長沢延子
日本の詩人
略歴
4歳で母と死別、12歳で伯父の養女となった[3]。養家は桐生の裕福なお召織屋であった。自分の一番最初の記憶が母親の死に顔であるという延子は、幼い頃から何度か自殺未遂をした。1944年︵昭和19年︶、桐生高等女学校に入学。敗戦後の混乱のなか、学校では新聞部や社会部をつくり、手書きの壁新聞をつくっては校内に貼って回った。授業をよくサボり、階段の踊り場に置かれた机の上に寝そべっては空を眺めるのを好んだ[4]。
1946年︵昭和21年︶に自殺した原口統三の遺著﹃二十歳のエチュード﹄︵1948年刊︶に強く感化され、自らを﹁原口病﹂であると称した[5]。日本青年共産同盟︵青共︶に加入した。1949年︵昭和24年︶3月に女学校を卒業後、間もなく服毒自殺を遂げた[4]。戒名は美徳院温良妙延清大姉[3]。亡くなる前に詩と手記を清書した5冊のノートを親友に託していた[6]
1965年︵昭和40年︶、家族と友人らにより遺稿集﹃海﹄が編纂され、500部自費出版された。詩人や作家に贈呈したところ評判を呼び、1968年に﹃友よ私が死んだからとて﹄の題名で天声出版[注釈1]より一般販売された。その後も1970年︵昭和45年︶に都市出版社、1983年︵昭和58年︶に出帆新社から刊行された[4]。
再評価
2004年︵平成16年︶、日本大学芸術学部の中村文昭教授による詩のアンソロジーに取り上げられ[8]、2008年︵平成20年︶には文芸雑誌﹃江古田文学 第68号﹄で長澤延子の特集が組まれた[9]。翌年には福島泰樹の評論集﹃悲しみのエナジー 友よ、私が死んだからとて﹄︵三一書房︶が刊行され、長沢延子が取り上げられた[10]。
2011年︵平成23年︶には、群馬県立土屋文明記念文学館で﹁夭折の詩人 長澤延子・中沢清展﹂が開催された[11]。2015年︵平成27年︶には、作曲家の寺嶋陸也が母親の故郷である桐生の詩人ということで興味を持ち、桐生で活動している女声合唱団﹁あんさんぶるめい﹂のために延子の詩に曲をつけた[12]。
2021年︵令和3年︶、皓星社より福島泰樹編による﹃長澤延子全詩集﹄が刊行、クリハラ冉による解題、新井淳一、澤地久枝による特別寄稿を収めている[6]。
書誌情報
脚注
注釈
出典
(一)^ 講談社﹁デジタル版 日本人名大辞典+Plus﹂. 長沢延子. コトバンクより2022年12月3日閲覧。
(二)^ 日外アソシエーツ﹁20世紀日本人名事典﹂︵2004年刊︶. 長沢 延子. コトバンクより2022年12月3日閲覧。
(三)^ abc大塚英良﹃文学者掃苔録図書館 : 作家・詩人たち二五〇名のお墓めぐり﹄原書房、2015年、162頁。ISBN 978-4562051878。
(四)^ abc山下武﹃夭折の天才群像 - 神に召された少年少女たち﹄本の友社、2004年、165-176頁。ISBN 978-4894394742。
(五)^ 夭折の詩人 長澤延子 中沢清.pdf[リンク切れ] - たかさき日和︵高崎観光協会blog︶
(六)^ ab“長澤延子全詩集”. 皓星社. 2022年12月2日閲覧。
(七)^ 小田光雄 (2017年5月15日). “本を読む ＃016 ︿天声出版と﹃血と薔薇﹄﹀”. 論創社. 2022年12月3日閲覧。
(八)^ “現代詩研究”. えこし文庫. 2022年12月3日閲覧。
(九)^ “﹃江古田文学﹄第68号”. 日本大学芸術学部文芸学科. 2022年12月3日閲覧。
(十)^ クリハラ冉 (2009年4月18日). “福島泰樹著﹃悲しみのエナジー﹄”. えこし会のブログ. 2022年12月3日閲覧。
(11)^ “夭折の詩人 長澤延子・中沢清展”. インターネットミュージアム. 2022年12月3日閲覧。
(12)^ “寺嶋陸也‥長澤延子の詩による五つの歌﹁折鶴に﹂”. カワイ出版. 2022年12月3日閲覧。
外部リンク
- 長澤延子 - 文学者掃苔録
