。
久枝
女学校の生徒。工廠の近所の梨農家の娘。財宝の秘匿作業に協力させられる女学生の級長。
映画
日輪の遺産 | |
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監督 | 佐々部清 |
脚本 | 青島武 |
出演者 | 堺雅人、他 |
音楽 | 加羽沢美濃 |
主題歌 | 元ちとせ「永遠(トワ)の調べ」 |
撮影 | 坂江正明 |
編集 | 川瀬功 |
製作会社 | 「日輪の遺産」製作委員会 |
配給 | 角川映画 |
公開 | 2011年8月27日 |
上映時間 | 134分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
﹃日輪の遺産﹄︵THE LEGACY OF THE SUN︶は、角川映画系で2011年公開の日本映画。浅田次郎の同名小説を原作に、太平洋戦争終戦末期、マッカーサーの財宝を巡る極秘作戦に関わった4人の帝国陸軍将校たちと20名の少女たちの運命が描かれる[1]。監督は﹃三本木農業高校、馬術部﹄の佐々部清、主演は﹃武士の家計簿﹄の堺雅人。
キャッチコピーは﹁いつか、この国が生まれかわるために﹂﹁浅田文学の原点。復興に信念を貫いた4人の男と20人の少女たちの運命。﹂。
全国145スクリーンで公開され、2011年8月27、28日の初日2日間で興収4,422万2,2000円、動員3万7,062人になり映画観客動員ランキング︵興行通信社調べ︶で初登場第11位となった[2]。またぴあ初日満足度ランキングでは第1位と高評価されている。
キャスト
戦中・戦後
- 極秘任務班
- 森脇女学校
- 野口孝吉(森脇女学校教師) - ユースケ・サンタマリア
- 久枝(森脇女学校女生徒) - 森迫永依
- スーちゃん(森脇女学校女生徒) - 土屋太鳳
- マツさん(森脇女学校女生徒) - 遠藤恵里奈
- サッちゃん(森脇女学校女生徒) - 松本花奈
- 軍首脳
- GHQ
- その他
- 伝令の男 - 金児憲史
現代
- 金原家
- 金原久枝(庄造の妻) - 八千草薫
- 金原庄造(旧姓:望月) - 八名信夫
- 金原荘一郎 - 北見敏之
- 金原涼子(森脇女子学園中等部教師) - 麻生久美子
- 後藤俊太郎(森脇女子学園中等部教師) - 塩谷瞬
- イガラシ邸
スタッフ
- 監督 - 佐々部清
- 製作 - 池田宏之、阿佐美弘恭、長尾忠彦、臼井正明
- プロデューサー - 根津勝、臼井正明、青島武
- 製作代表 - 椎名保
- 協力プロデューサー - 井上文雄
- 企画 - 嵐智史、三宅澄、高松宏伸
- 原作 - 浅田次郎
- 脚本 - 青島武
- 撮影 - 坂江正明
- 美術 - 若松孝市
- 編集 - 川瀬功
- キャスティング - 空閑由美子
- 音楽 - 加羽沢美濃
- スクリプター - 山下千鶴
- 照明 - 渡辺三雄
- 整音 - 瀬川徹夫
- 製作担当 - 澤井克一
- 装飾 - 平井浩一
- 録音 - 藤丸和徳
- 助監督 - 山本亮
- チーフデザイナー - 小林久之
- 製作 - 「日輪の遺産」製作委員会
- 配給 - 角川映画
イメージソング
- 元ちとせ「永遠(トワ)の調べ」
- 原曲はスコットランド民謡「アニー・ローリー」。
脚注・出典
関連項目
●稲城市 - 本作品の舞台となった武蔵小玉市のモデル[1]。
●多摩サービス補助施設 - 東京都稲城市および多摩市にまたがる米軍施設。かつての陸軍多摩火工廠で、本作品に登場する﹁米軍南多摩キャンプ﹂のモデル。
●稲城市立病院 - 丹羽が海老沢や金原と出会った武蔵小玉市立病院のモデル。多摩サービス補助施設に隣接している。
●堀越高等学校 - 前身である堀越高等女学校が、作中の女学校のモデルとなった。
注釈
外部リンク
- 日輪の遺産 - 映画「日輪の遺産」ウェブサイト