「阪神5700系電車」の版間の差分
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車体は急行系の[[阪神1000系電車|1000系]]を基本とし、電装品は[[阪急阪神東宝グループ|グループ]]である[[阪急電鉄]]の[[阪急1000系電車 (2代)|1000系]]・[[阪急1300系電車 (2代)|1300系]]で採用された要素も取り入れ<ref>{{Cite web |date=2015-06 |url=https://www.hankyu-hanshin.co.jp/corporate/about_us/newsletter/file/newsletter_06.pdf |title=阪急阪神ホールディングスグループ 都市交通事業の節電・省エネへのさまざまな取り組み |format=PDF |publisher=[[阪急阪神ホールディングス]] |accessdate=2016-07-09}}</ref><ref name="tr201601_p39">﹁MODELERS FILE 阪神電鉄 5700系電車﹂﹃とれいん﹄2016年1月号、39頁。</ref>、﹁人と地球へのやさしさ﹂を追求し、サービス向上と新技術などの導入で環境負担の低減が図られている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=90}}。その一例として、車両に搭載されている全ての照明器具には[[発光ダイオード|LED]]が使用されている<ref name="pressrelease">{{Cite press release |url=http://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20150330-5700kei.pdf |format=PDF |title=人と地球へのやさしさを追求した新型普通用車両5700系を導入します 〜普通用車両で20年振りの新型を今夏から導入〜 |author=阪神電気鉄道株式会社 |publisher=阪神電車 |date=2015-03-30 |accessdate=2015-12-09}}</ref>。 {{試聴
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=== 編成 ===▼
▲列車は4両固定編成で、貫通扉を備えているが併結運転は行わない{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。本形式ではMc車を0.5M0.5T構成とした事で5550系と同様に3M1T相当の[[電動車]]比率かつ全電動車編成となった{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=90}}<ref name="railf">{{Cite journal |和書 |title=阪神﹁ジェット・カー﹂57年のあゆみ |journal=[[鉄道ファン (雑誌)| 鉄道ファン]] |publisher=[[交友社]] |year=2015 |month=10 |issue=654 |page=85}}</ref>。これにより回生電力の向上と乗り心地の改善が図られている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=90}}。 4両編成の神戸方先頭車が付随車となっていた5550系では、運転士より神戸方面行き列車を運転する際に後ろから押される違和感を感じるとの意見もあった<ref name="dj201903_p19" />。5700系では同一の[[MT比]]ながら両先頭車の運転台側の台車が付随台車とされており、神戸方面行きと大阪方面行きの両方向の列車で同じ運転感覚となるよう改良がなされている<ref name="dj201903_p19">「阪神電車“ジェットカー”大研究」『[[鉄道ダイヤ情報]]』2019年3月号(通巻419号)、[[交通新聞社]]。p.19。</ref>。▼
=== 車体 ===
前照灯周りは1000系と共通しているが、新色のカインドブルーを配している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。尾灯は車体下部に縦に設置されている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=90}}。前面ガラスは[[合わせガラス|熱線吸収強化合わせガラス]]が採用され、飛散防止中間膜の他新たに赤外線カット膜が追加されている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}。側面窓は従来車より6ミリメートル厚い熱線吸収強化ガラスを採用し、巻き上げ式のフリーストップカーテンを設置する{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。 側面は、ドア周りに﹁一期一駅﹂のおもてなしの心と青い地球をシンボリックにイメージした青い大円のグラフィックを配している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。これはドアの位置を容易に把握しやすくさせるとともに普通用車両の﹁やさしさ﹂を表現している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。側面の行先表示器は関西の鉄道車両では初めて次駅表示に対応している<ref name="RJ400">{{Cite journal ===
台車は[[日本製鉄|新日鐵住金]]製<ref name="RJ400" />のモノリンク式ボルスタ付台車のFS-581M(電動台車)・FS-581T(付随台車)を装着する{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}。1000系や1995年登場の5500系ではモノリンク式ボルスタレス台車を装着していたが、本形式ではボルスタ付台車に戻っている<ref name="railf" />。これは普通列車が待避線に入線する事が多い事と、ランニングコストを考慮しての判断によるものである{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}。▼
騒音低減を目的として、[[主電動機]]には定格出力190キロワットの東芝製全閉自冷式[[永久磁石同期電動機]] (PMSM) を採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}<ref>{{Cite press release |url=https://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_03/pr_j3104.htm |title=阪神電気鉄道 新型車両向け電気品受注について |publisher=東芝 |date=2015-03-31 |accessdate=2015-12-09}}</ref>。制御装置は[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]素子を用いた2レベル方式の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ]]制御装置である{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。これにより抵抗制御車の5001形に比べて約50パーセントほど消費電力を削減している<ref name="pressrelease" />。補助電源装置はスイッチング素子にハイブリッド[[炭化ケイ素|SiC]]インバータを用いた高効率の装置を両先頭車に搭載している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。出力が異なる装置を各車2台搭載し、1台停止してもサービス維持のために必要な電力を供給できるようM1車に受給電装置を設置している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。駆動装置は低騒音化を図った歯車と{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}、風切音を低減した新形式の[[TD継手]]を採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。▼
