噴火予知
噴火の時期・場所・様式をあらかじめある程度予測すること
噴火予知(ふんかよち、prediction of volcanic eruption)とは、火山の噴火による被害を軽減するために、噴火の時期・場所・様式をあらかじめある程度予測すること。
噴火予知の現状と課題
編集噴火の前兆
編集噴火は前兆を伴う
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噴火の前兆現象
●地震︵火山性地震︶ - マグマが岩盤を破壊し貫入することで起こる。震源が次第に浅くなってきた場合、噴火時期が近付いていると考える。震源が集中するところがあれば、そこで噴火が起こりうると考える。専門家でなくとも、一般の住民が体感できる[5]。多くの火山では、噴火の数か月から数時間前に見られる。
●微動︵火山性微動︶ - 地震よりも周期が長く︵低周波の︶、継続時間が長い︵連続的な︶振動。マグマ溜まりで圧力が増したり、マグマが移動したりすることで起きる[5]。
●地形の変化 - マグマが地下の浅いところまで上昇してきた段階で起こる。山体の急激な隆起、傾斜の増大、地割れなど。地形の変化が顕著なところがあれば、そこで噴火が起こり得ると考える[5]。
●電磁気学的現象 - 地電流や地磁気[5]、地中電気抵抗の変化など。
●熱の異常[5] - 地下水の温度上昇など。
●火山ガスの変化︵組成、量、温度︶[5]
●噴煙の変化︵量︶[5]
様々な課題
編集活動推移や終息は予測が困難
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火山の噴火は、噴火との因果関係が明らかな前兆を伴う[5]。この点、前兆とされる現象との因果関係が明らかではない地震とは大きく異なる。
しかし、噴火の開始は予測できても、その後活動がどのように推移するのか、再び大きな噴火が起こりうるのか、いつ終息するのかといった予測は困難である[5]。
噴火の﹁終息宣言﹂は、安易な判断で危険を見逃して犠牲を生むことはできないため、タイミングに慎重にならざるを得ず、安全を見込んで、警報などは長期間出され続けることが多い。噴火は短ければ数日、長ければ数年続くため、場合によって数年に亘って警戒を続けることとなる。住民の避難や交通規制などが与える社会的・経済的な影響も長期に亘り、火山に近い観光地ではこれが大きな問題となる[5][6]。
また、前兆により活動の活発化が確認され、警報などが出されても、噴火には至らず、そのまま活動が低下していく例もしばしば見られる[5]。︵→空振り︶
監視の体制
編集情報提供の体制
編集主な事例
編集脚注
編集関連項目
編集参考文献
編集- 京都大学防災研究所・監修 『自然災害と防災の事典』、丸善、2011年 ISBN 978-4-621-08445-8
- 藤井敏嗣「わが国における火山噴火予知の現状と課題」、日本火山学会、『火山』、 61巻、1号、pp.211-223、2016年。NAID 40020775088
- 防災科学技術研究所 自然災害情報室(編)『防災科学テキスト -自然災害の発生機構・危険予測・防災対応(改訂版)』、防災科学技術研究所、2013年2月。