武左衛門一揆(ぶざえもんいっき)は、江戸時代後期の寛政5年(1793)に南予(伊予南部)の伊予吉田藩で発生した百姓一揆である。吉田藩紙騒動とも呼ばれる。

経緯

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一揆の概要

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御用商人の法華津屋(三引高月家および叶高月家)が、和紙生産を独占して、暴利をむさぼった為、百姓たちは打ちこわそうと一揆を起こしたが、最終的に本家である宇和島藩に訴え出たとされる。この時、山奥にある上大野村(現鬼北町日吉)の百姓武左衛門(嘉平)は、チョンガリ語り(門付芸、別称けた打ち)となって3年間領内をまわり、24人の同志を得、全ての村々を立ち上がらせ、見事に一揆を成功させたと伝えられる。強欲な商人を打ちこわすという名目で全領を決起させ、途中から逃散に戦術を変え、紙専売制の廃止のみならず、年貢の軽減まで勝ち取ったものである。百姓らは、頭取(指導者)武左衛門の名をかたく秘して洩らさなかったが、藩の役人は酒を呑ませて、頭取をほめたたえ、とうとうその名を聞き出し、ただちにとらえて斬首したと伝えられる。

平成以降に発見された史料より

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 便調

現在

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武左衛門一揆記念館が愛媛県鬼北町(旧日吉村)下鍵山に設置されている。武左衛門の出身地日吉地区では、お盆に「武左衛門ふる里まつり」を毎年開催し、義農として顕彰している。宇和島市吉田町東小路には、安藤儀太夫継明をまつる安藤神社がある。6月に行われる春祭りは盛大で吉田の風物詩である。

参考文献

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鬼北町教育委員会『庫外禁止録(井谷本)現代語訳』2023年

宮本春樹『改訂版 帰村 武左衛門一揆と泉貨紙』 2018年 

宇神幸男『宇和島藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉2011年

白方勝『武左衛門一揆考』1999年

日吉村教育委員会『義農 武左衛門物語』1996年

清家金治郎『屏風秘録にみる伊予吉田藩百姓一揆』1996年

日吉村教育委員会『庫外禁止録(井谷本)』1995年

関連作品

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小説
  • 二宮美日『ちょんがりの唄がきこえる 小説武左衛門一揆』 2021年
  • 木野内孔『武左衛門・起つ』 2001年

関連項目

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