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テレビ・ラジオを自動的に起動させるためには緊急警報放送に'''対応した受信機'''が必要になる。
なお、受信機のスイッチを自動的にオンにして行う放送として[[緊急告知FMラジオ]]などがあるが、これらは法令に基づく緊急警報信号を使用していないことが異なる [[日本の地上デジタルテレビ放送|地上デジタル放送]]や[[ワンセグ]]・[[フルセグ]]を搭載している[[カーナビゲーションシステム]]には、緊急警報放送を受信すると強制的に放送されているチャンネルへ変更し現在地から最も近い[[避難所]]へ[[航法|ナビゲーション]]する機能が付属している NHKでの緊急警報放送は、B-CASカードやテレビのカードスロットの故障 == 概要 ==
該当する地域の住民の生命・財産の保護のため、[[放送局]]が'''緊急警報信号''' 以下の条件のいずれかに該当する場合に行われる([[放送法施行規則]]第82条
* 津波警報・大津波警報が発表された場合
* [[災害対策基本法]]第57条に基づく[[都道府県知事]]や[[市町村長|市町村長(東京特別区の区長を含む)]]からの要請があった場合
※
緊急警報放送の受信に対応した受信機は、待機状態でも緊急警報信号を受信するための回路を作動させており、緊急警報信号を受信した際には 緊急警報信号の形式はアナログとデジタルで異なる。[[NTSC|アナログ放送]]では音声に[[周波数偏移変調]] 放送の内容は通常の災害報道であり、安否情報や火の元の安全を呼びかける放送、[[津波]]の到達が予想される場合は警報・注意報の発表状況、津波の到達予想時刻などが繰り返し放送される。
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=== 緊急警報信号の種類 ===
緊急警報放送の開始・終了の際に使用される緊急警報信号には第1種開始信号、第2種開始信号、終了信号の3種ある<ref name="bqa76">[[#bqa76|日本技術士会 防災Q&A 7.6]]</ref>。
* 第1種信号は 各自治体︵[[都道府県]]、並びに[[市区町村]]︶の首長から避難指示や緊急安全確保の発動がなされた場合などに送信される︵第1種、第2種ともに約16秒間鳴らされる︶。ローカル放送で行われると推測される{{要出典|date=2024年6月}}が運用実績がない。 * * * 試験信号は、終了信号と同一であるが開始信号を送信することなく終了信号のみが送信された場合を意味しており、受信機が正常に動作するかを確認するための信号である(事実上、緊急警報放送の定期放送ともされている)。
=== アナログ放送 ===
アナログ放送では、音声搬送波に[[デジタル信号|デジタル]]の警報信号を多重して送信される。開始信号が96[[ビット]]・終了信号が192ビットの長さ、通信速度64bps︵よって、開始信号は1.5秒間、終了信号は3秒間︶で、開始/終了、地域区分、日付や時間を示す情報が織り込まれている。この信号の情報は、FSK変調 === デジタル放送 ===
デジタル放送では、制御信号の緊急警報放送識別子というデータで送信される。具体的には、伝送制御信号TMCC (Transmission and Multiplexing Configuration and Control) の中の﹁起動制御信号﹂︵起動フラグ︶と、[[MPEG-2システム|MPEG-TS]]信号の その信号を受信した放送局に合わせると、﹁このチャンネルで緊急警報放送が放送されています﹂︵[[シャープ]]製品の場合︶ === 地域符号 ===
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=== 放送の制限 ===
緊急警報放送はその役割から、放送法施行規則第82条及び無線局運用規則第138条に、規定された理由以外での使用をしてはならないとしている。しかしながら、[[2010年]][[3月7日]] 2023年12月2日(日本時間)23時37分頃にフィリピン付近で発生した地震で、23時56分に日本の太平洋沿岸に'''津波注意報'''が発表されたが、3日<!---午前--->0時のNHKニュースで、誤って緊急警報放送の開始信号を送出、直ちに終了信号を発するトラブルがあった<!---該当日・時間の放送から。3日19時の「NHKニュース7」で、関連ニュースの冒頭でも謝罪があった。--->。
== 試験信号放送 ==
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[[日本放送協会]](NHK)とほとんどの[[民間放送|民放]]各放送局では、緊急警報放送の受信機の動作などを確認するため、[[試験放送]]を月1回程度放送している。
