一般的にトラックバックとは、他人のブログの記事の内容を引用・参照した時、あるいは他人のブログの記事が自身のブログの記事と関連性のある話題を書いている場合などに、自身のブログの記事が引用・参照したことや関連性があることを通知する目的で行なわれるものである。
この機能を利用するためには、自分のウェブサイトがトラックバックを送信でき、かつ相手のウェブサイトがトラックバックを受信できる必要がある。自身のウェブページのリンクや、概要を載せたい相手のウェブページのトラックバックURLをコピーし、自身のウェブページからトラックバックPingを送信する方式が多い。
トラックバック機能が出現する以前も、コメント欄や掲示板などに書き込んで、他人のウェブサイトにリンクを張ったり、自分のウェブサイトの概要をまとめて通知することはできた。しかしトラックバックの機能は、そのようなやり方に比べて、かなり簡単にそれらと同じ結果が得られる点が、非常に画期的であった。
スパムの問題から、ブログの管理者が容認しないとトラックバックの結果を表示しないブログもある。
トラックバックは、当初はブログで使われるものだったが、次第にブログ以外にも、Wikiやニュースサイト、掲示板などでも利用されるようになった。
しかし依然としてスパムの問題は重く、またインターネットにおける交流や情報発信の場がブログからソーシャル・ネットワーキング・サービスに移り変わるようになった2010年頃からは習慣としてのトラックバックに陰りが見えはじめた。日本国内では忍者ブログ︵利用者減少・スパム増加のため、2011年廃止︶[1]、楽天ブログ︵旧楽天広場、スパム増加のため、2011年に受信機能廃止︶[2]、アメーバブログ︵2012年廃止︶[3]、ライブドアブログ︵利用者減少・スパム増加のため、2017年廃止︶[4]、gooブログ︵利用者減少・スパム増加のため、2017年廃止︶[5]、Seesaaブログ︵2017年廃止︶[6]、SSブログ︵旧So-netブログ、2017年廃止︶[7]、ココログ︵利用者減少・スパム増加のため、2019年廃止︶[8]、JUGEM︵2019年廃止︶[9]、はてなダイアリー︵2019年にサービス終了し、後継サービスのはてなブログには機能を備えず︶のように、複数の大手ブログサービスでトラックバック機能が廃止され、そのうちのいくつかでは、スパムの増加と利用の減少を終了の理由とした。
2021年現在では、ブログであってもトラックバック機能を備えないか、無効にしたものが主流となっている。しかし、完全になくなったわけではなく、たとえばFC2ブログではトラックバック機能を提供し続けているだけでなく、利用促進のために、週替わりのテーマでトラックバックを公募する公式ブログを2021年現在も継続している[10]。
トラックバックに使用されるプロトコルは、RESTアーキテクチャを採用している。また送信にはHTTPのPOSTメソッドが、返信にはXMLメッセージが使用される。
トラックバックする側の記事︵参照する側の記事︶のページからトラックバックされる対象である記事︵参照される側の記事︶へ送信されるリクエストは、トラックバックPingと呼ばれる。この時トラックバックされる対象である記事︵参照される側の記事︶を指定するために使われるURLは、トラックバックURLあるいはトラックバックPing URLと呼ばれる。
ブログの世界では、トラックバックに関するサービスがいくつか存在する。そのなかでも、自分のブログをより多くの人に見てもらうための様々なサービスがウェブには存在している。
しかし、不必要、スパム目的でも書き込むことができるのが欠点である。これは後述するトラックバックスパムと呼ばれている。
トラックバックサービスはブログを更新するたびに特定のサイトに、トラックバックを送ることで、自分のブログを宣伝し注目度を高める効果を期待でき、SEOにもなる。
これらのサービスの中にはランキングシステムやカテゴリごとにトラックバックPing送信指定を導入しているところもあり、それによってさらにブログの宣伝をする効果を期待することができる。
特定の話題ごとにトラックバック送信先を用意し、その話題に関するブログ記事をリンクして、一種のコミュニティを構成するようなサービスもある。
また、トラックバックスパムを減らすために登録制にしてトラックバック送信先URLをブログごとに異なるものに変えているサービスも存在する。
Six Apart社のブログツールMovable Typeで実装され、プロトコルとともに公開される。その後、他のブログツールでも次第に導入されるようになり、最近ではブログ以外にも、wikiや掲示板などのウェブページにも実装されている。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。︵2013年4月︶ |
コンテンツの中身を参照せずに、無作為もしくは機械的な手順によってトラックバックをする行為。「迷惑トラックバック」ともいう。
トラックバックスパムを行なっているウェブサイトは、アダルトサイトや商品販売を目的としているサイト、アフィリエイトの効果を高めるために行なっているサイトなど、様々である。
トラックバックスパム対策として、様々な機能が出現している。例を挙げると、下記のようなものがある。
●ブログの管理者が承認しない限り、トラックバックの結果を表示させない。
●DNSブラックリストやURLブラックリストに載っているトラックバックを禁止する。
●特定のURLからのトラックバックを禁止する。
●特定のIPアドレスからのトラックバックを禁止する。
●特定のキーワードを含むトラックバックを禁止する。
●シングルバイト文字︵半角英数字︶のみのトラックバックを禁止する。日本語や中国語などのマルチバイト文字によるスパムには無力である。
●URLを自動リンクしないか、してもrel=nofollowしておく。
●自動トラックバック用のURLを記述しない︵当然自動トラックバックできなくなる︶。
●各種ブログサービスやブログツールが提供するブラックリストプラグインを使用して、スパムを自動的にスパムリストに移動し、トラックバックの結果表示を保留する︵例: Movable TypeのMTBlackListプラグインなど︶。
大量にトラックバックを送ってくるウェブサイトなどに対しては、ブログサービスを提供している会社がまとめて受信拒否したり、あるいはそのウェブサイトからのトラックバックを削除してしまう場合もある。
受信側ではなく送信側への対策として、以下のようなものが考えられる。
- 誘導先サイト/ページのホスティング運営者に通報
- トラックバック発信元ISPに通報
- アフィリエイトASPに通報
トラックバックの文字コードが送信先ブログシステムのそれと一致しないために起きる現象。例として、トラックバック送信側のブログがEUC-JPなのに対し受信先のブログはUTF-8を用いているため文字が判読不能になる、といったケースが該当する。