SSCP
原理
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試料DNAは二本鎖DNAが乖離して、それぞれのDNA鎖が高次構造を形成することから、電気泳動法では2種類の産物が別々に検出される。
完全に同じ配列の一本鎖DNAは同じ高次構造を形成するため電気泳動における移動度は等しくなる。
一方、僅かでも塩基配列が異なると、その一本鎖DNAが形成する高次構造は著しく変わり電気泳動における移動度も異なる。
すなわち、塩基配列の全長︵塩基数︶が同じであっても、その配列中に僅かな差異︵変異・多型︶があると、
電気泳動における移動度の差異、すなわち電気泳動パターンの違いにより検出することができる。
手法の概略
編集ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いた場合の、 SSCPによる変異(多型性)検出手法の概略は次の通りである。
- 特定の遺伝子領域の切り出し(またはPCRによる増幅)により試料DNAを得る
- ホルムアミドの存在下で試料DNAを熱変性(加熱・急冷)させる
- これにより二本鎖DNAが乖離して一本鎖となり、それぞれが分子内で水素結合して高次構造を形成する。
- 熱変性させた試料DNAをポリアクリルアミドゲル で電気泳動
- 銀染色等により検出する
多型性検出の能力
編集SSCPによる多型性の検出においては、100から300塩基程度の長さの遺伝子領域を試料として用いる場合が多いが、 500塩基を超える試料DNAの中から1塩基の相違を検出できる場合もある。
再現性について
編集完全に同一の塩基配列を持つDNAであっても、その高次構造は温度、緩衝液の種類などの条件により変化することから、 SSCPによる遺伝的変異、多型性の検出においては温度制御の可能な電気泳動装置を使用することが必要である。
その他の方法
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●蛍光色素を結合させたPCRプライマーで試料DNAを標識し、キャピラリー電気泳動装置で検出する方法
●ビオチンを結合させたPCRプライマーで試料DNAを標識し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法とサザンブロット法を組み合わせて検出する方法
などもある。
●変異の検出ということでは、いわゆる次世代シーケンサー︵高速シーケンサー︶を用いて配列解析することも行なわれる。