来たれ、汝甘き死の時よ
概要
編集構成曲
編集第1曲 アリア「来たれ、汝甘き死の時よ」(Komm, du süße Todesstunde)
編集アルト・リコーダー2・オルガン・通奏低音、ハ長調、4/4拍子
イントロのリコーダー旋律は、「ため息のモティーフ」と呼びならわされるスラーつきの係留音型。リコーダーは終始鳴り続け、死を待ち焦がれるゆったりしたアルトのアリアが挿入される。そこにオルガンがコラールをさらに挿入する。
第2曲 レチタティーヴォ「世よ、汝の喜びはわが重荷なり」(Welt, deine Lust ist Last)
編集テノール・通奏低音
厳しい口調で世を否定する前半部と、イエスの元へ逝く安心感を吐露する後半とでは大きく曲調が変化する。前半のシラブルは短く、テノールは激しく世の喜びを否定してゆく。栄光と歓喜の日の出こそ死の瞬間であると悟った時、テノールの語りは穏やかに変わる。そして世への決別を宣告するとき、伴奏も動きを見せてアリオーソに転じる。
第3曲 アリア「わが望み、其は」(Mein Verlangen ist den Heiland zu umfangen)
編集テノール・弦楽器・通奏低音、イ短調、3/4拍子
全弦楽器の流麗な前奏に続き、キリストともに存在する望み、つまり死の希求をテノールが歌い始める。冒頭の「わが願い」(Mein Verlangen)は執拗に反復され、熱望の強さを暗示する。このパートはダカーポで再現される。中間部では消滅する肉体と、天上で輝く魂の対比が旋律にも反映される。腐り果てる肉体は下降する低音で葬られ、天上に輝く魂は、テノールの音域限界に近い高音で華やかなメリスマをまとって描かれている。
第4曲 レチタティーヴォ「すでにすべて終わりぬ」(Der Schluß ist schon gemacht)
編集アルト・リコーダー2・弦楽器・通奏低音
リコーダーが和音を提示し、アコンパニヤートの語りが始まる。穏やかに死を待つアルトの語りは、末尾に器楽伴奏をともなっている。語りが進行するにつれ、器楽の動きは活発になり、死後の自らを夢見るアルトも曲調を激しくしていく。最後の行においてアルトは弔鐘を所望する。するとリコーダーはスタッカート、弦楽器はピツィカートで答え、弔鐘を模倣する。8番・95番・198番など、のちのカンタータでも頻繁に使われる表現技法の嚆矢である。
第5曲 合唱「わが神の望みとあらば」(Wenn es meines Gottes Wille)
編集第6曲 コラール「たとい肉体がこの世にて」(Der Leib zwar in der Erden)
編集関連項目
編集- Komm, süsser Tod(日本語: 甘き死よ、来たれ) - タイトルは本作がもとになっている。1997年に公開された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に』の劇中挿入歌。