嚢胞性線維症
嚢胞性線維症︵CF症︶︵のうほうせいせんいしょう、Cystic Fibrosis︶は、遺伝性疾患の一種で、常染色体劣性遺伝を示す。白人に高頻度で見られ、欧米白人では2500人に一人発病し、患者数は30,000人、最も頻度の高いユダヤ人のアシュケナジーでは25人に1人は保因者である。原因は塩素イオンチャネル︵CFTR︶の遺伝子異常で、水分の流れに異常をきたし粘液の粘度が高くなる。鼻汁の粘性が強くなると副鼻腔に痛みを感じ、痰の粘性が強くなると、気道を閉塞し肺炎を繰り返すようになり、ついには気管支拡張症をきたす。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症も併発しやすい。胆汁の粘性が強くなると、胆石をおこしたり、膵炎をおこしたり、肝機能障害からついには肝硬変をきたす。ただし軽い場合は成人後発病することもある。
嚢胞性線維症 | |
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嚢胞性線維症患者の手 | |
概要 | |
診療科 | 遺伝医学, 小児科学, 呼吸器学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | E84.9 |
OMIM | 219700 |
DiseasesDB | 3347 |
MedlinePlus | 000107 |
eMedicine | ped/535 |
Patient UK | 嚢胞性線維症 |
MeSH | D003550 |
診断
編集診断基準、診断のカテゴリー、重症度分類は下記の通り[1]。
診断基準
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A. 臨床症状
(一)膵外分泌不全
(二)呼吸器症状︵感染を繰り返し、気管支拡張症、呼吸不全を来す。ほとんどの症例が慢性副鼻腔炎を合併する。粘稠な膿性痰を伴う慢性咳嗽を特徴とする。︶
(三)胎便性イレウス
(四)家族歴
B.検査所見
(一)汗中塩化物イオン︵Cl–︶濃度
異常高値‥60mmol/L以上
境界領域‥40–59mmol/L ︵生後6か月未満では 30–59mmol/L︶
正常‥39mmol/L以下︵生後6か月未満では 29mmol/L以下︶
(二)BT-PABA試験‥70%以下、又は便中エラスターゼ‥200 µg/g以下を膵外分泌不全とする。
C. 鑑別診断
●以下の疾患を鑑別する。
びまん性汎細気管支炎、若年性膵炎、原発性線毛機能不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群
D. 遺伝学的検査
●CFTR 遺伝子の変異
診断のカテゴリー
編集- Definite
- 汗中塩化物イオン濃度の異常高値に加え、特徴的な呼吸器症状を示すもの。
- 汗中塩化物イオン濃度の異常高値に加え、膵外分泌不全、胎便性イレウス、家族歴のうち2つ以上を示すもの。
- 臨床症状のうちいずれか1つを示し、2つの病的な CFTR 変異が確認されたもの。
- Probable
- 汗中塩化物イオン濃度の異常高値に加え、膵外分泌不全、胎便性イレウスのいずれか1つを示すもの。
- 汗中塩化物イオン濃度が境界領域であり、特徴的な呼吸器症状を示すもの。
- 汗中塩化物イオン濃度が境界領域であり、膵外分泌不全、胎便性イレウス、家族歴のうち2つ以上を示すもの。
- 臨床症状のうちいずれか1つを示し、1つの病的な CFTR 変異が確認されたもの。
重症度分類
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “嚢胞性線維症(指定難病299)”. 難病情報センター. 2021年8月30日閲覧。
外部リンク
編集- 嚢胞性線維症(指定難病299) - 難病情報センター
- 嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis)患者と家族の会