タンカー

液体を輸送する機械
油槽船から転送)

 (tanker) 

LNGLNG
石油タンカー
空荷のため舵とバルバス・バウが水面上に出るほど浮いている。

船舶のタンカー

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船艙がタンクになっている船舶を「タンカー」と呼ぶ。以下の種類がある。

油槽船(オイルタンカー・プロダクト・タンカー)

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197956

使2130

(-)(-)(-)

外観

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油槽船は平たい甲板上に多数のパイプが走っているため、輸送船の中では比較的分かりやすい姿をしている。安全確保のために機関室を油槽と離す必要があり、ほぼすべての船で船尾に機関室と船橋、居住区画が置かれる「アフトエンジン形式」になっている。

大きさによる分類

原油輸送を中心とする大型タンカーは大きさによっていくつかに分類される。

  1. ULCC:Ultra Large Crude Oil Carrier - 30万重量トン以上
  2. VLCC:Very Large Crude Oil Carrier - 20-30万重量トン 最大喫水21m
  3. スエズ・マックス:Suezu Max - 15万重量トン 最大喫水18m(→20.1m 2010年)
  4. アフラ・マックス:AFRA Max - 約10万重量トン
  5. パナマックス:Panamax Max - 5万~8万重量トン 最大幅32.2m

VLCCまでが中東日本間での原油輸送時にマラッカ海峡の最大喫水21mを通過できるため、日本への原油輸送の主力を担っている。これらの規格が定められた後、スエズ運河は2009年に浚渫作業が完了し、最大喫水20.1mまで通航可能となっている[1]

シングルハル(一重船殻構造)

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2001年4月に開催された国際海事機関(IMO)内の海洋環境保護委員会で、MARPOL(海洋汚染防止)条約対象であるシングルハル・タンカー(船体全部が一重船殻構造:Single Hull)の使用を原則船齢25年で順次廃止し、最終使用期限も原則2015年に決定された。2002年9月1日発効。

  1. カテゴリー1 2万重量トン以上で1981年以前のMARPOL条約対象建造船 - 2003年から2007年間に船齢順に廃止。
  2. カテゴリー2 2万重量トン以上で1982-1996年MARPOL条約対象建造船 - 2003年以降船齢25年のタンカーから順次廃止。
  3. カテゴリー3 5千重量トン以上2万重量トン未満のMARPOL条約対象外建造船 - 2003年以降船齢25年のタンカーから順次廃止。

例外事項

  • 旗国の許可により、2017年まで使用可能。
  • MARPOL条約終結国は、2015年以降においてシングルハル・タンカーの入港を拒否できる権利を有する。
 

ダブルハル(二重船殻構造)

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1989年アラスカ沖で発生したタンカー「エクソン・バルディーズ号」の座礁事故で、原油流出による大規模な環境汚染が発生したため、1992年よりIMO(国際海事機関)の取り決めで1993年7月以降に建造契約されるか、または1996年以降完成の積載重量600トン以上の新造油槽船については船体全部が二重船殻(ダブルハル:Double Hull)構造とし、既に建造済みの一重船殻(Single Hull)タンカーの廃船を促すなど、事故発生時の環境負荷リスクの低い油槽船への切り替えが義務付けられた。

ミッドデッキ構造

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2IMO19937




 







2311使

Sea berth使



湿/





IMO



使Load on TopROBRetention Oil on Board



調[2]



LPGLNG4510[3]

歴史

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1908531400

195643,00019556195685,5001959104,5201962132,33419661151,265196612209,30219671968331,8261971372,6981973483,6641975484,377ULCC1973197650ULCC553,6621979564,763

1973VLCC19851/31972IHI252,059t4184.7rpm16.5174t/19852IHI258,090t23,500165rpm1460.4t/1972MHI237,383t34,000190rpm15.8166.5t/19862MHI258,374t23,500167rpm1457.3t/

19673Torrey CanyonIMCOIMO1971

1973使SBT1978 198919921993[4]

LNGタンカー

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モス型LNGタンカー
 
メンブレン型LNGタンカー

LNG0.5-161.50.85

410LNG

BOGLNG

LPGタンカー

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LPGタンカーはプロパンやブタンを主成分とするLPG(液化石油ガス)を輸送する専用の船舶である。LPGは常温でも最大8気圧以下で容易に液化できるため、LNGより扱いやすいが、低温にするか加圧する、またはその両方を行なって火気に注意するなどの配慮が求められる点でLNGタンカーと非常に近い船舶である。

ケミカルタンカー

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ケミカルタンカーは様々な化学物質を運ぶ専用の船である。運ぶ化学物質の性質に応じて、タンクに特別な材料を用いたり特殊なコーティングが施されていたりする。また複雑な配管が甲板上に見られるものが多い。

給油船

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港湾などで他の船に給油をするための船。50-300トン程の比較的小型で小回りのきく船が多い。

軍艦の一艦種として他の艦艇への給油作業を行うための油槽と送油設備を持つ艦艇は「給油艦(きゅうゆ-かん)」と呼ばれ、これらには10,000トンを超える大型のものもある。


1

砕氷タンカー

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45使退1.7 m IPS323 + α 

船以外のタンカー

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航空機

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基本的に貨物倉庫がタンク使用になっているものを「タンカー」と呼ぶ。以下の種類がある。

油槽機

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水槽機

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森林火災などの広域火災の消火用に、機体内に設置した水槽に搭載した水を空中散布する空中消火用の航空機が存在する。こうした機体はエアタンカーと呼ばれる。

空中消火といえば、汎用ヘリコプターの胴体下に水バケットを吊るして行う方法が一般的であるが、この場合はタンカーとは呼ばない。

自動車

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鉄道車両

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出典

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  1. ^ Egypt's Suez canal H1 revenue, traffic up; upgrade helps”. Reuters Africa. Thomson Reuters (af.reuters.com) (2010年7月26日). 2011年3月26日閲覧。
  2. ^ 林純一・利根川信之介共著 「商船倶楽部」 イカロス出版 2004年11月20日発行
  3. ^ 池田宗雄著 「船舶知識のABC」 成山堂書店 第2版 ISBN 4-425-91040-0
  4. ^ 吉識恒夫著 「造船技術の進展」 成山堂書店 2007年10月8日初版発行 ISBN 978-4-425-30321-2

関連項目

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外部リンク

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