NHKは、毎月1日︵1月のみ4日 NHKでの緊急警報放送試験信号の流れ(アナウンス音源は[[内藤啓史]]アナウンサーの声)
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「緊急警報放送の試験信号をお伝えしました。この緊急警報放送は、津波などの際、自動的にテレビ・ラジオのスイッチを入れ、情報を伝えるものです」}}
以前は[[川野一宇]]元アナウンサーのアナウンスで﹁今から、緊急警報放送の試験信号をNHK○○︵各局︶から放送します﹂と各地の放送局名が含まれていたが 試験信号の発信後に使用される映像は基本的に全国共通であるが、2004年4月から2012年3月まで使用されていた試験放送では[[阪神・淡路大震災]]発生時の被災映像︵倒壊した[[阪神高速3号神戸線]]の高架橋︶が含まれていたため、近畿広域圏︵[[NHK大阪放送局]]発︶に限り別の映像︵開始初期から行っているイラストの静止画像のみ。イラスト自体は2004年以前のものと異なる︶に差し替えられていた。2004年3月以前は、[[北海道南西沖地震]]で被災した[[奥尻島]]の映像が使用されていた{{要出典|date=2013年6月}}<!-- 出典:緊急警報放送の試験信号放送集(YouTube) ただし奥尻島かどうかは判別できず https://youtu.be/Qihxdn3Vk2c -->。 70 ⟶ 73行目:
; 凡例
:* ○:
:* △:試験放送は行っているものの
:* ×:
==== テレビ ====
*[[青森テレビ]]︵JNN︶△︵毎月1日(1月のみ2日 *[[東北放送]](JNN) 不明(月1回)
*[[日本テレビ放送網|日本テレビ]](NNN)△(不定期、放送休止中 / 過去は毎月1回実施していた)
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==== ラジオ ====
*[[青森放送]](JRN・NRN)(2011年7月20日まではテレビでも実施<ref
*[[東北放送]](JRN・NRN)(毎週第2月曜 14時59分00秒より14時59分50秒)
*[[TBSラジオ]](JRN)(毎月第2日曜放送終了後。{{いつ範囲|かつては|date=2019年5月}}毎月1日の基点時に放送)
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*[[ニッポン放送]](NRN)(毎週月曜のオープニング、「君が代」演奏後。{{いつ範囲|かつては|date=2019年5月}}日曜深夜のクロージング前に実施していた)
*[[エフエム東京]](JFN)
*[[長岡移動電話システム|FMながおか]](コミュニティFM)(毎月1日、[[長岡市]]向けは12時30分頃、[[小千谷市]]向けは12時35分頃
*[[エフエムとおかまち]](コミュニティFM)(毎月第1月曜日 14時から)
*[[エフエム雪国|FMゆきぐに]](コミュニティFM)(毎月1日(1月は年始明けの月曜日)11時53分から約2分間)
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*[[北日本放送]](テレビ・ラジオとも実施)
*[[福井放送]](テレビ・ラジオとも実施。テレビでは毎月1回、日曜のクロージング後に実施していた)。
== 受信機 ==
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緊急警報放送により自動的に受信機が起動するということは連続して待機し続けることである。つまりこれは放送を復調する受信部と緊急警報信号の特殊なパターンと一致するか判断する解析部に常時通電しておく事になるのであるが、しかしアナログ式受信機の待機電力は一般的な電化製品や映像機器より低く、これは超低消費電力と宣伝している最新機器に匹敵するほどの低消費電力である。
現在販売中のアナログ式地震津波警報機︵緊急警報放送と緊急地震速報の両方に対応した超短波FM放送専用受信機︵取扱説明書に監視時の消費電力約1.0W記載、品番EWR200、ユニデン製︶の年間電気使用料は約193円、過去に販売された中で代表的なものとして緊急警報放送受信機︵NHK緊急警報放送専用アナログテレビとFM放送対応、取扱説明書に監視時の消費電力約AC0.3Wの記載、品番RF-K1、パナソニック製︶は約58円である。家電業界がカタログ表示に用いる全国10電力会社平均単価︵1kWh=22円、月間使用量295kWh/月の場合、税込︶を年間電気使用量の換算根拠とした。デジタル放送対応チューナーは、緊急警報放送の試験信号を受信しても受信した旨の警告文を表示したり、お知らせ項目に記録を残さない。緊急警報放送の本番信号︵地震や津波︶を受信しても、待機から自動的に起動したり、視聴中に特定のチャンネルに切り替える旨の告知文を表示させるかどうかは各メーカーの判断︵仕様︶に委ねられているので購入した機器が必ず動作するなどと過度の期待は持たない方が良い == 第2種信号での運用 ==
