ローランド (ミサイル)
ローランド(Roland)[1]は、ドイツ(当時は西ドイツ)とフランスによって共同開発された短距離防空ミサイル・システム、およびこれで使用されるミサイル弾体である。
初期型のXMIM-115A | |
種類 |
短距離防空ミサイル (SHORADミサイル/短SAM) |
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製造国 |
西ドイツ→ ドイツ フランス |
製造 | EADS社 |
性能諸元 | |
ミサイル直径 | 16cm |
ミサイル全長 | 2.40m |
ミサイル重量 | 67kg |
弾頭 | HE破片効果(9.1kg) |
射程 | 8,500メートル |
射高 | 6,000メートル |
推進方式 | 二段式固体ロケット・モーター |
誘導方式 | 半自動指令照準線一致誘導方式(SACLOS) |
飛翔速度 | 620メートル毎秒 |
概要
編集構成
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誘導システムを備えた旋回式砲塔の両脇に俯仰可能なミサイルランチャーを一基ずつ備えている。ミサイルは保管・運搬可能なキャニスターに装填されたままランチャーに装填され発射される。発射後はキャニスターが自動的に投棄され、車体の弾倉から新しいミサイルを納めたキャニスターがせりあがり、ランチャーが回転して自動的にキャニスターを拾い上げてミサイルを装填する。
6.5キログラムの高性能爆薬弾頭を備えたミサイルは、固体燃料を用いた二段式ロケットでM1.6まで加速され、射程500メートル以上、6,300メートル以下の高度3,000メートルまでの目標を攻撃することができる。目標へは指令照準線一致︵Command to Line OfSight、CLOS︶にて誘導される。
基本的には発射機単独で運用が可能で、発射機車両のみで1システムが構成されるが、レーダーによる追跡・誘導システムに対応したローランドII以降はレーダーと射撃管制装置を単独で車両に搭載した捜索管制システム︵ローランドFGR‥Flugabwehrgefechtsstand Roland︶と複数の発射機車両で構成されるタイプのシステムも用意されている。
各型
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ローランドは、いくつかのバージョンが製造されている。
ローランドI
手動による光学追跡・誘導システムを備える昼間迎撃型。1977年より実戦配備された。
ローランドII
レーダーによる全自動追跡・誘導システムを備える全天候迎撃型。1981年より配備された。
ローランドIII
より強力︵9.1キログラム︶な弾頭と熱線映像シーカーを備える射程延長型︵8km︶。1988年より配備。
ローランドVT1︵RM5︶
ユーロミサイル社とフランスのマトラ社[3]、トムソンCSF社︵現在のタレス社︶が共同で1990年から開発している速度M5の超高速ミサイル。クロタル・システムと共通のVT1 ミサイルを使用する。
現行システムではローランド2、ローランド3、ローランドVT1ミサイルを発射することができる。
搭載車両
編集配備
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ローランド対空ミサイルシステムは、現在、フランス、アルゼンチン、ブラジル、ナイジェリア、カタール、スロベニア︵9x Roland II︶、スペイン、ベネズエラで運用されている。共同開発国の一方であるドイツではローランド対空ミサイルシステムはすでに運用されていない。
アルゼンチン
ブラジル
フランス
ドイツ
イラク
ナイジェリア
カタール
スロベニア
スペイン
アメリカ合衆国
ベネズエラ
アメリカにおけるローランド
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ローランドは、アメリカ陸軍によって調達された数少ない外国製対空ミサイルシステムのひとつである。
アメリカ軍は、1974年にローランドIIの導入を決定、ボーイング社とヒューズ社がライセンスを購入、独自に光学/SARH方式を赤外線/SARH方式に改良したものをXMIM-115Aとして1978年に採用した。当初はM109自走砲の車体にシステムを搭載したものがXM975として開発・採用された。しかし、照準/誘導方式の変更により開発費用が予定額を大幅に超過したために計画は見直され、議会が本格導入のための予算案を承認しなかったため、本格運用に入る前に計画は中止された。
結果、既に発注された先行量産分、発射機27基およびミサイル575発のみが搭載車台をM812A1トラックに変更されて納入され、ニューメキシコ州の州兵部隊に1個防空大隊が編成されたのみに終わった。1989年には予備兵器に指定されて部隊も改編され、アメリカにおけるローランドの運用は終了した。
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XM975 US ローランド
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M812に搭載されたUS ローランド
登場作品
編集- 『FUTURE WAR 198X年』
- マルダー歩兵戦闘車に搭載されたモデルが登場する。