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| 6=ミニショベル([[日立建機|日立]]・EX30)
}}
'''油圧ショベル'''︵ゆあつショベル、{{Lang-en-short| ==概要==
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: 「土木工事に使う掘削用の動力シャベルを備えた車両全般」をさす和製英語{{R|大辞林}}。
; [[ユンボ]]
: もとはフランスの建設機械メーカーであるシカム社 (SICAM) の[[商標]]<ref>[https://nationalihcollectors.com/PDF/Yumbo_Hydraulic_Excavator.pdf]</ref>。新三菱重工業(現:[[三菱重工業]])が技術導入して日本で生産・販売した結果、日本ではこの名前が広く普及した。現在では油圧ショベルを指す代名詞として現場などで使われている<ref>{{
| url = http://www.kenkenkikki.jp/qa/answer/j_a06-004.html
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20160313054832/http://www.kenkenkikki.jp/qa/answer/j_a06-004.html
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== 分類・種類 ==
分類法はいくつかある。基本的に、ざっくりと﹁バックホー︵ドラグショベル︶﹂﹁ローディングショベル﹂﹁解体機﹂に分類することができる<ref group="注釈">技術的には解体機はバックホーのバリエーションに過ぎないのだが、日本ではローディングショベルがほとんど存在しないのに対し、解体機は日常的に見かけることができ国内各メーカーからも広くリリースされている身近さ・知名度の事情がある</ref>。 また、質量(重さ)で分類する方法もあり、作業装置を除く機体質量が3トン未満のものを'''ミニショベル'''、機体質量が1トン未満のものは'''マイクロショベル'''と分類する方法もある。
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; 解体機
[[File:Hydraulicke demolicni nuzky na podvozku CAT 330.jpg|200px|right|thumb|後傾運転台を有する解体機]]
: 現代日本では油圧ショベルは建造物[[解体]]工事の主役となっているが、標準的な油圧ショベル︵バックホー︶は前下方への作業用に設計されているため、解体工事用に頭上方向への作業性を高めたモデルが各社からリリースされており、解体機と呼ばれる。通常の油圧ショベルが足元まで掘りやすいようブーム、アームが上腕に相当する箇所で内側に屈曲しているのに対し、解体機は高所へのリーチを確保するため、完全に二つ折りから直線状まで伸ばすことができる二重関節式ブームを備える。特に作業箇所が高くなる大型機では上方視認性を重視して運転席のリクライニング角を大きくしたり、あるいは運転台そのものを後傾させたり、運転台を可動式としているものもある。中層建築物解体に特化した長大なブームとアームを持ち、作業装置到達高さが40メートルにも達する大型機。ボリュームゾーンの中型モデルに多い、第2関節を通常のショベルの屈曲部と同じ位置とし解体と掘削両用の汎用型。狭小物件向けの小型機など、解体対象に応じて様々なタイプが存在する。海外では{{仮リンク|ロングリーチエクスカベーター|en|Long reach excavator}}と呼ばれるが、解体用だけではなく深 == 機構 ==
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=== 走行装置 ===
[[File:"Oddball", near Swillington - geograph.org.uk - 1590760.jpg|thumb|ウォーキングドラグライン]]
多くはクローラ式で本体の油圧ポンプで走行装置の[[油圧モーター]]を動かし、金属製もしくはゴム製の[[履帯|クローラ]]によって走行するが、[[自動車]]のようなゴム[[タイヤ]]を装備したホイール式もある。通常は[[ラフタークレーン]]のようにショベル作業運転と路上走行運転を一つの運転席上で行うが、極少数ながら[[トラッククレーン]]のように通常の[[貨物自動車|トラック]]シャーシー上に旋回台︵ターレット︶を設け、油圧ショベルの旋回台から上を架装した特装車も存在する。日本の建設土木現場では大半がクローラ式である。道路工事ではゴムベルト式クローラが多用されている。海外では日本よりもホイール式の機種が多い。なお、俗に言われるキャタピラーとは、後述する米国キャタピラー社の社名から来たものであり。