朝鮮進駐軍
朝鮮進駐軍(ちょうせんしんちゅうぐん)は、第二次世界大戦後の混乱期、在日朝鮮人の一部が日本各地で各種犯罪を犯した際、僭称したとされる名称。
概説
第二次世界大戦終結直後、日本の敗戦により、朝鮮人に優越感が発生した事や、日本からの“解放”により社会基盤を喪失した事から、一部の朝鮮人や台湾人らによる殺害、強盗、暴力事件などの不法行為が頻発した[1][2]。当時の朝鮮人による事件は記録に残るものでも、大津地方検察庁襲撃事件、長崎警察署襲撃事件、生田警察署襲撃事件、富坂警察署襲撃事件、新潟日報社襲撃事件、関東朝鮮人強盗団事件、直江津駅リンチ殺人事件、他多数にのぼる︵詳細は﹁在日韓国・朝鮮人の事件年表﹂を参照︶。
いくつかの書籍がこうした背景を元に不法行為を行った朝鮮人の中に、﹁朝鮮進駐軍﹂を名乗ったものがいたと主張している。山野車輪は﹃マンガ 嫌韓流﹄︵2005年︶の第3話﹁在日韓国・朝鮮人の来歴﹂、﹃マンガ 嫌韓流4﹄︵2009年︶第3話﹁“朝鮮進駐軍”と日本の戦後史﹂において、こうした状況の中で一部朝鮮人が自分達を﹁戦勝国民﹂であると主張し﹁朝鮮進駐軍﹂を名乗って暴力事件を起こしたと説明している[3][4]。また、野村旗守は﹃嫌韓流の真実!ザ・在日特権﹄︵2006年︶、﹃マンガ嫌韓流の真実!﹄︵2007年︶で、﹁朝鮮進駐軍﹂を僭称した一部の朝鮮人が、無賃乗車を駅員に注意されると集団暴行を行ったと説明している[5][6]。但馬オサムは﹃ゴジラと御真影 -サブカルチャーから見た近現代史-﹄︵2009年︶で、一部朝鮮人が戦勝国民を気取って徒党を組み、治外法権的特権を有するかのように振る舞い、朝鮮進駐軍の腕章をつけて買出しの列車を占拠したとしている[7]。﹁お前ら四等国民の日本人が我々二等国民である朝鮮進駐軍に指図するとは生意気な!﹂というのが彼らの常套句だったという[7]。ただし、但馬はこうした行為について、闇市の利権を巡り抗争を繰り広げた朝鮮人愚連隊などに比べればまだ可愛いものとし、チンピラ行為と表現している[8]。
在特会支部による主張
在日特権を許さない市民の会︵在特会︶の大阪支部は、﹁﹃朝鮮進駐軍﹄をご存知ですか?﹂というチラシを作成し、その中で3万人の朝鮮人からなる犯罪組織﹁朝鮮進駐軍﹂が、戦後の混乱期に強姦、殺人、公的機関への襲撃、不動産の不法占拠などの犯罪を起こし、GHQの資料にあるだけでも最低4,000人の日本人が殺されたと主張している[10][11]。2009年に在特会が起こした京都朝鮮学校公園占用抗議事件では、これを﹁︵学校の土地は︶朝鮮人に奪われた﹂という主張の根拠としている[12]。安田浩一や野間易通は、チラシの配布のみならず、在特会を支持する一部ブロガーやネット右翼らによりブログや電子掲示板などで拡散が行われたと主張している[13][14]。
疑問
安田浩一らは、在特会をはじめとする“保守界隈”の人間がしばしば使用する用語であるが[12]、GHQ等の公的な組織による資料での﹁朝鮮進駐軍﹂という用語の出典を示しておらず[10]、写真のキャプションもでっちあげであるなど、真っ赤なデマであると主張している[15][16][17]。
