宝塔
仏塔の建築形式の1つで円筒形の塔身を有する一重塔
宝塔の形態と意義
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宝塔︵ほうとう︶は、仏塔の建築形式の1つである。形態・形式にかかわらず、仏塔全般を指す美称として宝塔の語を用いる場合もあるが、日本建築史の用語としては、円筒形の軸部︵塔身︶に平面方形の屋根をもつ一重塔を指す[1]。円筒の上部を丸く面取りしいわゆる亀腹状にする。屋根の上には通常の層塔と同じく相輪を載せる。木造、金属製、石造のものがあるが、木造建築としての例は極めて少ない。日本の現存作例としては、鞍馬寺経塚遺物中の銅製宝塔︵保安元年頃・平安時代後期︶が最古である[2]。なお、平面方形の初重の上に平面円形の上重を載せた二重塔婆を﹁多宝塔﹂と称し、形式上﹁宝塔﹂と区別しているが、この区別は便宜的なものである。
宝塔の例
編集木造宝塔
編集- 池上本門寺(東京都、重要文化財)1828年(文政11年)建立。
屋内小塔
編集石造宝塔
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●鞍馬寺石造宝塔︵京都市・国宝︶ 塔の下の土中から保安元年︵1120年︶銘の経筒が発見された。現存最古の石造宝塔の例と考えられる。
●関寺跡﹁牛塔﹂︵滋賀県・重要文化財︶ 平安時代末期 高さ3.3m、屋根は八角形。屋根の上に載る宝殊は後補。前記鞍馬寺宝塔とともに最古に位置する。
●満願寺跡宝塔︵滋賀県高島市︶鎌倉時代前期 高さ4m。相輪は後補。
●浄土寺宝塔︵広島県尾道市・重要文化財︶ 弘安元年︵1278年︶銘 高さ2.8m。檀上積みに立つ。
●西明寺宝塔︵滋賀県甲良町・重要文化財︶ 嘉元2年︵1304年︶銘
●石山寺石造宝塔︵滋賀県大津市︶ 鎌倉時代中期 現状高さは2mほどだが元は3mほどであったと考えられる。
●安養寺慈円僧正宝塔︵京都市・重要文化財︶ 鎌倉時代中期 高さ約3m、塔身に多宝・釈迦二仏を刻む。
●石山寺目かくし岩︵滋賀県︶平安時代
●六波羅蜜寺阿古屋塚︵京都府︶鎌倉時代