656? - 712西

略伝

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675690705706

簿709710


宋之問は沈佺期とともに近体詩の韻律の整形に力を入れ、中国文学史上において律詩の形式を完成させた功績が大きい。七言詩に優れた沈佺期に対し、宋之問は五言詩に優れていたとされ、胡応麟詩藪』ではその五言排律を初唐期の第一と評している。

寒食題黄梅驛(寒食に黄梅駅に題す)
馬上逢寒食 馬上 寒食に逢ふ
愁中屬暮春 愁中 暮春に属す
可憐江浦望 憐むべし 江浦の望
不見洛橋人 見ず 洛橋の人
北極懷明主 北極 明主を懐ひ
南溟作逐臣 南溟 逐臣と作(な)る
故園腸斷處 故園 腸断の処
日夜柳條新 日夜 柳條新たならん


至端州驛見杜五審言沈三佺期閻五朝隠王二無競題壁慨然成詠(端州駅に至り、杜審言・沈佺期・閻朝隠・王無競の壁に題せるを見て、慨然として詠を成す)
逐臣北地承嚴譴 逐臣 北地に厳譴を承け
調到南中毎相見 調せられ南中に到れば 毎(つね)に相ひ見んとす
豈意南中歧路多 豈に意(おもは)んや 南中 歧路多く
千山萬水分郷縣 千山万水 郷県を分かたんとは
雲搖雨散各翻飛 雲揺れ雨散じ 各々翻飛し
海闊天長音信稀 海闊(ひろ)く天長く 音信稀なり
處處山川同瘴癘 処処の山川 同じく瘴癘
自憐能得幾人歸 自ら憐む 能く幾人か帰るを得ん

参考文献

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  • 旧唐書』巻190 列伝第140中 文苑中
  • 新唐書』巻202 列伝第127 文芸中
  • 『沈佺期宋之問集校注』(中華書局、2001年)
  • 『続 校注 唐詩解釈辞典 [付]歴代詩』(大修館書店、2001年)