放浪語
例
編集
放浪語の典型的な例としては、sugar︵砂糖︶[2]、ginger︵生姜︶、copper︵銅︶[1]、silver︵銀︶[3]、cumin︵クミン︶、mint︵ミント︶、wine︵ワイン︶、honey︵蜂蜜︶などがあり、そのうちのいくつかは青銅器時代の貿易にまで遡ることができる。
海路経由の変種のtea︵茶︶とユーラシア大陸経由の変種のchai︵チャイ︶︵どちらの変種も英語に入ってきている︶を含むteaは、その普及が人類の歴史の中で比較的遅れて起こった例であるため、かなりよく理解されている[1]。teaは、福建省のアモイ港の泉漳語、特に廈門語由来の海経由の変種であり、一方、cha︵chaiの由来[4]︶は広東語と官話で使われている[5]。詳細については、茶の語源を参照。
ฝรั่ง︵ファラン︶は、アラビア語とペルシア語を介して民族名フランクに由来する語であり、︵通常は白人、ヨーロッパ人の︶外国人を指す。上記の2つの言語から、この語は、ヒンディー語、タイ語、アムハラ語など、インド洋上またはその近くで話されている多くの言語に借用されている。
もう1つの例はオレンジである。これはドラヴィダ語︵タミル語、テルグ語、マラヤーラム語など︶に由来し、英語に入った道筋としては、サンスクリット語、ペルシア語、おそらく、アルメニア語、アラビア語、後期ラテン語[要出典]、イタリア語、古フランス語の順であったと考えられる。
テュルク語に由来するarslan︵﹁ライオン﹂︶という言葉は、ハンガリー語、満州語、ペルシア語に至るまで広く分布しているが、一部の言語では単に個人名として使われるにすぎず、また英語の小説シリーズ﹃ナルニア国物語﹄ではアスランとして使用されている。
古代の借用語の中には、書記体系の普及に関連したものもある。その例としては、シュメール語のmusar﹁書かれた名前、碑文﹂、アッカド語のmusarum﹁文書、印章﹂があるが、これは明らかに茶の語源の*mudra-﹁印章﹂︵中期ペルシャ語のmuhr、サンスクリットのmudrā︶から借用されたものである。さらに古い︵後期新石器時代の︶放浪語がいくつか提案されており、例えば、シュメール語のbalag、アッカド語のpilakku-、インド・ヨーロッパ祖語のpelek'u-﹁斧﹂などがある。しかし、アッカド語のpilakku-は実際には﹁紡錘﹂を意味し、シュメール語のbalagは正しくは﹁大太鼓またはハープ﹂を意味するbalaĝ︵ĝは[ŋ]を意味する︶と転記され、アッカド語にbalangu-として借用された[6]。
参考文献
編集
(一)^ abcTrask, Robert Lawrence (January 2000). The Dictionary of Historical and Comparative Linguistics. Psychology Press. p. 366. ISBN 978-1-57958-218-0 2014年10月12日閲覧。
(二)^ Hock, Hans Henrich; Joseph, Brian D. (1 January 1996). Language History, Language Change, and Language Relationship: An Introduction to Historical and Comparative Linguistics. Walter de Gruyter. p. 254. ISBN 978-3-11-014784-1 2014年10月12日閲覧。
(三)^ Boutkan, Dirk; Kossmann, Maarten (2001). “On the Etymology of 'Silver'”. North-Western European Language Evolution 3: 3–15 2014年10月12日閲覧。.
(四)^ “chai”. American Heritage Dictionary. 2014年10月12日閲覧。 “chai: A beverage made from spiced black tea, honey, and milk. Etymology: Ultimately from Chinese (Mandarin) chá.”
(五)^ Dahl. “Feature/Chapter 138: Tea”. The World Atlas of Language Structures Online. Max Planck Digital Library. 2008年6月4日閲覧。
(六)^ The Pennsylvanian Sumerian Dictionary