市民農園
市民農園︵しみんのうえん︶は、非農家の市民が、小規模な農地で、非営利的に野菜や果物、花卉などを栽培する活動、ないしは、そのために農家などから提供される農地、あるいは、それに地方自治体、農業協同組合、個人などが付帯施設などを整備して提供する農園[1]。日本では、大正時代からこの表現が用いられていた[2]。レジャー農園、 ふれあい農園などの呼称が用いられることもある[1]。現在は、﹁市民農園二法﹂と通称される、特定農地貸付法と市民農園整備促進法にそれぞれ制度的根拠をもつものと、農地に関する貸借権を伴わない、いわゆる農園利用方式によるものの三者に大別されている[3]。
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NPO法人が運営する市民農園の例︵兵庫県高砂市、2022年9月︶
市民農園は、農作業を経験したい都市の住民のみならず,遊休農地の有効利用策を求める農地所有者にとっても都合のよい制度と考えられている[4]。
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初期の「市民農園」
編集戦後日本の都市化と市民農園
編集市民農園二法以降の制度
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1989年に特定農地貸付に関する農地法等の特例に関する法律︵特定農地貸付法︶、1990年に市民農園整備促進法が相次いで整備された。
2016年3月末の時点で、全国には、4223件の市民農園が存在し、のべ1381haの農地がおよそ19万区画に区分されて提供されているという[6]。
開設主体 | 特定農地貸付法 | 市民農園整備促進法 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
特定農地貸付方式 | 農園利用方式 | 小計 | |||
地方公共団体 | 2,062 | 259 | 0 | 259 | 2,321 |
農業協同組合 | 469 | 42 | 0 | 42 | 511 |
農業者 | 883 | 28 | 167 | 195 | 1,078 |
企業、NPO等 | 292 | 21 | 0 | 21 | 313 |
計 | 3,706 | 350 | 167 | 517 | 4,223 |
農園利用方式
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特定農地貸付法が、農地法の定めに一定の例外を設ける形で賃借権などの権利を設定する制度である﹁特定農地貸付け方式﹂をとり、市民農園整備促進法による場合にも﹁特定農地貸付け方式﹂に依ることができるのに対して[7]、﹁賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転を伴わない﹂形式として、﹁農業者︵農地所有者︶が農園に係る農業経営を自ら行い﹂それにかかる農作業の一部を﹁農業者の指導・管理のもとに﹂、農園利用者が﹁複数の段階で農作業を体験するもの﹂を﹁農園利用方式﹂と称している[8]。したがって、他の方式とは異なり、農園利用方式の設置者は農業者のみである[6]。
滞在型市民農園
編集脚注
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(一)^ ab“市民農園とは?~事例~”. 農林水産省. 2017年8月6日閲覧。
(二)^ abcd工藤豊﹁わが国における市民農園の史的展開とその公共性﹂﹃日本建築学会計画系論文集﹄第74巻第643号、2009年、2044頁。 NAID 40016712629
(三)^ 湯沢昭﹁市民農園の利用者特性と効果に関する一考察﹂﹃日本建築学会計画系論文集﹄第77巻第675号、2012年、1095-1102頁。 NAID 130004895549
(四)^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典﹃市民農園﹄ - コトバンク
(五)^ ab工藤豊﹁わが国における市民農園の史的展開とその公共性﹂﹃日本建築学会計画系論文集﹄第74巻第643号、2009年、2045頁。 NAID 40016712629
(六)^ abc“市民農園をめぐる状況”. 農林水産省. 2017年8月6日閲覧。
(七)^ ab“市民農園を開設する場合の市民農園整備促進法と特定農地貸付法との違い”. 千葉県 (2016年7月5日). 2017年8月2日閲覧。
(八)^ “農園利用方式の概要”. 農林水産省. 2017年8月2日閲覧。
(九)^ ab“滞在型市民農園”. 都市農山漁村交流活性化機構. 2017年8月2日閲覧。
(十)^ “楽農生活の推進 ~市民農園を開設しませんか!~”. 兵庫みどり公社. 2017年8月2日閲覧。
関連文献
編集- 「市民農園のすすめ」見る緑から作る緑へ 祖田修 1992/10 岩波書店
- 「市民農園のすすめ」千葉県市民農園協会 2004/01 創森社
- 「農家と市民でつくる新しい市民農園」法的手続き不要の「入園利用方式」廻谷義治 2008/06 農山漁村文化協会
- 「もっと上手に市民農園」4.5坪・45品目 小さな畑をフル活用 (コツのコツシリーズ)斎藤 進 2012/03 農山漁村文化協会