ずいずいずっころばし
﹁ずいずいずっころばし﹂は、古くから日本に伝わる童謡︵わらべうた︶。遊び歌として知られ、その遊戯をもいう[1]。﹁お茶壺道中﹂についての唄だと言われているほか、不純異性交遊を表す戯歌とする説もある。
かつて、NHKの﹃みんなのうた﹄でも放送された。
2006年︵平成18年︶に文化庁と日本PTA全国協議会が﹁日本の歌百選﹂に選定した[2]。
歌詞
編集ずいずいずっころばし
ごまみそずい
茶壺に追われて
とっぴんしゃん
抜けたら、どんどこしょ
俵のねずみが
米食ってちゅう、
ちゅうちゅうちゅう
おっとさんがよんでも、
おっかさんがよんでも、
行きっこなしよ
井戸のまわりで、
お茶碗欠いたのだぁれ
意味
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この歌詞の意味は、江戸幕府のお茶壺道中[3]と結びつけて解釈するのが伝統的な見解である。例えば、﹃胡麻味噌を摩っていると、お茶壺道中が来ると言うので、家の中に入って戸をピシャリと閉めて︵=トッピンシャン︶やり過ごす。そしてお茶壺道中が通り過ぎるとやっと一息つけたのである︵=ぬけたらドンドコショ︶。この騒ぎに、俵から米を取り出し、食べていた鼠が驚いてチュウと鳴いた、喉がかわいた子供達が井戸に集り、争って水を飲んだのでお茶碗を割ってしまった。﹄などと解釈する。他方、歌詞自体はナンセンス、支離滅裂であるなどとして、意味不明のところに意味を認めようとする説もあり、これも一つの通説として認識されている[4]。
この童謡をお茶壷道中と結びつけるのは、﹁茶壷﹂という部分のみであるが、古いバージョンの歌詞には、これを﹁烏坊﹂として伝えるものがある。また、お茶壷道中は、江戸時代前期に制度化されたが、この童謡は、江戸時代の文献には記録されていない。お茶壷道中を離れた解釈としては、これに性的な意味を見出す視点があり、西沢爽の詳細な論証がある。しかし、﹁半信半疑か、触れられることが好まれないからか、一般には普及していない。﹂︵若井勲夫︶[5]とされる。この視点からは、﹁茶壷﹂が、女性器︵つび︶を意味する近世の隠語として用いられていること、その元の形である﹁烏坊﹂も、遊女を意味する隠語であることなどが指摘されている[6]。
遊戯
編集みんなのうた
編集歌謡曲
編集1961年に北原謙二が歌い、シングル盤として発売した「ずいずいずっころばし」(作詞:西沢爽、作曲:船村徹)の曲中で、本楽曲のフレーズを引用している[7]。
脚注
編集注釈・出典
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(一)^ ﹃広辞苑 第五版﹄ 岩波書店、1998年11月11日、1407頁。
(二)^ “日本の歌百選” (PDF). 文化庁. 2024年3月24日閲覧。
(三)^ お茶壺道中とは、現在の京都府宇治市の名産品である宇治茶の新茶を、街道を経由して江戸の将軍︵徳川将軍家︶に献上するための茶壺を運ぶ行列︵宇治採茶使︶のことである。その性格上、一般の大名行列はおろか徳川御三家の大名行列よりも格上とされたこの壺運搬の一行に対して、切捨御免の時代柄、庶民は粗相の無いように細心の注意を払っており、子どもたちは両親に呼ばれても決して外に出てはならないと教えられた。︵“他抜く愛敬 名陶の里 信楽高原鉄道 - 関西”.朝日新聞社DIGITAL. 2019年7月5日閲覧。︶
(四)^ 若井勲夫 (2010). “童謡・わらべ歌新釈(下)”. 京都産業大学論集. 人文科学系列 41: 286-283.
(五)^ 若井勲夫 (2010). “童謡・わらべ歌新釈(下)”. 京都産業大学論集. 人文科学系列 41: 286, 281.
(六)^ 若井勲夫 (2010). “童謡・わらべ歌新釈(下)”. 京都産業大学論集. 人文科学系列 41: 286, 278-277, 276.
(七)^ 北原謙二 ずいずいずっころばし - 歌ネット
関連項目
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●忍法かげろう斬り - テレビドラマ版オープニングにて、この歌の冒頭部分を主人公の鷹︵演‥渡哲也︶が口ずさんでいる︵第13話まで︶。劇中で披露した回もある。
●西條八十 - 当人作詞・松平信博作曲で、﹁ズイズイズッコロ橋﹂という童謡がある。豚の親子を手始めに、次々と動物たちが、山の丸木橋から転げ落ちるという内容。
●極上パロディウス 〜過去の栄光を求めて〜 - ステージ6のボス戦BGMでアレンジされたものが使用されている。
●斎藤清六 - 1982年に吹き込み、アルバム﹃なんなんなんだ!?﹄に収録した。
●元祖天才バカボン - 29話﹁天才バカボンの劇画なのだ﹂で、この歌を歌うと弾丸が出る鉄砲を使いヤクザが抗争を繰り広げる。