ブレーキ装置は、MBSA形回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。常用ブレーキと非常ブレーキの他、直通予備ブレーキを搭載する{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。Mc-M車の2両を制御するブレーキ受信装置がM車に搭載されている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。常用ブレーキ時は1両単位でブレーキシリンダーの圧力を調整し、回生ブレーキ作動時はM台車のみでブレーキ力を負担するが、それだけで不足する場合は全台車均等に補足空気ブレーキが掛かるようになっている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。▼ インテリアデザインは、吊り革、座席、床など、[[大阪湾|摂津灘]]をイメージした水模様が施されている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。これは、車内でも一目で普通列車だと判るようにもなっている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}。 103 ⟶ 92行目:
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==== 乗務員室 ====
運転台は、5550系と同様に[[鉄道車両のモニタ装置|モニター]]と[[マスター・コントローラー#縦横軸併用ツインレバー型マスコン|縦横軸併用マスコン]]を採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。増えつつある女性乗務員の操作性を考慮して一部のスイッチとブレーカーの位置が低くなり、手掛けや踏み台も設置された{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}。放送装置はAVC付増幅方式の装置を搭載し、放送回路の切り替えモードに加えて車内外同時に放送可能とする機能と乗降促進放送機能が追加された{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。半自動ドア使用時や急ブレーキ使用時に自動放送が流れる{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。 <gallery>
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▲台車は[[日本製鉄|新日鐵住金]]製<ref name="RJ400" />のモノリンク式ボルスタ付台車のFS-581M︵電動台車︶・FS-581T︵付随台車︶を装着する{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}。1000系や1995年登場の5500系ではモノリンク式ボルスタレス台車を装着していたが、本形式ではボルスタ付台車に戻っている<ref name="railf" />。これは普通列車が待避線に入線する事が多い事と、ランニングコストを考慮しての判断によるものである{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}。 ▲4両編成の神戸方先頭車が付随車となっていた5550系では、運転士より神戸方面行き列車を運転する際に後ろから押される違和感を感じるとの意見もあった<ref name="dj201903_p19"
▲騒音低減を目的として、[[主電動機]]には定格出力190キロワットの東芝製全閉自冷式[[永久磁石同期電動機]] (PMSM) を採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}<ref>{{Cite press release |url=https://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_03/pr_j3104.htm |title=阪神電気鉄道 新型車両向け電気品受注について |publisher=東芝 |date=2015-03-31 |accessdate=2015-12-09}}</ref>。制御装置は[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]素子を用いた2レベル方式の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ]]制御装置である{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。これにより抵抗制御車の5001形に比べて約50パーセントほど消費電力を削減している<ref name="pressrelease" />。補助電源装置はスイッチング素子にハイブリッド[[炭化ケイ素|SiC]]インバータを用いた高効率の装置を両先頭車に搭載している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=91}}{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。出力が異なる装置を各車2台搭載し、1台停止してもサービス維持のために必要な電力を供給できるようM1車に受給電装置を設置している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。駆動装置は低騒音化を図った歯車と{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=92}}、風切音を低減した新形式の[[TD継手]]を採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。 ▲ブレーキ装置は、MBSA形回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用している{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。常用ブレーキと非常ブレーキの他、直通予備ブレーキを搭載する{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。Mc-M車の2両を制御するブレーキ受信装置がM車に搭載されている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。常用ブレーキ時は1両単位でブレーキシリンダーの圧力を調整し、回生ブレーキ作動時はM台車のみでブレーキ力を負担するが、それだけで不足する場合は全台車均等に補足空気ブレーキが掛かるようになっている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=93}}。 列車はMc-M車の各2両のユニットで構成されている{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=90}}。車番は5500系同様、梅田方には奇数の連番、元町方には偶数の連番が付与される{{sfn|鉄道ジャーナル第588号|page=90}}。 |