V.1963
初版の表紙

物語

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1955 - 1956

VVVVV

背景知識

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この作品にはあらゆる領域の情報が利用されているが、中心となる概念としてサイバネティクスと(情報理論の)エントロピーが挙げられる。

正しいとも正しくないとも判定不能な物語群は、すなわち情報エントロピーの最大化の方向へと進行している。そしてそのような小説自体が一種の情報であると同時に「情報についての物語」をも構成し、読者を真偽に関するフィードバックのループへと巻き込んでいく。しかも小説は歴史的事実を語ると同時に歴史的事実の捏造を行っているため、メタフィクショナルなループは現実をも侵食していることになる。

Vという文字

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表題でもある「V」という文字は、そこから連想されるあらゆる言葉 (vicious, veracius, verify, version, void,...) を表象すると同時に、このような真実と幻視のV字交差点という意味も併せ持つ自己導入、自己増殖的なものである(小説の見開きにはVの字の集合で作られた大きなVの字が描かれている)。物語の二重構造のうち、前者はステンシル、後者はプロフェインにほぼ相当し、両者の相互流入が小説内の情報の流れを産み出している。

他のピンチョン小説との関係

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V.49

脚注

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