刑法学

刑法を研究対象とする法学の一分野
刑法総論から転送)

刑法学(けいほうがく)とは、刑法を研究対象とする法学の一分野。 現在では法典の解釈や判例の射程をめぐり議論する法解釈学が基本であるが、歴史的には刑法が何のために存在するのか(存在すべきか)という哲学的な命題をも研究対象とした。法学の中でも哲学との近似性が特に強い分野である。

古典学派(旧派)と近代学派(新派)

編集

19世紀末のドイツを中心に刑法思想を巡る論争が発生して、各国の学会を二分した。今日の刑法理論はこの両者の思想から派生したものである。

古典学派(旧派) (klassische Schule)

編集

1840

1819

19
























近代学派(新派) (moderne Schule)

編集

19

退























罪刑法定主義

編集



3123

刑法学上の重要な概念

編集


総論・各論

編集

2

1

1

刑法総論(犯罪論)の概要

編集





(1)(2)(3)

構成要件該当性

編集

1995


違法性の判断

編集







361






36

37

35
 ()

 ()

















責任の判断

編集





31441


  • おおむね争いのないもの
    • 責任能力
    • 違法性の意識の可能性(これを責任故意に含める説や、(可能性ではなく)違法性の意識を故意に含める説もある)
    • 適法行為の期待可能性
  • 争いのあるもの
    • 責任故意(構成要件的故意を認めず、故意がすべてここに属するとする説、反対に構成要件的故意のみを認める説、構成要件的故意を除いた、違法性阻却事由についての故意のみをここに残すとする説がある)
    • 責任過失(責任故意とパラレルに議論されている)

構成要件の修正形式(未遂罪・中止犯・予備罪)

編集

43






構成要件の修正形式(共犯)

編集

以上は、1人で犯罪を行った「単独正犯」についての説明であるが、複数の者が犯罪に関与した場合(広義の共犯)として、共同正犯教唆犯従犯がある。

共同正犯
編集

60 

1




狭義の共犯(教唆犯・従犯)
編集






罪数

編集

罪数処理には、本来的一罪科刑上一罪併合罪がある。

本来的一罪
編集

本来的一罪とは、1つの構成要件によって1回的に評価される事実をいう。数個の構成要件該当性があるかにみえる場合、構成要件該当性判断の最後に、本来的一罪か否かという罪数処理が考慮される。

例えば、着衣の相手の胸をナイフで刺す行為には、客観的にも主観的にも器物損壊罪が成立しうるが、衣服の損壊は殺人罪に通常伴うものとして吸収され(吸収関係)、殺人罪のみが成立する。

詳細は、本来的一罪の項を参照のこと。

科刑上一罪・併合罪
編集

721

54
122


54

245

22471.5

刑法各論の概要

編集

個々の犯罪類型は、その保護法益に応じて以下のように区分される[1]

個人的法益に対する罪

編集
生命・身体に対する罪
編集

人の生命に対する罪はもっとも重大な犯罪とされる。

自由及び私生活の平穏に対する罪
編集

自由は、生命・身体につぐ重要な法益とされる。

名誉・信頼に対する罪
編集
財産に対する罪
編集

社会的法益に対する罪

編集
公衆の安全に対する罪
編集
偽造の罪
編集
風俗秩序に対する罪
編集

国家的法益に対する罪

編集

参考文献

編集
  1. ^ [西田典之『刑法各論』第3版]