本来は[[履帯]]もしくは[[クローラー]]と呼ばれる。走行装置の[[油圧モーター]]メーカーは、[[ナブテスコ]]、[[KYB]]、[[不二越]]などがあり、油圧モーターと減速機を組み合わせたユニットでクローラーを回転させる。油圧モーターは左右で2個使用され、それぞれが独立して制御でき、前後進だけでなく左前進、右は後進することによりその場で[[超信地旋回]]︵スピンターン︶を行うこともできる。 一般的にゴム[[タイヤ]]式はクローラ式より不整地での走行性や作業中の また日本では大型特殊自動車として登録可能な機種が多く製造発売されており、登録すれば[[公道]]を自走して作業現場へ移動できるという利点がある。クローラ式のものは走行速度が極めて低い上に、路面を損傷する可能性が大きいので自動車登録は不可能であり、セルフローダーや[[貨物自動車|トレーラー]]等の貨物自動車に積載して現場へ運ばなくてはならない。 127行目:
[[アタッチメント]]専用の油圧[[配管]]、[[ホース]]を装備し油圧を確保した機種でないと操作する事ができない。打撃系アタッチメント(ブレーカー)の操作には車両系建設機械運転者資格の '''解体'''が必要。
地域によって[[解体]]に用いられるアタッチメントが異なり、東北以北だと作りが頑丈であるため、ピラニアバケットが多く用いられるが、東北以南だと木造住宅でかつ瓦屋根が多いため、
'''フォークグラブ'''
主に住宅の解体、廃棄物の積み込み、分別に使われる。
; リッパ
: 主に抜根や岩盤の破砕、廃棄物の分別に使われるが、解体用アタッチメントとして用いられることもある。
; 油圧ブレーカー
: [[タガネ]]︵チゼル︶の打撃で物を破壊する。コンクリート構造物の破壊、[[採石場]]での大岩石の小割り、道路工事の[[アスファルト]]、[[岩盤]]破砕・溝堀などに使用する。[[発破]]作業が出来ない[[トンネル]]工事にも使用される。[[阪神・淡路大震災]]の復興には、倒壊した[[高速道路]]や破壊された[[岸壁]]の解体などに活躍した。空気ハンドブレーカは[[欧米]]で開発されたものであるが、1957年[[ブルドーザ]]に取り付けるために大型空気圧ブレーカが[https://www.npk.co.jp/ 日本ニューマチック工業]によって世界で初めて開発されたIPH-400が起源である。IPH-400の読みから﹁アイヨン﹂の愛称で親しまれた。今はより効率のよい窒素ガスを封入した油圧式が主流となっている。 ; 油圧[[クラッシャー]]
: ﹁[[破砕機]]﹂、﹁圧砕機﹂、鉄骨切断機とも言う、巨大な[[ペンチ]]や[[ニッパー (工具)|ニッパー]]。[[オフィスビル|ビル]]や高速道路など[[鉄筋コンクリート]]建造物などの[[解体]]に使われる。対象物を圧砕、内部の鉄筋を切断しながら解体を進める。用途により、﹁大割り﹂と﹁小割り﹂がある。大割り用は本体に回転機構︵油圧または手動操作︶を持ち、刃先の角度を変更できる︵例えば梁を掴むときは刃先を垂直に、柱の場合は水平にする︶。小割り用には磁石付の機種もあり、鉄筋の選別にも使われる。 ; ワニラー
: [[ワニ]]の口に似た形をしたアタッチメント。雑多な廃棄物や解体した建材を整理したりトラックに積み込む作業に適する。把握力は然程強くないので鉄骨やコンクリートを壊すことは難しいが、木造建築物程度なら破壊することもできる。 ; 油圧カッター
: 巨大な[[ハサミ]]。鉄骨ビル、[[橋]]などの[[建造物]]の[[カット|切断]]・解体や、[[廃車]]、[[鉄道車輌]]、[[航空機]]の解体に使われる。業界用語で、'''ニブラ'''と称されることが多い。 [[File:アメリカのスクラップヤード その1 01.jpg|thumb|複数の爪が付いたグラップルで[[スクラップ]] ; [[グラップル (建設機械のアタッチメント)|グラップル]]
: 解体フォークとも呼ばれる。2枚の刃が開閉し、物を掴んで(挟んで)移動させるのに使うアタッチメント。解体作業や移動作業、選別作業に使用される。剥いたミカンの皮を下に向けたような形状の開閉バケットもあるが、この場合は土砂よりも比重の軽い小粒物に適する。[[廃棄物]]の積込や農林作業で使われている。<ref group="注釈">深箱ダンプの荷台部分に座席付きで搭載される事もあるがこの場合、グラップルクレーンとは言わず、製造会社の社名をそのまま用いてヒアブと称される</ref>
; [[ツインヘッダー]]
: アタッチメント式の油圧切削機。回転するドラムに切削チップ︵ピック、刃とも呼ばれる︶が配列されており、ドラムが回転して土や[[鉱物]]を掘削する。道路[[舗装工事]]や[[トンネル]]工事等で、道路底面や[[法面]]の[[掘削]]、溝の開削などに使用される。多くの場合、回転ドラムは2つ備わっているため、ツインヘッダー︵Twin Header︶と呼ばれるが、回転ドラムが1つだけのコンパクト型もある。 ;ピラニアバケット
:ピラニアの口のような形なのでこう呼ばれる。このアタッチメント1つでつかむ、掘る、積むの3役もこなせるため、木造家屋の解体に使われる事が多い。[[北海道]]の株式会社オノデラ製作所の登録商標である。
