鉄の処女 (書物)
内容
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●プロローグで、本書を書いた動機が著者自身によって語られる。議論を避けあう思想界の馴れ合いに﹁ふざけんな!﹂と叫びたくなってしまったのだという。また、日本の思想界は、小林秀雄、花田清輝、林達夫などの文芸批評家が担ってきたが、それらの中に今日も語るべき問題など無いとされる。
●﹁高級コトバ遊びは成功するか﹂‥蓮實重彦を筆頭に柄谷行人、三浦雅士らの思想が論じられる。
●﹁実用的思想は日本を救えるか﹂‥渡部昇一、谷沢永一、竹村健一、鈴木健二などの、ニューアカ好きではない、ビジネスマンなどが読む思想家が論じられる。また、通常ニューアカ派に分類される浅田彰、山口昌男や中村雄二郎も、ここで論じられる。
●﹁裸の大衆に王様が見えるか﹂‥現代思想界で栗本がもっとも高く評価する丸山圭三郎、吉本隆明が、論じられる。
●その他に、Aゾーン︵言語で明晰に語られる領域︶とBゾーン︵そうでない領域︶の比という形で、西洋人も含む近現代の思想家がチャート化される章があった。中沢新一、山口が9:1、岸田秀は8:2、蓮實と浅田が6:4、ニーチェとカール・ポランニーは5:5、柄谷、吉本が4:6、中村とマルティン・ハイデッガー、エトムント・フッサールが3:7、栗本とマイケル・ポランニーが2:8となっている。︵鉄の処女の胎内からはたして誰が生還するか︶
●また、月本裕による人物紹介と上杉清文による寸評、高橋春男による﹁そして誰もいなくなった﹂のパロディ漫画などが彩りを添える。
●高橋の漫画の中で栗本慎一郎に似た人物は﹁萩本欽一郎﹂という名前を付けられている。逃走中の朝田枕︵浅田彰らしき人物︶が、落下してきた下中上健次︵中上健次らしき人物︶の下敷きになって登場人物が全員死亡するところで、漫画は幕を閉じる。
反響
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●当時のBRUTUSの編集者、小黒一三は﹁売れているが、あの本は構成が見事なのであって、中身のアンコは美味しくない﹂と評した[1]。
●大岡昇平と柄谷との対談では﹁この前、鉄の処女とかいうワケの分かんないの読んだよ、栗本慎一郎の﹂と大岡が言うと、柄谷は﹁なんであんなことするのか分からない﹂と答えた[2]
●蓮實は、この本での蓮實映画批評への栗本による評価に答える形で﹁栗本慎一郎という生真面目な学者が、蓮實は映画批評の一部を革新したなどと言っているが、映画を何も分かっていない彼に、そんなことを言われても関係ない﹂という意味のことを書いた[3]
●小阪修平との対談本﹁言語という神﹂で、小阪は、他の思想家への評価はおおかた同意だがヘーゲル評価については違和感があると評した。
脚注
編集関連項目
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●パンツをはいたサル
●構造と力
●ディオニュソス:ギリシャ神話における演劇と葡萄酒の神。ニーチェが﹁悲劇の誕生﹂のなかで注目した。Dゾーン︵ディオニュソス的領域︶とUゾーン︵AとDの境界領域︶を合わせたのがBゾーンである。この場合Aゾーンとは、その対立概念であるアポロンの頭文字をも意味する。