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[[ファイル:Anker Strickendes Mädchen 1884.jpg|thumb|[[アルベール・アンカー]] "Strickendes Mädchen (編み物をする娘)"/[[1884年]]の作。]]
[[ファイル:COLLECTIE TROPENMUSEUM Indonesiërs maken meubelstukken van rotan Zuid-Celebes TMnr 10011484.jpg|thumb|[[トウ|籐]]編み職人。[[1948年|1948]]-[[1949年]]頃の[[インドネシア]]で撮影。]]
'''編み物'''︵あみもの、編物とも表記︶とは、[[糸]]、特に[[毛糸]]や[[綿糸]]を編んで作った[[布]]や[[衣類]]︵[[肌着]]、[[ジャージー (衣類)|ジャージー]]、[[セーター]]等︶、[[装飾品]]︵[[レース (手芸)|レース]]等︶、およびそれらの製品を作る行為、[[工芸]]、[[手芸]]である<ref name="daijisen_amimono">デジタル大辞泉﹁あみもの﹂</ref>。[[英語]]を借りて'''ニット'''︵knit︶とも言い、またポルトガル語やスペイン語で靴下を意味する'''[[メリヤス]]'''という呼び方もあり<ref name="asahi201619">{{Cite news | title = よみがえる紀の国:8 「紀州肌着」で産地広くPR、「信和ニット」
| newspaper = [[朝日新聞]]
| date = 2016-01-09
| author = 平畑玄洋
| publisher = 朝日新聞社
| page = 朝刊 和歌山版
}}</ref>、[[江戸時代]]から[[1950年代]]ころまで用いられた。
編む(あむ)とは、[[紐]]状のものを絡み合わせたり、結びあわせてひとつの形に作り上げることを意味する動詞(用言)であり<ref>「編む」『[[日本国語大辞典]]』等</ref>、[[糸]]だけでなく、[[竹]]や[[つる植物|蔓]]、[[トウ|籐]]、[[バショウ|芭蕉葉]]、[[針金]]等で、[[籠]]・[[ござ]]などの[[工芸品]]や[[建築]]材を作る行為、[[ビーズ]]で[[装身具]]等を編む行為、[[髪]]を編む行為([[三つ編み]]等)も含まれる。また、[[漁]]を行うための[[網]](あみ、[[漁網]])も編んで作られている。ただし、一般的にはこれらの行為の結果の製品を「編み物」とは呼ばない。なお、[[英語]]ではこれらは糸を編む行為とは区別し、weave([[織り]])、plait または braid(いずれも[[組紐]]、わら編み、髪編み等)と言う。日本語でも、糸を素材とする場合には、「[[編み]]」と「[[織り]]」は、糸と糸の関係、構造(トポロジー)は明確に区別されている。[[織物]]が、多数の経糸(たていと)および(しばしば1本の)横糸を用いて、糸が交差する構造で「一段ずつ」布地を作ってゆくのに対し、編み物は、[[結び目]]を作る要領で「一目ずつ」形を作って行くことが特徴である。
編み物は手によって編むこと('''手編み''')と、機械によって編むこと('''機械編み''')のふたつに大別できる。
==
編みの起源は古く、[[旧石器時代]]にまでさかのぼる。世界的に見て、発見されている最初期の編み細工は、1本の連続した糸を編んで作った[[網]]である。やがて、糸・藁・紐・竹などを素材とし、手や針を用いて様々な生活道具︵籠・敷物等︶や衣類が作られるようになった。日本でも、縄文時代早期に漁網が編まれていたことが判っている<ref name="britanica">ブリタニカ百科事典﹁あみもの︻編物︼knitting﹂</ref>。 伸縮性のある素材の編み方は﹁スプラング﹂や﹁ブレーディング﹂と呼ばれ、[[青銅器時代]]には知られていた。現在の編み物に近いもので、年代が確定された最古のものは、[[ローマ帝国|帝政ローマ]]時代の[[シリア]]の[[古代の植民都市#古代ローマの植民地|ローマ植民都市]][[ドゥラ・エウロポス]]から発見された[[3世紀]]のものとされる。[[古代]]の編み針は、現在のかぎ針に近い形状であったと考えられる。シリアおよび[[エジプト]]が起源となり、[[ムーア人]]や[[アラブ商人]]から[[フランス]]や[[スペイン]]に伝えられたと推定されている。 [[ファイル:KnittingMadonna.jpg|thumb|upright|{{仮リンク|輪編み|en|Circular knitting}}をする様子が描かれている最初期の絵画。[[1400年|1400]]-[[1410年]]頃、{{仮リンク|マイスター・ベルトラム|en|Master Bertram}}筆。]] [[産業]]としての編物は[[フランス]]で発展し、[[16世紀]]には[[職人]]による[[ギルド]]が作られた。