NHKで緊急警報放送の第2種信号運用︵大津波・津波警報︶が行われる場合は、[[衛星放送]]も含めたテレビ・ラジオ全チャンネル︵[[NHK総合テレビジョン|G]]・[[NHK教育テレビジョン|E]]・[[NHK 緊急警報放送の第2種信号放送が行われる間は、Gの内容を原則としてそのまま放送する。ただし、Gの場合には地域によってローカルニュース差し替えの場合がある なお民放各局は、試験放送を行う局であっても、津波警報
民放では、津波警報の発表で緊急警報放送を送出することはほとんどないが、2010年2月︵チリ地震津波︶と2011年3月︵東日本大震災︶の大津波警報発表時には、ほとんどの民放でも緊急警報放送を実施した。しかし、日頃からの運用例がないことなどから一部の局では[[放送事故]]が発生しており、特にフジテレビではアニメ番組中だったものの、音声が出なかったり不要音が発生したりなどした。また東日本大震災の際には、テレビ東京のように本来の第2種開始信号ではなく第1種開始信号を送出した例や、TBSラジオのように終了信号を数十時間に渡り送出しなかった例 == 緊急警報放送の実施例 ==
冒頭で述べたように、緊急警報放送は以下の条件のいずれかに該当する場合に行われる<ref name="bqa76"/><ref name="itej61-6-761"/>。
; 1.(大)津波警報が発表された場合
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※前述の通り、以前は東海地震の警戒宣言が発令された場合に行われる可能性があったが、結局は実績のないままであった。
==
NHKが開発した緊急警報放送の技術は、自動起動が特徴である。1985年に世界で初めて自動起動の警報システムを実現したとして、2016年5月に電気・電子・情報分野の技術的貢献を顕彰する[[IEEEマイルストーン]]に認定されている<ref>「報道発表 [https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/kaichou/2016/04/002.pdf 世界の放送技術をリードした“ハイビジョン” と “緊急警報放送” が「IEEE マイルストーン」に認定]」、日本放送協会、2016年4月7日付、2023年1月16日閲覧</ref><ref name="ieee16">「[http://www.ieee-jp.org/japancouncil/jchc/adm/milestone/27ewcsbs.pdf IEEE MILESTONE (27)]」、[[IEEE]] Japan Council、2023年1月16日閲覧</ref>。
=== アメリカ ===▼
=== ISDBの緊急警報放送:フィリピン、南米諸国など ===
日本︵NHK︶が中心となって開発したデジタル放送方式の[[ISDB]]のうち、地上放送・衛星放送は緊急警報放送(EWBS)を実施できるよう標準化されている。フィリピンや南アメリカのいくつかの国では、日本の戦略的な技術協力によりEWBSの運用が行われている。これらの例では、日本と異なり文字スーパー表示を採用している{{efn2|映像等とは別に受信した信号により、受信機側で文字を表示する。日本の緊急地震速報での文字スーパーと同じ。}}。最初の緊急情報のみならず防災に関する続報の伝達が重視されるためで、文字情報等の伝達にワンセグの帯域を活用し、単純な警報信号というよりは、CAPや[[Lアラート]]のような防災情報の共通[[プロトコル]]の側面が強い。テレビだけではなく[[デジタルサイネージ]]︵[[電光掲示板]]︶やサイレンとの連動が行われ、一般家庭よりも役場、消防、病院などの公共の場での利用が重視されている。また運用には政府の防災機関が介在する<ref name="ieee16"/><ref name="阪口">阪口安司﹁[https://www.jtec.or.jp/activities/ARIB117ewbs.pdf EWBS 現地適合化ソリューションの考案開発など地デジ日本方式︵ISDB-T︶海外普及活動]﹂︵[https://www.jtec.or.jp/activities/ewbs.html EWBS普及促進活動]︶、一般財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力、2022年</ref>。 [[フィリピン]]ではEWBSの実施体制が整い、2016年から販売するテレビへのEWBS機能の搭載が義務付けられている<ref>「世界情報通信事情 > [https://www.soumu.go.jp/g-ict/country/philippines/index.html フィリピン] > [https://www.soumu.go.jp/g-ict/country/philippines/pdf_contents.html 監督機関・法律・政策等]」、総務省、2023年1月16日閲覧</ref>。
