[1] 

20

形態

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普通に口を閉じた状態では、歯列は唇に隠されて見えないが、上顎の切歯(前歯。門歯とも言う)の先端部の突出が大きいとそれが唇の間から見えてしまう。歯列弓(歯列が形成する曲線)が大きい場合は、やはり上唇を押しのけて歯列が露出する(いわゆる、歯茎[はぐき]が出ている状態)。プロフィル(横顔)を見ると、切歯が突出する例では上唇が前方に突き出し、その先から歯の先端がのぞく。歯列が大きい場合は鼻の下から上唇全体が前突する。こうした状態、又はその人を俗に出っ歯(反っ歯)と呼ぶ。

上顎前突症との関係

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形質人類学から見た原因

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歯槽側面角が小さく切歯が前突する「歯槽性突顎」を示す模式図

[2] [3][4] [5] 


突顎の位置付け

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歯槽側面角
区分 角度
正顎(直顎) 85.0度以上
中 顎 80.0‐84.9度
突 顎 79.9度以下

咬合による差異

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[6][7] 
 
 
歯の咬合形式の差異(藤田恒太郎による)
民族・人種 鉗子状咬合 鋏状咬合 その他不正咬合
日本人 3% 87% 10%
ドイツ人 17% 79% 4%
黒人 53% 41% 6%
オーストラリア原住民 100% 0% 0%

退[8]

人種差

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60()   1967

日本人における歴史的推移

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2  706076.4[9] [10]
日本人(主に関東地方)の歴史上における歯槽側面角の変化(鈴木尚による)
縄文時代 古墳時代 鎌倉時代 室町時代 江戸時代 現代
69.8度* 64.4度 60.4度* 62.6度 63.0度* 76.4度
(*はグラフから推算した値)

日本人の歴史で見られたこのような変化がなぜ起こったのかはわかっていない。乳幼児期のおしゃぶりの過使用や口呼吸、爪噛みなどが歯列の乱れを引き起こすという説はあるが、大きな時代的変化との関係は考えられない。日本人を含めたモンゴロイドは一般にコーカソイドやネグロイドに比べ相対的に歯牙が大型で(藤田恒太郎 『歯の話』 岩波新書 1965年、その他)、従って歯列も大きくなる可能性が考えられ、出っ歯になりやすいと見られるが、時代によって変化が生ずる原因は不明である。

美容面・精神面と治療法

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2202[11]西[12]





   1965


補足

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[13][14]西197080

出っ歯と文化

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1908123

3

2使   1965


太平洋戦争中にアメリカで作成されたポスターに描かれた、出っ歯でメガネをかけた日本人
  • 出刃包丁
  • 脚注

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    (一)^ 

    (二)^ 

    (三)^    1965   1963

    (四)^ 

    (五)^ 

    (六)^    1963

    (七)^ 
     
     


    (八)^     1965

    (九)^    1963, , , 415 p.459, 1999-08-20, , NAID 110003165896

    (十)^ 調

    (11)^ 

    (12)^    1965

    (13)^ Wikipedia 

    (14)^    1965   1985

    参考資料

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    本稿の記述に当たっては、

    • 鈴木尚 『骨』 学生社 1960年
    • 鈴木尚 『日本人の骨』 岩波新書 1963年
    • 埴原和郎 『骨を読む』 中公新書 1965年
    • 藤田恒太郎 『歯の話』 岩波新書 1965年
    • 寺田和夫 『人種とは何か』 岩波新書 1967年
    • 片山一道 『古人骨は語る 骨考古学ことはじめ』 同朋舎 1990年

    その他の書籍をはじめ、文中で提示した幾つかのインターネットサイト、さらに提示には至らなかった書籍・サイト等多数を参考とした。

    関連項目

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    外部リンク

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