[[1589年]]︵一部の資料では[[1588年]]︶に[[イギリス人]][[牧師]]、ウイリアム・リー︵[[:en:William Lee (inventor)|William Lee]]、1563年 - 1610年︶が、足踏式による靴下編機︵緯編 よこあみ︶を発明し、[[1775年]]には同じく[[イギリス]]で経編︵たてあみ︶機が登場する。編機の改良が進み、手編から機械編の時代へと移行していった<ref name="me1">世界大百科事典 第2版︵メリヤス編機︶ 2006年 平凡社</ref>。[[1849年]]には、イギリスのマッシュー・タウンゼント︵Matthew Townsend︶が従来のヒゲ針の改良に成功し、現代のメリヤス編機に多く採用されているベラ針︵Beard Needle︶を考案したことで、編物工業の進歩は促進された<ref name="me1"/>。機械編みは、現代では[[Tシャツ]]や[[ジャージー (衣類)|ジャージー]]、[[肌着]]、[[靴下]]等の生地生産に広く使われ、また[[既製服]]の[[セーター]]等も作られている︵[[カットソー]]︶。 [[日本]]では、[[組紐]]を除き、伝統的に布地や衣類を編んで作ることはほとんどなかったが、[[17世紀]]後半に[[スペイン]]や[[ポルトガル]]等から編地が渡来し、[[ポルトガル語]]や[[スペイン語]]の「[[靴下]]」を意味する言葉から、[[メリヤス]]と呼ばれ、[[足袋]]等を作る技法として普及した。[[1954年]](昭和29年)にミシンメーカー大手の[[ブラザー工業]]株式会社が[[編機]]分野と家庭電器分野に進出したことで、機械織りが可能な家庭用編み機が日本全国の家庭でブームとなり、編み物が衣料用生地の主要な位置を占めるようになった。
== 技法 ==
{{出典の明記|date=2018年6月|section=1}}
[[File:L-Netze.png|thumb|さまざまな編みの技法。Otto Lueger, ''Lexikon der gesamten Technik'', 1904年]]
編み物は最初に基準となる結び目を作り、その中に糸を通して輪を作ることの繰り返しが基本的な編み方の操作である。編み物の素材は[[毛糸]]や[[綿糸]]が最も一般的である。他にはレース糸、絹糸、刺繍糸などもある。糸は染色に用いる染料が同じであっても製造時のバラツキによって色調が異なることがあるため、同時に染色した製品にロット番号が付いており、多数の同色の毛糸を必要とする場合はロット番号の同じ物を用いる。 編み物を製作するにあたって必要なものに﹁'''編み図'''﹂がある。これは作品の﹁設計図﹂とも、作品を編みすすめる為の﹁手順図﹂や﹁指示書﹂ともいえる。編み図には、一定のルールを持つ[[記号]]︵白い楕円、黒い楕円、﹁X﹂あるいは﹁+﹂、T字など︶でひとつひとつの編み目の種類が表記されているほか、製作に必要な毛糸の量なども載っている。編み図は編物の書籍・雑誌などに付属しており、また手芸店で販売されていることもある。 === 手編み ===
{{double image|right|Knitting needles.jpg|120|Knitting_tools.png|120|様々な棒針。片側に﹁抜け﹂を止める﹁玉﹂がついているものや両端がとがっているものがある。|かぎ針︵写真右下の2本)、そしてあみものに使うさまざまな道具︵ほつれ止め、はさみ 等々︶。|||}} 手編みの場合、複数本の棒針を用いる'''棒針編み'''の技法や、鈎状のかぎ針1本で編む'''かぎ針編み'''︵'''クロシェ'''︶、また針は使わずにもっぱら[[指]]だけで編む'''{{ill2|指編み|en|Finger knitting}}'''などがある。編物に用いる﹁針﹂︵棒状の道具︶を'''編み針'''と呼び、素材は、[[竹]]、[[金属]]、[[プラスチック]]などがある。﹁棒針﹂と﹁かぎ針﹂がある。針の太さは号数で表し、日本の規格では数字が大きいほど太い。糸の編み始めと編み終わりを処理するため、あるいは編んだものを縫い合わせるために、糸を通す穴の開いた金属製の'''とじ針'''も用いられる。形状は一見すると裁縫用の針に似ているが、先端は鋭く尖ってはいない。その他、ほつれ止め︵作業を休止する場合に編み目が解けないよう保持する器具︶、編んだ目の数を数えるための[[カウンター]]などが用いられる。 ====棒針編み====
{{Main|棒針編み}}
[[ファイル:Pink knitting in front of pink sweatshirt.JPG|thumb|[[棒針編み]]]]
先端がゆるやかに尖った棒針と呼ばれる棒状の用具を用いる方法が[[棒針編み]]である。棒針は2本、4本、5本で1組で、2本の針をビニールなどの柔軟性のある素材でつないだ輪針もある。棒の一端は編んだ糸が抜け落ちることを防ぐためキャップなどが付けられることがある。
