AMS-LaTeX
AmS-LaTeXは、アメリカ数学会 (AMS) 向けに開発された、数学的記述のための LaTeX のドキュメントクラスとパッケージのコレクションである。複数行その他の数学的記述の組版、ドキュメントクラス、多数の数学記号を含むフォントなどを追加する[1]。
最新版 |
v2.20 |
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プログラミング 言語 | LaTeX, TeX |
対応OS | Unix系、Windows |
プラットフォーム | TeX Live, MiKTeX |
種別 | ライブラリ |
ライセンス | LaTeX Project Public License |
公式サイト |
www |
開発経緯
編集AMS は元々 Michael Spivak による TeX のマクロパッケージである AmS-TeX の開発を支援していた。しかし、その後レスリー・ランポートによって TeX をより使いやすくした LaTeX が開発されると、LaTeX の中で AmS-TeX の機能を使えるようにすることが望まれるようになり、Frank Mittelbach や Rainer Schöpf の主導のもと AmS-LaTeX が開発された[2]。
2023年2月現在、AMS が提供している LaTeX ユーティリティは以下の通り[3]で、AmS-TeX は過去のものとなっている。
- AmS-LaTeX:AMS 出版物のためのドキュメントクラス群 amscls と数式の書きやすさや組版品質を向上させるパッケージ amsmath の二部構成
- AMSFonts:数式用フォントの拡張や多数の数学記号を提供するパッケージ amssymb と Eular フォントを使用するためのパッケージ群(eucal, eufrak, euscript)
- amsrefs:AMS 論文誌用の文献目録スタイルを提供するパッケージ
- snapshot:LaTeX ドキュメントの外部依存関係リストを取得するパッケージ
高度な数式を使う際には amsmath と AMSFonts を使用することが標準的であるとされる[4]。
AmS-LaTeX の構成
編集\text
コマンドを提供する。
●amsopn.sty‥基本的な演算子名︵\sin
, \li
m
など︶と演算子のユーザ定義のためのコマンド \Decl
areMathOperator
を提供する。
●amsbsy.sty‥数式におけるイタリック体の太字を提供する。現在はbmパッケージの使用が推奨されているが互換性のために残されている。
また、AmS-LaTeXのバージョン1.1までは AmS-TeXの影響が強く残り、バージョン 1.2 からLaTeX2ε に適合する形に刷新された[2]ため、旧バージョンとの互換性のための以下のパッケージが存在する。これらは amsmath によって自動的に読み込まれるものではない。
\ref
による参照を直立体にする。
●amsthm.sty‥定理や証明を適切なスタイルで記述するための環境を提供する。
使用例
編集LaTeX2eの次のコードにより、AMS-LaTeXロゴが生成される( )。
%%% -- AMS-LaTeX_logo.tex -------
\documentclass{article}
\usepackage{amsmath}
\begin{document}
\AmS-\LaTeX
\end{document}
パッケージには、複数行の式を書式設定するための一連の機能がある。例えば次のコード
\begin{align}
y &= (x+1)^2 \\
&= x^2+2x+1
\end{align}
は、次のように2行の等号が互いに整列するようにする。
AMS-LaTeXには、定理や補題などの書式設定や番号付けのための多くの柔軟なコマンドも含まれている。たとえば、theorem環境
\begin{theorem}[Pythagoras] Suppose $a\leq b\leq c$ are the side-lengths of a right triangle.\\ Then $a^2+b^2=c^2$.\end{theorem}
\begin{proof}. . . \end{proof}
は、以下を生成する。
Theorem (Pythagoras) Suppose are the side-lengths of a right triangle.
Then .
Proof. . . □
脚注
編集出典
編集- ^ Gratzer 1996.
- ^ a b 奥村 & 黒木 2020, p. 105.
- ^ “AMS :: TeX Resources” (英語). American Mathematical Society. 2023年2月3日閲覧。
- ^ 奥村 & 黒木 2020, p. 106.
- ^ “User's Guide for the amsmath Package (Version 2.1)” (英語) (2020年). 2023年2月3日閲覧。