本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律

日本の法律

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ほんぽうがいしゅっしんしゃにたいするふとうなさべつてきげんどうのかいしょうにむけたとりくみのすいしんにかんするほうりつ)とは、外国人(本邦外出身者とその子孫)に対するヘイトスピーチ(不当な差別的言動)の解消を目的として、国民や国、地方公共団体の責務などを定めた日本法律

本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 ヘイト法[1]、ヘイトスピーチ法[2]、ヘイトスピーチ解消法[3]、ヘイトスピーチ規制法[4]、ヘイトスピーチ対策法[5]
法令番号 平成28年法律第68号
種類 司法
効力 現行法
成立 2016年5月24日
公布 2016年6月3日
施行 2016年6月3日
所管 法務省
主な内容 ヘイトスピーチの解消に向けた取組の推進
条文リンク 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律 - e-Gov法令検索
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概要

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2

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法律の内容

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前文

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  • 法律が制定されるようになった経緯として「我が国の地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」により「多大な苦痛を強いられる」人がいること、「当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている」を挙げている。

目的

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  • 第1条において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的」とする。

定義

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  • 第2条において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」を「本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」に対する「差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑する」ものと定義した。

基本的施策・検討

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3

4142

516171

526272

2

経過

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189[6][6]





調

190[7]

190

2

2

190201628513[7][6]524[7]

201628631

構成

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  • 前文
  • 第1章 総則
    • 第1条(目的)
    • 第2条(定義)
    • 第3条(基本理念)
    • 第4条(国及び地方公共団体の責務)
  • 第2章 基本的施策
    • 第5条(相談体制の整備)
    • 第6条(教育の充実等)
    • 第7条(啓発活動等)
  • 附則

賛否

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批判

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この法律に対しては、ここに載せているものだけで言うと、「法の下の平等に反する」「規定が不十分で実効性に乏しい」「対策が不十分」「表現の自由への侵害」との種類に分けられる。

法の下の平等に反する

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2[8]

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規定が不十分で実効性に乏しい

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  • ヒューライツ大阪『国際人権ひろば No.128(2016年07月発行号)』では、「ただし、この法律が保護の対象としているのは「適法に居住する日本以外の国・地域の出身者」だけにとどまります。また、この法律にはヘイトスピーチの「禁止条項」もありません。」としてヘイトスピーチ解消法の規定が不十分だと批判している。 また、『ヘイトスピーチ解消のための法律を歓迎しつつ、「実効性」を考える』と題して「また、具体的な施策を実施するための、財政措置もありません。ヘイトの解消に「実効性」ある法とは何かを考え、さらにもう一歩を踏み出すことが、今後の課題です。」としている。 また、「法の施行にあわせて、警察庁は各都道府県警に、ヘイトスピーチに伴う違法行為に対して厳しく対処するよう通達しましたが、それでも禁止規定がない限り、ヘイトスピーチそのものを取り締まることはできません。不当な差別的言動の解消手段は、あくまで「相談体制の整備」と「更なる人権教育と人権啓発」を通じて国民の理解と協力を得ることだと記されています。深刻な人権問題の解決にとって、意識・態度の変革が重要だということは言うまでもありません。しかし、「教育・啓発をしている」ことが、ヘイトスピーチの解消や、被害者の実効的な救済ができないことの言い訳にされてはならないでしょう。」とも指摘している。

対策が不十分

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姿[11]

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表現の自由への侵害

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評価

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消極的評価

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  • 東京新聞は『ヘイトスピーチ解消法5年 露骨なデモ減ったが…やまぬ攻撃「差別を可視化し、実効性ある規制法を」』という記事の中で「街頭でのヘイトは減少」と評価する一方、「それでも残る課題」の中で「憲法の「表現の自由」との兼ね合いから、条例制定に二の足を踏む自治体も少なくない」とした。

積極的評価

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  • 韓国籍在日朝鮮人政治活動家李信恵は、自身のTwitterに「路上が国会に繋がった。ヘイトスピーチ対策法は、路上に立ってたみんなが作った法律だと思う。嬉しくて、涙が止まらない。」などと書き込み、ヘイトスピーチのデモに対する抗議行動など、差別反対の運動が法案整備につながったと評価した[15]

脚注

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(一)^ ab"3 ". . 16 June 2019. 20233312023920

(二)^ ab"". . 202251620239202863

(三)^ ab"4". . 20221222023920

(四)^ ab,  (2021). "".  : . 94(1): 230. 2022225

(五)^ ab"". . 20233162023920

(六)^ abc. . 20161228

(七)^ abc. . 20161228

(八)^ . 202392

(九)^  . . (2016526). https://www.sankei.com/article/20160526-GOMQ6DAFZROMHLDN2Q3YJZ67UU/ 20161228 

(十)^  2018830

(11)^ . 2023918

(12)^  2023831

(13)^  . . (2016525). https://www.sankei.com/article/20160525-BTU42BU7JZP4JFLDHVUNFNIGXU/ 20161228 

(14)^  2016625

(15)^  (2016512).  . The Huffington Post. https://www.huffingtonpost.jp/2016/05/12/hate-speech-law-to-enact_n_9925254.html 20161228 

関連書籍

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  • 魚住裕一郎「ヘイトスピーチ解消法 成立の経緯と基本的な考え方」(第一法規株式会社) ISBN 978-4474056817
  • (監修)師岡康子、(著, 編集)外国人人権法連絡会「Q&Aヘイトスピーチ解消法」(現代人文社) ISBN 978-4877986469

関連項目

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