鉈
特徴
編集地域や業種によって刃や握把の形状にバリエーションがあるが、基本的には
- 片手持ちに適する
- 刀身が厚く丈夫である
- 刃渡りは15cmから60cm以上程度
のものを指す。
構造
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通常、柄は刃側に対して内側にやや傾けて取り付けられる。重量と刃の厚みを利用して、薪や竹を割ることもできる。
多くは先端が矩形になっている︵角鉈︶。その他に、刃先と切っ先がついた﹁剣鉈﹂︵つるぎなた、けんなた︶というものもある。剣鉈のなかには、銃の信頼性が低い時代に半矢となって逆襲してくる大型獣に対抗するため、マタギ狩猟者集団が槍の穂先としての転用を前提とし、共柄の部分を袋状の構造とした、﹁フクロナガサ﹂、﹁フクロヌイバ﹂というものがある。この場合、刃と柄の角度はほぼ直線状に配置される。
刃の横断面は、片刃、両刃共に見られるが、片刃の場合、利き手による方向性がある。両刃の場合、叩き切りや割る用途に適した耐衝撃性に強い、蛤︵はまぐり︶刃という刃付けが見られる。
地域によって形状が異なり、木柄を付けるものもあれば刃と一体になった共柄の物もある。さらに木柄にも、木の棒に切れ込みを入れそこに本体を差込み目釘で固定するものや、斧や鍬のように峰に穴︵ヒツ︶を設けそこに木の棒を差し込むものがある。刃の形状も様々で、斧に似たものや鎌に似たものなどがある。刃の先端部分に突起︵﹁石突﹂﹁鼻﹂﹁とび﹂などと呼ばれる︶を設ける物も多い。この突起については、実用新案が出され︵実公昭04-000634︶、登録されている︵登録番号128275号︶。
近年では地域毎に存在する鍛冶屋が激減したうえ、刃物の生産地が限られるようになり地域毎のバリエーションは減少しつつある。
使用法
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通常、皮革や木製の鞘にいれて腰から下げて携帯する。小枝を払うような用途では切断力は、刀身の重さとその鋭さを利用して切ることによって発揮される。また、定期的に研ぐことによって切れ味を維持する必要がある。
軍用品
編集第一次インドシナ戦争ではフランス軍に対し、ベトミンが鉈を持って突貫することが度々あった。
手斧と鉈
編集手斧やマキ割りの小斧を「ナタ」と呼ぶ場合がある。「言海」は鉈を「刃が厚くて幅が広く、やや弓形をした刀で、短い柄がある」とする。
相撲用語の鉈
編集相撲に「鉈」と呼ばれる攻め技がある。
片腕の肘を相手の喉に押し付け、もう一方の腕で相手の片腕を外側から抱え込み、片閂(かたかんぬき)に決める技。肘で喉を攻める様が鉈を振るうさまによく似ていることから命名された。
上半身の力が必要で、現代の大相撲ではめったに見られない。
フィクション作品での鉈
編集関連項目
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●スクラマサクス - 古代ヨーロッパで使用された鉈に近い刃物。
●マチェテ - 中南米で使用される鉈に近い刃物。
●ククリ - インド・ネパールで使用される鉈に近い刃物。
●コラ (刀) - 同上。
●斧
●鋸
●TP-82 - ソビエト連邦の有人宇宙船に備え付けられていたピストル。予定外の原野や森林に着陸した場合に、乗組員が救出されるまでのサバイバルで用いる。三連銃身に異なる弾種を装填できたほか、銃床部に鉈が内蔵されている。