[[ペルー]]ではEWBSの運用が始まり公共施設への受信機設置が進められているが、未だ放送設備のデジタル化が途上にある<ref name="阪口"/>。
[[エルサルバドル]]、[[コスタリカ]]、[[ニカラグア]]では共通仕様でEWBSによる[[地震警報システム|緊急地震速報]](EEW)が試験導入されている<ref name="阪口"/>。
▲=== アメリカ合衆国 ===
{{main|緊急警報システム}}
[[アメリカ合衆国]]では、[[緊急警報システム]]として1950年代より多数の放送局に統一化された形式で警報を伝達するシステムが構築され、2012年現在は第3世代の[[:en:Emergency Alert System|Emergency Alert System]] (EAS)が整備され、全米のテレビ・ラジオ局を対象にしている。国家レベルの警報発信時には[[アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁|緊急事態管理庁]](FEMA)経由で国内基幹放送局に、州や郡レベルの警報発信時には州レベルの放送局に、それぞれ警報を伝達、そこから各支局に伝達して放送内容をコントロールする。ただし、日本の緊急警報放送のように受信機を強制起動するシステムではなく、合衆国政府や州政府が発信する統一形式の情報を各放送局に送り、自動化された警報文を字幕や音声で伝えるものである<ref name="nhkbr100403"/>。 178 ⟶ 194行目:
*第1世代 : [[:en:CONELRAD|CONELRAD]] (<u>Con</u>trol of <u>El</u>ectromagnetic <u>Rad</u>iation) - [[ソビエト連邦|ソ連]]による核攻撃への対策の1つとして、[[ハリー・S・トルーマン|トルーマン]]大統領の指示で1951年に構築された。国家レベルの有事を想定したもので、空軍から専用電話でラジオ基幹局に伝えられた後、各支局に伝達し、そこから警報を放送する方式をとっていた<ref name="nhkbr100403"/>。 *第2世代 : [[:en:Emergency Broadcast System|Emergency Broadcast System]] (EBS︶ - テレビ局も参加。政府機関から専用回線で連絡を受けた基幹局が規格化された可聴域の警報信号を放送、各地方局がそれを復調してそれぞれ放送している番組を中断、警報を放送し、準備ができ次第大統領のメッセージを伝えるしくみであった。当初は国家レベルの有事を対象としていたが、後期には各地方の非常事態や気象の警報などにも活用されていた<ref name="nhkbr100403"/>。 *第3世代 : Emergency Alert System (EAS) - 警報信号がデジタル符号化され、番組の中断や警報文の放送が自動化された。国家有事のほか、各州や郡単位の非常事態や気象警報、児童誘拐情報([[アンバーアラート]])
*︵第4世代︶ : EAS、[[携帯電話]]や[[無線呼び出し|ポケットベル]]などを対象とした[[:en:Commercial Mobile Alert System|Commercial Mobile Alert System]](CMAS)、[[アメリカ海洋大気庁|NOAA]]の[[:en:NOAA Weather Radio|気象ラジオ放送]]などを統合した[[:en:Integrated Public Alert and Warning System|Integrated Public Alert and Warning System]] (IPAWS)に移行する計画がある。各機関から放送局への電文を[[Extensible Markup Language|XML]]形式の[[:en:Common Alerting Protocol|Common Alerting Protocol]] (CAP)に統一し、"Aggregator"と呼ばれる中間機関が情報を一本化して伝達精度を高める仕組み。一部で試行が行われている<ref name="nhkbr100403"/>。 === イギリス ===
== 脚注
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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