管玉
概要
穿孔
装身具として利用するために紐を通すための孔︵あな︶をあける必要がある。そのための穿孔具としては、竹、鳥類の骨、極細の石製のドリル︵石錐︶や鉄製ドリルなどがあった。竹・鳥骨はじかに素材玉にあてて穿孔したが、ドリルの場合は細長い管の先に取り付けられて回転させることによって穿孔する[3]。
ドリルを用いた穿孔技術としては、
(一)管に錐︵ドリル︶をあてて直接両手でもみこむ揉錐︵もみきり︶技法
(二)弓の弦に管を巻き付け、弓を左右に動かすことで錐︵ドリル︶を回転させる弓錐︵ゆみきり︶技法
(三)管を弓の中央の孔に通し、弦を管に螺旋状に巻き付けて、弓を上下に動かすことによって錐︵ドリル︶を回転させる舞錐︵まいきり︶技法
があった[3]。なお、これに際しては、木材でつくった固定板を用意し、中央に穴をあけて粘土を詰め、そのなかに素材の玉を埋め、さらに固定板を足で押さえるなど材料・工具をともに固定する手立てが講じられ、さらに、ドリルの回転の際には摩擦材として硬く微細な砂をまくなどの工夫が施された[3]。仕上げ段階ではさらに全体に研磨が施されてひとつひとつの管玉が完成したものと考えられる。
脚注
出典
- 大塚初重・戸沢充則編『最新日本考古学用語辞典』柏書房、1996年6月。ISBN 4-7601-1302-9
- 清水久男執筆編集『製作工程の考古学』大田区立郷土博物館、1998年6月。
関連項目
- 旒(りゅう) - 冕冠につけた、宝玉を糸で貫いて垂らした飾り。玉垂(たまたれ)、中国語では玉串。
外部リンク
- 田能遺跡出土の遺物「碧玉製管玉」(『尼崎の文化財』より、尼崎市公式Webサイト)
- コレクションしまねの宝もの「勾玉・管玉」(ゆったり清らかなしまね、島根県公式Webサイト)