マイクロソフトが提供するWeb 2.0サービス、Windows Liveの形が少しずつ明らかにされてきた。しかし、ユーザーやパートナーとなるデベロッパーにどんなメリットがあるのかは、依然として分かりにくい。マイクロソフトのビジネスにおいてWindows Liveはどう位置づけられているのか。そしてユーザーにとってはどんなメリットがあるのか。オンラインサービス事業部Windows Liveサービスグループディレクターの浅川秀治氏(11月1日よりオンラインサービス事業部 事業部長 兼 プロダクトマネージメントグループ シニアディレクター)と、同プロダクトマネージメントグループビジネスマネージャーの前田尚己氏に話を聞いた。
--マイクロソフトのビジネス全体において、Windows Liveをどう位置づけていますか。
浅川:私たちはメディアとしてMSNを運営していますが、日本国内のポータルサイトとして首位には立てていません。検索サービスもまだまだです。ウェブメールのHotmailやインスタントメッセンジャーのWindows Messangerはかなりいい位置につけていますが、それ以外の部分ではより一層のチャレンジが必要だと考えています。
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浅川秀治氏
さらにマイクロソフトがネットサービスを提供する以上、デスクトップとウェブをシームレスにつなぐサービスを提供することが重要だと思います。インターネットビジネスがブラウザの中だけで完結するとは考えていません。この業界では後発のチャレンジャーではありますが、私たち独自のやり方で進んで行きたいです。
前田‥IT業界では、サービスの良さを機能重視で語る傾向があります。機能が豊富だから良いサービスだと。しかし、本当にそれがユーザーにとって大事なことなのか疑問です。ですからユーザー独自のシナリオで、いろんな機能を組み合わせてユーザーの好みで使うことで快適になるようにしたいと思っています。
--マイクロソフトがネットを活用したサービスを提供することで、ユーザーにとってはどのようなメリットが出てくるのでしょうか。
浅川‥現在のポータルサイトはMSNを含めて、ユーザーにとってはお仕着せのものでしかありません。バナーの位置やメニューの配置、コンテンツの中身もすべて提供者側が決めます。これに対しWindows Liveでは、モジュールの位置をユーザーが動かしたり、入れ替えたり、外したり追加したりすることが自由にできます。
また、検索についてもいろいろ考えています。たとえば﹁イチロー・スズキ﹂で検索するときに﹁個人ブログの記事はいらない、スポーツニュースだけ欲しい﹂というようなことが今の検索エンジンはできません。そういった部分もユーザーがコントロールできるようにしたいです。今後は検索の領域にもレビューや評価などユーザーの参加が必要になるかもしれません。
デベロッパーにとってのWindows Liveとは
--Windows Liveでは新しい機能をガジェットというモジュールとして開発し、組み込むことができますが、開発支援体制はどうなっているのでしょうか。
浅川‥私たちはこれまで培ってきたデベロッパーとの強いネットワークがあります。Windows LiveのAPIを公開して開発を支援していきます。
前田‥9月の頭に開催されたTechEdにWindows Liveというセッションを設け、デベロッパーの皆さんと話をしています。
--ガジェットを開発することで、デベロッパーにとってどんなビジネス上のメリットがあるのでしょうか。
浅川‥そこはまだ明確にお答えできるものがないのですが、どうやってデベロッパーの方とWin-Winな関係を築けるか、ユーザーや広告主を含めてみんながハッピーになれるかを考えているところです。
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前田尚己氏
前田‥デベロッパーと言っても、基幹システムを作っている方からシェアウェアやフリーウェアを作っている方までいろいろいらっしゃいます。コードを書かなくてもアイデアを提供したり、改良点を指摘したりする人がいてもいいでしょう。﹁こうすれば面白いんじゃない﹂といったことを伝えられる環境なども作っていきたいですね。
浅川‥さまざまなサイトを運営している方がガジェットを開発し、それをWindows Liveに置くことで、自社サイトにユーザーを誘導できるというメリットも出てくるでしょう。デベロッパーを、プログラムを作る人とは限定したくないです。ガジェットはJavaScriptとXMLで簡単に作ることができますし、Windows Live上にガジェットを置くことが自分のサイトへの入り口にもなるわけです。
--ガジェットを有料で販売するというモデルもありますか。
浅川‥あるともないとも、それは今のところお話できません。