====林業用 ====
林業では伐採から積み込みまでに様々な作業が必要なため作業員の負担が大きく、省力化のために複数の作業を1台で担える高性能林業機械が提唱された<ref>[ ;フェラーバンチャ
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=== 双腕式 ===
[[ファイル:TFD6-TC2.jpg|200px|thumb|日立建機製の双腕作業機「ASTACO」(東京消防庁仕様)]]
一般的な油圧ショベルは作業装置が一本であるが、日立建機は現場作業の多様化に合わせ双腕式の油圧ショベル﹁ASTACO︵アスタコ︶<ref group="注釈">﹁'''A'''dvanced '''S'''ystem for '''T'''win '''A'''rm '''C'''omplicated '''O'''perations﹂の略。また﹁Astaco﹂は[[スペイン語]]で[[ザリガニ]]の意味。</ref>﹂を開発した。二本の作業装置を利用して、対象物を掴んだまま切断したり、長い物などを折り曲げるなど、一本の作業装置では出来なかった作業に対応している。操作は直感性を重視した2本のジョイスティックを使用する独自方式を採用し、右レバーで右腕、左レバーで左腕を操作する<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/12253 まるでコクピット、"ガンダム建機"の真髄] - [[東洋経済新報社|東洋経済]]</ref>。JIS方式や日立パターンなどは全く違うことや、出力の制限から作業に制約があるため、従来方式に慣れたベテランからは評価されなかった<ref name=nedo001>[http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201204hitachikenki/index.html 2本腕の建設機械、建物解体現場での活躍期待 NEDOプロジェクト実用化ドキュメント]</ref>。しかし精密作業が可能な双腕式は災害救助にも効果を発揮するため、[[東京消防庁]]の[[ハイパーレスキュー]]が災害救助用として導入した<ref>[http://www.hitachi-kenki.co.jp/company/csr/contribution/asutako/index.html 東京消防庁の出初式に双腕作業機﹁アスタコ﹂が登場] - 日立建機</ref>。 日立建機では現場の意見を取り入れ自社の「ZAXIS135US」に副腕を追加した「ASTACO NEO」も開発している<ref name=nedo001 />。副腕は主たる作業装置の補助として使うもので、二本とも同じブームとアームの作業装置を備えた「ASTACO」とは構造が違い「シオマネキ型」<ref name=nedo001 />となったが操縦方式は同じである。
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=== 遠隔操縦 ===
油圧ショベルを目視で無線操縦する試みは各メーカーにより行われていたが、国土交通省が推進する[[情報化施工]]の一環として<ref>[ 国土交通省は大規模災害への対策として遠隔操縦式の建設機械を普及させるため、河川事務所や地方整備局を通し業者向けの施工見学会<ref>[https://www.thr.mlit.go.jp/bumon/kisya/kisyah/images/43543_1.pdf 無人災害対策用機械による現地施工見学会を開催します。] - [[北上川]]下流[[河川事務所]]</ref>や、分解空輸に対応した油圧ショベルを使った訓練を実施している<ref>[
[[ヤンマー]]は[[仮想現実]]技術と電気駆動を組み合わせ、遠隔操作を前提とした屋内・災害現場用のコンセプト機を発表している<ref>[https://www.yanmar.com/jp/technology/backhoe.html コンセプトバックホー|テクノロジー|ヤンマー]</ref><ref>[http://www.kenokuyamadesign.com/main/?page_id=6401 YANMAR CONCEPT BACKHOE | KEN OKUYAMA DESIGN] - デザインを担当した[[奥山清行]]のサイト</ref>。
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=== 日本のメーカー及び、日本に輸入されているもの ===
* [[日立建機]] : 海外メーカーと提携せず独自技術で油圧ショベルを開発し製造している。以来小型から超大型までを手掛ける。0.28 - 1.00[[立方メートル|m<sup>3</sup>]]の油圧ショベルを[[クボタ]] に[[OEM]]供給も行っている。 ** 全油圧式としては世界最大級の800t級ショベルがカナダで稼働している<ref>{{
