フロスト・ムスリン円
ヒュッケル則
編集詳細は「ヒュッケル則」を参照
20世紀前半に量子化学が創始されると、芳香族の基準が考案された。1930年代、エーリヒ・ヒュッケルにより次のような基準が発表され、ヒュッケル則と呼ばれている。
●芳香族とは (4n + 2) 個のπ電子を持つ平面単環分子である。
●π電子とは、分子面に沿って存在せず、その上下に分布する電子をいう[2]。
実験的に観測されているベンゼン︵組成式: C6H6︶の特異的安定性は芳香族結合の原型であるが、ヒュッケルはこの理由が結合性分子オービタルが(4 · 1 + 2 = 6) 個のπ電子によって二重占有されていることであると明らかにした。LCAO法を用いると、構成原子の原子オービタルを﹁混合﹂する︵シュレーディンガー方程式の解同士の計算上線形結合をとる︶。分子オービタルは結合性オービタルと非結合性オービタルと反結合性オービタルとに分類され、フントの規則に従ってエネルギーの低い順に占有される。
フロスト円の構成
編集n員環を、頂点が下に向くよう書き、その頂点を通る円を書く。フロストによる表記に従えば、この円の半径は 2βとする。軌道 m = 0 〜 n の軌道エネルギーはそれぞれ、 sin(m · 360°/n − 90°)· 2β もしくは sin(m · 2 π/n − π/2)· 2βという公式に従って得られる。
シクロプロペニルカチオン・アニオンの例
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まず、横軸上に中心をもつ半径 2β の円を描く。この円の上にn員環を頂点が下に向くように描く。n員環と円の接点が分子軌道の相対エネルギーを表わす。
ヒュッケルによれば、系が芳香族となるのは、全ての結合性軌道が二重占有されているような場合である。
シクロプロペニルカチオンC3H3+ は芳香族となる。非局在化によるエネルギー利得 ΔE は 2e−·(−2β) = −4βのように求められる。対してシクロプロペニルアニオンC3H3− はジラジカル構造を持ち、ΔE = β + β − 2β = 0 となる。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cb/Frost-01.png/600px-Frost-01.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/28/Frost-02.png/600px-Frost-02.png)
シクロブタジエンの例
編集出典
編集- ^ Frost, Arthur A.; Musulin, Boris (1953). “A Mnemonic Device for Molecular Orbital Energies”. J. Chem. Phys. 21 (3): 572–573. doi:10.1063/1.1698970.
- ^ Nguyên Trong Anh (1972). Die Woodward-Hofmann-Regel und ihre Anwendung. Verlag Chemie. ISBN 978-3527254309
- ^ “Aromatic Compounds (Overview)”. ChemgaPedia. 2018年8月8日閲覧。
- ^ Hückel-MO: Aromaten, Hückel-Regel) 2018年8月8日閲覧。