安田らによると、最低4,000人の日本人が殺されたとする﹁GHQの資料﹂の出典は明かにされておらず[10]、朝鮮進駐軍を写したと主張する2枚の写真は、毎日新聞社が1949年に撮影した、在日本朝鮮人総聯盟︵朝連︶の本部を捜索する日本の警察官が写る写真に﹁武装集団在日朝鮮人集団﹂﹁短銃を所持する在日朝鮮人警備隊﹂といったでっちあげのキャプションをつけたものである[18][19][20][21]。朝鮮進駐軍が起こした凶悪事件として例に挙げられているものには、1946年の首相官邸デモ事件と1948年の阪神教育事件のような確認できるものもあるが、どちらも在日朝鮮人を中心とする大規模なデモ行進における騒擾事件である[22]。首相官邸デモは﹁在日朝鮮人生活権擁護委員会﹂、阪神教育事件のデモは﹁在日本朝鮮人総聯盟﹂が開催したもので、朝鮮進駐軍なる組織ではない[23]。この2つの事件の犠牲者に関しては、首相官邸デモ事件で死者は出なかったが、阪神教育事件では朝鮮人の少年1名が死亡した[23]。
脚注
- ^ (鄭 2010, pp. 63–71)
- ^ (安田 2012, pp. 219–220)
- ^ (山野 2005, p. 81)
- ^ (山野 2009, p. 65)
- ^ (野村 2006, p. 86)
- ^ (野村 2007, p. 162)
- ^ a b (但馬 2009, p. 141)
- ^ (但馬 2009, p. 143)
- ^ 国際文化情報社『画報現代史 第7集』
- ^ a b c (安田 2012, p. 217)
- ^ 関西地区で作ったビラがあります by 副会長・川東大了 在日特権を許さない市民の会 2010年5月16日
- ^ a b (安田 2012, p. 216)
- ^ (安田 2012, p. 219)
- ^ 野間易通 on Twitter 野間易通 2013年12月22日
- ^ (安田 2012, pp. 216–221)
- ^ 野間易通 on Twitter 野間易通 2013年3月17日
- ^ デマがいっぱい(その10) 山本弘のSF秘密基地BLOG 2013年04月20日
- ^ (安田 2012, p. 217-218)
- ^ 毎日フォトバンク - タイトル:在日朝鮮人・朝連本部を取巻く武装警官隊 写真ID:P20000824dd1dd2phj293000
- ^ 毎日フォトバンク - タイトル:在日朝鮮人・平穏に接収された朝連本部 写真ID:P20000824dd1dd2phj292000
- ^ (呉 2009, p. 91)
- ^ (安田 2012, pp. 220–221)
- ^ a b (安田 2012, p. 221)
参考文献
●野村旗守、宮島理、李策、呉智英、浅川晃広﹃嫌韓流の真実!ザ・在日特権〜朝鮮人タブーのルーツから、民族団体の圧力事件、在日文化人の世渡りまで!〜﹄宝島社、2006年。ISBN 978-4796653299。
●大月隆寛、西村幸祐、中宮崇、宮島理、野村旗守﹃マンガ嫌韓流の真実!﹄宝島社、2007年。ISBN 978-4796660860。
●但馬オサム﹃ゴジラと御真影 -サブカルチャーから見た近現代史-﹄オークラ出版、2009年。ISBN 978-4775514856。
●鄭大均﹃韓国のイメージ―戦後日本人の隣国観﹄中央公論新社、2010年。ISBN 978-4121912695。
●安田浩一﹃ネットと愛国 在特会の﹁闇﹂を追いかけて﹄講談社、2012年。ISBN 978-4062171120。
●山野車輪﹃マンガ嫌韓流﹄晋遊舎、2005年。ISBN 978-4883804788。
●山野車輪﹃マンガ嫌韓流4﹄晋遊舎、2009年。ISBN 978-4883809448。
●石平、宮崎正弘、岩田温、 田中秀雄他﹃日本被害史 世界でこんなに殺された日本人﹄オークラ出版、2012年。ISBN 978-4775519806。
●呉圭祥﹃ドキュメント在日本朝鮮人連盟﹄岩波書店、2009年。ISBN 978-4-00-023024-7。