法被
概要
編集
一般に、腰丈または膝丈の羽織の形式で、襟の折返しも胸紐もなく、筒袖または広袖の単純な形をしているのが特徴である。
元々、武士が家紋を大きく染め抜いた法被を着用したのに始まり、それを職人や町火消なども着用するようになった。本来の法被は胸紐つきの単︵ひとえ︶であるのに対し、半纏は袷︵あわせ︶であるが、江戸時代末期に区別がなくなった。襟から胸元にかけて縦に文字︵襟文字︶を入れることで着用している者の所属や名、意思を表したりすることができる。﹁大工留吉﹂﹁め組小頭﹂︵以上2つは左右に分割されている場合もある︶﹁いらっしゃいませ﹂など。祭礼に用いる法被には、それぞれ所属や年齢などから﹁御祭禮﹂、﹁若睦﹂、﹁中若﹂、﹁小若﹂などの襟文字が入れられる。
消防団では現在も消防団員の制服であり、出初式の梯子乗りなどでも見かけられる︵総務省消防庁の﹁消防団員服制基準﹂では﹁乙種衣﹂と呼称している。ただし全ての分団に貸与されるわけではない。︶。これは消防の興りである町火消から続く伝統である。最近では、消防団や祭礼のみならず、プロ野球などのスポーツの応援や百貨店などのセール時に店員が着用する衣装などさまざまな用途に使われている。さらに日本航空では、長年ファーストクラスの機内着として法被が採用されていた。
名称由来
編集
平安時代以降に身分が高い皇族や武家の正装とされていた束帯︵そくたい︶の下に着る下着が、法被の名前の由来である。
もともとは﹁はんぴ﹂と発音されたが、時代とともに発音も変化し、現代では﹁はっぴ﹂と呼ばれる。
一方、法被の漢字は、禅寺の高僧が座る椅子の背もたれに掛ける布の法被﹁はふひ︵ほうひ︶﹂が由来である。
ただし、布の法被と衣類の法被はまったく関係ないことから、法被の漢字は当て字とされる。[1]
脚注
編集- ^ “法被(はっぴ)の意味とは?法被の由来や歴史について解説”. 刺繍・オリジナルウェア制作トピックス「カメオカ」 (2022年3月7日). 2023年2月20日閲覧。
関連項目
編集