土地調査事業(とちちょうさじぎょう)とは、日本統治時代の台湾日本統治時代の朝鮮で実施された土地調査及び土地測量事業のことである。

台湾での調査

編集

背景

編集

[1]18851146[2]

台湾総督府による土地調査事業の概要

編集

調調調調調調189831717調調調調調調簿調調[3]

大租権整理

編集

調190336125190437520378113671905387[4]

土地調査事業の効果

編集

調3663[5]調調調[4][6]

台湾総督府の地租収入額と台湾総督府総収入の変化

編集
総督府の地租収入額と総督府総収入額および割合の変化
年度 地租(円) 台湾総督府歳入総計(円) 総督府歳入に占める地租の割合(%)
1896 752,000 9,652,000 8
1897 835,000 11,283,000 8
1898 782,000 12,281,000 6
1899 841,000 17,426,000 5
1900 912,000 22,269,000 4
1901 869,000 19,766,000 5
1902 897,000 19,497,000 4
1903 922,000 20,037,000 5
1904 1,955,000 22,333,000 9
1905 2,975,000 25,414,000 7
1906 2,983,000 30,692,000 10
1907 3,006,000 35,295,000 9
1908 3,041,000 37,005,000 8
1909 3,078,000 40,409,000 8
1910 3,108,000 55,338,000 6

出典;台湾近現代史研究会編「台湾近現代史研究創刊号」(1978年)所収、森久男著「台湾総督府の糖業保護政策の展開」

朝鮮での調査

編集

韓国併合後に行われた土地調査の背景、概要、効果は以下のとおりである[7][8]

背景

編集

10130119041907190812100020780100調18981904使5110110110011300012000

土地調査事業の概要

編集

19041906101119103調調19105191810調調調調調調使

土地調査事業の結果

編集

これまでの結負法を使った量田によれば農地面積は239万9842町歩であったのに対し、新しい土地調査によれば434万2091町歩に達した。194万2249町歩(81パーセント)の増加である。それだけ課税対象が増えたことになる。またこの土地調査の結果先祖代々その土地を耕作していた農民の権利は無視して、国家に対して租税を納めながら農民から小作料を徴収する地主の所有権を全面的に認めたことになる。従来農民の小作権は奪うことができないものと考えられてきたのが、本土地調査の結果、地主の自由になるものになってしまった。また、多くの土地が国有地として編入された。代々慣習により耕作してきた多数の農民が証書を持っておらず、証書による裏付けがないとして国有地に編入された。申告されていない土地も国有地に編入された。その結果多くの小作農民が農地を失った。この土地調査事業を端緒として、日本人の土地取得が進んだ。日本人高利貸が苛酷な手段を用い担保権の実行として土地を取得したケースも多かった。日本人地主は、1909年には692人、所有土地総面積は52,436町歩であったのが、1915年には6969人、所有土地総面積は205,538町歩というように、わずか6年で急激に膨れ上がった。このように、耕作者が土地をなくし、地主に土地が集まる大きなきっかけとなるのが土地調査事業であったといえる。この土地調査事業の終わる頃の1916年の戸口調査によると、農民数は929万人であり、総人口1092万人のうちの85パーセントを占めていた。農家戸数は265万戸であるが、内訳は地主が8万戸、自作農52万戸、自小作農104万戸、小作農100万戸となっている。わずか3パーセントの地主の下に、77パーセントの農家がいるという構造になっていたのである。

脚注

編集
  1. ^ 「台湾史小事典」中国書店(福岡)(2007年) 監修/呉密察・日本語版編訳/横澤泰夫 162ページ
  2. ^ 矢内原忠雄「帝国主義下の台湾」岩波書店(1988年)16ページ
  3. ^ 岩波講座 近代日本と植民地(第3巻)植民地化と産業化」所収、小林英夫「植民地経営の特質」
  4. ^ a b 「台湾史小事典」中国書店(福岡)(2007年) 監修/呉密察・日本語版編訳/横澤泰夫 153ページ
  5. ^ 殷允芃編/丸山勝訳「台湾の歴史-日台交渉の三百年」藤原書店(1996年)300ページ
  6. ^ 矢内原忠雄「帝国主義下の台湾」岩波書店(1988年)18ページ
  7. ^ 世界歴史叢書「韓国近現代史」池明観著 明石書店(2010年)69ページ
  8. ^ 「鉄道自警村」筒井五郎著 日本図書刊行会 152ページ

関連項目

編集