和尚魚
東洋の海の妖怪
概要
編集和尚魚
―寺島良安『和漢三才図会』
―王圻、王思義 編『三才図会』
明代の類書﹃三才図会﹄︵1609年刊︶に記載によれば、東洋の大海の生物とされ、鱉︵スッポン︶のようで、紅赤色をしており、潮に乗ってやってくるという[1][2]。
貝原益軒﹃大和本草﹄︵1709年︶もこれを引用しており、日本で言う坊主魚︵ 詳だという[3]。
和漢三才図会の海坊主
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寺島良安﹃和漢三才図会﹄︵1712年︶にも﹁和尚魚︵ ︶﹂の見出しで転載され、俗に言う﹁海坊主﹂と同定している[注1][4][2]。
同書に拠れば西海にいる海坊主は、頭部は名前通り頭髪がない坊主頭の人間で、体はスッポンに似ており、大ぶりのもので体長は5~6尺︵約1.5~1.8メートル︶に達するという[4][2][5]。
漁師がこれを見るのは不祥︵不吉︶で、漁𦊟︵網︶が役に立たなくなる。もし捕らえた場合、殺そうとすると、和尚魚は手を合わせて涙を流しつつ命乞いをするので﹁助けてやるが、その代わり今後いっさい私の漁に 雔︵した合図に、西に向かって天を仰ぐ仕草をするので、それで赦してやって海へ逃がすと良いという[4][2][5]。
亀入道
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また、同様に亀の体に坊主頭の人間の頭部を持つ海坊主として亀入道︵かめにゅうどう︶があり、若狭湾に出現するといわれる[6]。津村淙庵による江戸時代の随筆﹃譚海﹄では、これは和尚魚と同じものとされている。この姿を見ると不吉な出来事が起こるとされ、捕えてしまった場合、酒を飲ませて海へ放したという[7]。
考察
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 「和尚魚」に二行のルビを振っており、これを「うみぼうず」とも訓じている。また中国語発音を「ホウシャンイユイ」と表記する。
出典
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(一)^ 王圻、王思義 編﹁鳥獸六巻 鱗介類 和尚魚﹂﹃三才圖會 106卷中第94卷﹄N. p.、1609年、第3葉裏頁。。異なる版本に﹃三才圖會﹄第十三函 ﹁鳥獸圖會 一巻至六巻﹂﹁鳥獸六巻 鱗介類 和尚魚﹂、槐陰草堂、1609年刊行があり、潭濱黄・晟東曙︵重校︶とある。
(二)^ abcd寺島良安﹁和尚魚︵おしょういお︶ ・海坊主 ﹂﹃和漢三才図会﹄7巻、島田勇雄; 樋口元巳; 竹島淳夫(訳注)、平凡社、1985年、148–149頁。"﹃三才図会﹄に、﹁東洋の大海中に和尚魚というのがいる。状は鼈に似ていて、身体は紅赤色である。潮汐(水)に乗ってやってくる﹂(鳥獣六巻)とある。"。
(三)^ 貝原益軒﹁和尚魚﹂﹃大和本草﹄︽13之下︾永田調兵衛、1709年。NDLJP:2557359/47。
(四)^ abc寺島良安﹁介甲部‥龜類・鼈類・蟹類﹂﹃和漢三才図会 : 105巻首1巻尾1巻﹄32巻、1712年、巻46、07葉裏。
(五)^ abc村上健司編著 ﹃妖怪事典﹄ 毎日新聞社、2000年、48頁。ISBN 978-4-6203-1428-0。
(六)^ 人文社編集部 ﹃ものしりミニシリーズ 日本の謎と不思議大全 東日本編﹄ 人文社、2006年、121頁。ISBN 978-4-7959-1986-0。
(七)^ ﹃妖怪事典﹄80頁。