基本技法として表編みと裏編みがあり、それらを組み合わせることによって複雑な形状や各種の模様を作り出す。伸縮性がある、肌触りが良いなどの特徴があるため、[[襟巻き|マフラー]]、[[靴下]]、[[手袋]]、[[セーター]]等の衣類に一般的に用いられる方法である。片面から見て全ての目が同じ形状になる編み方(平編み、メリヤス編み)にするには、往復編みの場合1列おきに表編みと裏編みを繰り返す。また、表編みばかりを繰り返すことにより、1列おきに表編みと裏編みが交互に現れる編み目(ガーター編み)になる。応用として伸縮性を特に高めたゴム編みと呼ばれる編み方もある。
===
{{Main|かぎ針編み}}
[[ファイル:Crochetgreen.jpg|thumb|[[かぎ針編み]]]]
かぎ針と呼ばれる用具を用いる方法が[[かぎ針編み]]である。かぎ針は棒針より短く、先端に糸を引っ掛けるために鉤︵かぎ︶状になっている。鎖編みと呼ばれる編み方を基準としている。編み方にもよるが、棒針で編むよりも糸の使用量が多く重くなりがちなため、[[帽子]]やマフラーなどの小物類、[[あみぐるみ]]などに用いられる。棒針編みの補助的な役割として使われることがある。 ====アフガン編み====
{{Main|アフガン編み}}
一方がかぎ針状、もう一方が棒針状の、アフガン針と呼ばれる長い針を用いる方法が[[アフガン編み]]である。織物のような独特の編み目となり、伸縮性が少なく目の細かい編み方が特徴である。この編み方で編んだ毛布を特に[[アフガン (乳児用品)|アフガン]]と呼ぶ。
====レース編み====
{{Main|レース編み}}
[[レース (手芸)|レース]]の製法のうち、編み物の技法を用いたもの。1本または何本かの細い糸を用いて、すかし模様にする技術の総称である。 ===
[[File:Rundstrickmaschine Nadel scharf.jpg|thumb|機械編み]]
機械編みは、簡単な動作あるいは完全自動で、連続した多数の小さな針を機械的に動かして編み、編み目は手編みと同じ構造ではあるが、網目に﹁ゆらぎ﹂﹁人間味﹂﹁あたたかみ﹂などがある手編みと異なって、一般に網目が一定で︵しかもしばしば編み目が比較的小さく︶、一見して機械編みのものだと判る仕上がりになる。単純な編み機を用いた手芸に[[リリヤン]]等がある。 == ギャラリー ==
<gallery mode="nolines" widths="200" heights="170">
ファイル:Caspar Netscher 003.jpg|[[カスパル・ネッチェル]] <br />『レースを編む女』<br />/[[1662年]]の作。
ファイル:Jan Vermeer van Delft 016.jpg|[[ヨハネス・フェルメール]] 『[[レースを編む女]]』/[[1669年|1669]]-[[1664年]]頃。
ファイル:Heinrich Maria von Hess - Portrait of Fanny Gail - WGA11384.jpg| ファイル:Albert Anker Die kleinen Strickerinnen.jpg|[[アルベール・アンカー]] "Die kleinen Strickerinnen (編み物をする二人の少女)"/[[1850年|1850]]-[[1900年]]頃。
ファイル:The Knitting Woman painting by William-Adolphe Bouguereau.jpg|[[ウィリアム・アドルフ・ブグロー]] "The Knitting Woman (編み物をする女)"/[[1869年]]。
ファイル:William-Adolphe Bouguereau (1825-1905) - Tricoteuse (1879).jpg|ウィリアム・アドルフ・ブグロー "[[:en:Tricoteuse|Tricoteuse]]"/[[1879年]]。
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</gallery>
== 脚注
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}
== 関連項目 ==
{{Commonscat|Knitting}}
* [[メリヤス]]
* [[裁縫]]
* [[衣類]]
* [[織物]]
*
* [[2月10日]] - ニットの日。
* [[ラベリー]]
* [[ニッタ・プリーズ]]
* [[編布]] - 縄文期から続く技法を用いた布
* [[ボーヒュース・ステックニング]]
{{被服の部位と素材}}
{{Normdaten}}
{{Textile-stub}}
{{DEFAULTSORT:あみもの}}
[[Category:編物|*]]
[[Category:ニードルワーク]]
[[Category:趣味]]
[[oc:Tricot]]
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