「気候景観」の版間の差分
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== 研究史 ==
日本における景観研究は、[[昭和]]初期から盛んに行われるようになるが、特に気候景観を用いた[[風土]]研究は[[三沢勝衛]]によって進められた。例えば、三沢は[[八ヶ岳]]南麓の[[釜無川]]渓谷において、 上記のように、日本における気候景観の研究は、気候景観を気候特性の指標として位置づける立場が主流を占めていた。しかし、このような研究は単なる分布の対応に留まってしまうこともあり、矢沢は[[景観]]の機能的・発生的研究が遅れていることを指摘して、気候以外の要因を排除して気候要因を純化するなど分析手法改良の必要性を示唆していた{{Sfn|青山ほか|2009|p=3}}。他方で、[[カール・トロール]]による﹁景観生態学﹂、[[ジャック・アイヴス]]による﹁人間を含めた地生態学﹂、[[沼田眞]]による﹁景相生態学﹂の流れを受けて、むしろ他の要因との関係を明らかにし、気候要因を捉えようとする[[地生態学]]的な視点が導入され、この方針が﹁現在の行き方﹂とされている{{Sfn|青山ほか|2009|p=4}}。 19行目:
== 分類 ==
気候景観は、様々な視点から分類できる。例えば形態別に、
*地物には変化がないが気候現象そのものの痕跡が認められるもの︵[[霜|降霜]]、[[霧氷#樹氷|エビノシッポ]]{{efn|風上側に発達する[[霧氷]]のこと{{Sfn|青山ほか|2009|p=41}}。}}など︶。数時間から数日の現象を計る測器の代わりとなる{{Sfn|青山ほか|2009|p=6}}。 *気候現象の影響によってその形態に変化が認められるもの︵[[偏形樹]]、[[屋敷林]]など︶。形成メカニズムが複雑で、主体の条件やそれらの環境条件も関わる{{Sfn|青山ほか|2009|p=6}}。これは、自然景観︵植生・樹形など自然現象︶と文化景観︵屋敷林など人文現象︶に分類できる。自然景観は小気候の調査に応用されているが、文化景観はその分析から気候条件を導出することは必ずしも容易ではない{{Sfn|日本地誌研究所|1989|p=132}}。 37行目:
*[[偏形樹]]、樹幹の偏倚・[[年輪]]
*風食地形([[砂丘]]など)、風食礫([[三稜石]]など)
気候景観‥[[霧氷#アイスモンスター|モンスター]]{{efn|[[オオシラビソ]]に[[過冷却]]の水滴が衝突して凍結し[[霧氷]]ができ、雪に覆われながら巨大な塊に成長したもの{{Sfn|青山ほか|2009|p=41}}。}}、[[霧氷#樹氷|樹氷]]、エビノシッポ、着氷の方向、雪面形{{efn|冬季の強風により形成される、積雪面の様々な模様。雪面上の突起物︵岩や樹木など︶の風下側に風向に平行して延びる模様・筋の﹁風雪流線﹂が代表的。{{Sfn|青山ほか|2009|p=168}}。}} |
*[[屋敷林]](カイニョ、イグネ、築地松など)
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'''[[防風林]]'''は[[農地|耕地]]や[[家屋]]を、風から防ぐ目的で仕立てられた林。耕地のものは耕地防風林、家屋のものは宅地防風林と呼ばれる。防風林は耕地区画や[[海岸|海岸線]]に沿っているものが多く、風向の推定は屋敷林と比べると大まかになりやすい。より広域を対象とする場合は、単位面積または単位長さあたりの防風林面積を防風林密度とし、その分布から相対的に風の強い地域を推定することが行われる{{Sfn|小池ほか|2017|p=145}}。 一方で、'''[[屋敷林]]'''は宅地防風林のうち、とくに農家の場合の呼び名。冬の風雪、[[局地 === 積雪と森林植生 ===
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