| url = http://www.hitachi-kenki.co.jp/products/featured/excavator/large/ex8000_reports/030421_09.html
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20090614093142/http://www.hitachi-kenki.co.jp/products/featured/excavator/large/ex8000_reports/030421_09.html
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** 2012年現在、双腕式を唯一製造している。
**グループ会社の日建(旧山梨日立建機)では一般作業用ショベルに転用可能な地雷除去機を開発販売しており、世界的にトップシェア。
* [[小松製作所]] : 米国{{仮リンク|ビサイラス|en|Bucyrus-Erie}}社と提携していた。マイクロショベルから大型機までを手掛け、海外では700t超級も扱っている。 * [[住友建機]] : 米国{{仮リンク|FMC|en|FMC Corporation|preserve=1}}社と提携、ショベル中心の建機メーカー。ミニショベルからは撤退し、7t級 - 80t級まで。油圧ショベルベースの応用機、特殊仕様機も多い。 * [[キャタピラージャパン]] : 米国[[キャタピラー (企業)|キャタピラー]]社の日本法人。ミニクラスから大型80t級までラインナップ。ミニショベルの一部機種はクボタから調達、自社ブランドで販売している。100tを超えるクラスは自社生産をとりやめていたが、ビサイラス社を買収︵2011年︶しCATブランドの超大型が復活。 * [[加藤製作所]] : 他社と提携せず独自で開発。現在は8t級の中型から40t級の大型までを手掛ける。かつては5t未満のミニクラスや、60t超級の大型もあった。 * [[KATO HICOM]]︵旧IHI建機︶ : 加藤製作所の子会社。現在は8tクラスまでのモデル中心。かつては米国コーリング社と提携し大型もあった。また一時期コーリング社へ[[OEM]]供給も行っていた。 * [[コベルコ建機]] : ドイツのリープヘル社、米国{{仮リンク|P&H|en|P&H Mining}}社と提携。現在はマイクロショベルから大型までを手掛ける。油圧ショベルベースの応用機、特殊仕様機も多い。 * [[竹内製作所]] : ミニショベルを日本で最初に手掛けたメーカー。 * [[クボタ]] : かつてはドイツ * [[ヤンマー]] : [[農機]]のイメージが強いが、10t程度のクラスまでを手掛ける。
* [[北越工業]](エアマン) : [[コンプレッサ]]が主力ながらミニショベルも手掛ける。
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=== 過去に製造していたメーカー(日本のみ) ===
* [[油谷重工]] : フランスの{{仮リンク|ポクレン|en|Poclain}}社と技術提携。ミニチュア︵[[トミカ]]︶にもなって販売されたホイール式油圧ショベルのTY45が有名。のちに神鋼コベルコ建機と合併してブランド消滅。 * [[日本製鋼所]] (JSW) : ドイツ[[O&K]]社と技術提携。大型では40tを超えるモデルも存在した。提携終了後自社技術で開発を続けるも、のちに製造終了。最盛期には海外他社へのOEMも行っていた。製造は[[日本製鋼所東京製作所]]で行われていた。 * [[三菱重工業]] : フランスのシカム社と技術提携して[[ユンボ]]を製造。のちに6t級より上のモデルは新キャタピラー三菱(現在のキャタピラージャパン)に統合。
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* 高木鉄工所
* 山口農機製作所(ウインブルヤマグチ)
* [[TCM (企業)|東洋運搬機 (TCM)]] : フランスPINGON社と提携し14Cを製造していた。また竹内製作所から供給を受けてミニショベルを販売していたこともある。
== 油圧ショベルをテーマとした作品 ==
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== 備考 ==
メーカーは納品先から指定が無い限り車体色を統一しており、日立建機はオレンジ(正確にはタキシーイエロー)、コマツとCAT、住友、KATO、は黄色(正確にはナチュラルイエロー)、コベルコはブルーグリーン、クボタはブルーグリーンと黄色︵海外向けはオレンジ︶である。 == 脚注
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 関連項目 ==
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