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JRPGとは﹁Japanese Role Playing Game﹂の略称で、日本で生まれたRPGを指す言葉だ。主に海外で使われている言葉であるが、国内でも洋RPGを見る機会が多くなった近年では、国産RPGを指す言葉として日本でも定着している。海外のユーザー投稿型辞典サイトでは、﹁JRPGとは、Japanese Role Playing Gameである﹂とだけ記述されているところが多い。そういった﹁日本のRPG﹂という原義の意味で使うユーザーもいれば、﹁若者が活躍したり、アニメ調で描かれる、いわゆる日本産RPG色の強いタイトル﹂というジャンル志向的な意味でJRPGという言葉を使うユーザーもいる。その定義に関する話はひとまず置いておいて、この記事ではJRPGを﹁日本のRPG﹂を指す言葉であると解釈したい。 日本で生まれたRPGには多くの共通点がある。エンカウント式の戦闘であったり、ターンベースの戦闘であったり、大きなワールドマップが存在しており、小さな街やダンジョンが配置されていたり。こうしたお約束の要素に安心を感じる国内ユーザーも多いと思うが、一方で海外ではどのように受け取られているか、よくわからないのが正直なところだろう。BioWareやBethesda Softworksのタイトルなど、西洋のRPGと比べて古典的︵Classic︶すぎると評されたかと思えば、そうしたお約束の要素を含む﹃ペルソナ5﹄は高い評価を得ている。JRPGが実際海外でどのように受け取られているか気になる方もいるのではないか。 そこで弊誌は、RPGを愛する海外︵主に北米︶のゲームデベロッパー5名に、JRPGについての印象と、JRPGがどのように方向性を目指すべきという質問を投げかけ、思いの丈を語っていただいた。
Chevy Ray Johnston
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Rebecca Cordingley
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Michelle Silva
アメリカ・シアトル在住のクリエイター。Ska studiosに在籍している。代表作は『Salt and Sanctuary』。『Salt and Sanctuary』は2D版『DARK SOULS』とも称されるタイトルで、PC/PlayStation 4のほかにもPlayStation Vitaでも国内向けに販売中。
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Charles Webb
アメリカ・カルフォルニア在住のクリエイター。Faux-Operative Gamesの共同設立者。4月28日にはハイスピードなローグライクタイトル﹃Ruin of Reckless﹄をSteamなどでリリースしている。
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Jim Shepard
アメリカ・シアトル在住の個人開発者。Raven SoftwareやGearbox Softwareに在籍し、数々の大型タイトルに携わったのち、インディーゲームの制作を始める。代表作は『Dungeonmans』、最近ではアーケードスタイルのアクションンゲーム『Demon Truck』をリリースしている。
俺はJRPGとともに育ったんだ。﹃ドラゴンクエスト﹄﹃FINAL FANTASY﹄だろ、そして﹃クロノ・トリガー﹄だ。個人的には﹃ファンタシースター﹄が好きだ。俺の作品﹃Dungeonmans﹄も﹃ファンタシースター 千年紀の終りに﹄からはかなり強い影響を受けてる。時間が経ってもJRPGへの愛は変わらない。﹃ペルソナ5﹄は今まさに遊んでる。﹃ペルソナ﹄シリーズの絆を感じさせるイベント見るたびにコーヒーを飲んだり散歩にいくんだ。﹃ペルソナ3﹄のシナリオが特に好きで、ラストでは男泣きしちまった。ええっと、JRPGをどう思うだっけ?マジで大好きだ。でも忘れちゃいけないのは、俺は38歳で、開発者としてはだいぶ年寄りだってことさ。
JRPGは、誠実であるべきだと思う。たとえば﹃ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー﹄が﹃FF13﹄より輝いたことなんていいサンプルだろう。シナリオにひねりがあったり、驚きがあったりするのはいいんだが、やっぱり魅力的なストーリーとキャラクターがあってほしいね。﹁主人公たちが旅に出る﹂ぐらいシンプルでいいんだよ。よくわからない、あいまいな専門用語を出されて、誰が楽しめるっていうんだ?俺はJRPGは大好きだけど、﹃FF13﹄のシナリオはさっぱり楽しめなかったな。シナリオ進めるのはやめて、ファング使ってモンスター狩りばかりしてたよ。
戦闘システムをどうすべきかって話もあるが、たとえば﹃ペルソナ5﹄はターンベースだけどテンポがいい。﹃モンスターハンター﹄はアクションだけどテンポがゆっくりだろ。どっちにしても戦略性が求められるんだ。だから、テンポがゆっくりであるのも、わざとなら悪いことじゃない。JRPGのテンポが遅すぎるという人を見るときは、戦闘というより大体は飛ばせないムービーとか、必殺技とか、そっちが足を引っ張ってるように思うね。俺は﹃FF12﹄が大大大好きで、最高の﹃FF﹄だと思ってるけど、ミストナックの演出はさすがに長すぎると思う。最近のゲームにしては特に目立つ。移動時間にしても、もうちょっと考えてほしいと思ったよ。
個人的に思うのは、JRPGは日本から西洋に輸出する時に、うまく文化を変換できてないように思う。日本語ではニュアンスが面白く書かれてるであろうセリフが﹁well﹂とか﹁huh﹂とかあいまいなものになってて、そういうテキストをセリフ送りをするのが面倒なんだよ。うまく魅力が伝えきれてないように思う。
あと、いつになっても主人公に近い女性が﹁単なるセクシー役︵Eye Candy︶﹂扱いなのはちょっとな。﹃FF15﹄の﹁シド﹂も﹃METAL GEAR SOLID V﹄の﹁クワイエット﹂も﹃FF12﹄の﹁フラン﹂もだめだ。なんで2017年にもなって主人公のパーティーに加入する女が全員半裸なんだ?﹃Horizon Zero Dawn﹄のアーロイとか﹃The Witcher﹄のシリとか、もっといるだろう。﹁ララ・クロフト﹂でさえ﹁ただのおっぱいちゃん﹂を卒業したんだぜ?どうしてそこを変えてくれないんだ。ネタバレになるからいわないけどな、﹃ペルソナ5﹄でもそういうシーンがあって、がっかりだったな。
最近日本のJRPGで興味が出た要素といえば、ガンビットとかマテリアとかパラダイムシフトとか、手軽かつ戦略的に戦闘を面白くするゲームプレイだな。﹃ファンタシースター 千年紀の終りに﹄ではマクロを組めば自動的に戦闘してくれたし、特殊能力を順番に使う隠しテクニックもあった。﹃ペルソナ3﹄を初めて遊んだ時、ソーシャル機能とバトル機能の両方がすぐにすっと理解できた。JRPGはゲームプレイのシステムがいいんだよ。俺は昔の、そして新しいJRPGから新しい要素を取り入れようとしてるよ。タイトルを遊ぶ時間がなくとも、システムについては知らなければいけないと思ってる。
まだまだJRPGについて期待してる。頭よりもでっかい剣と空飛ぶ島、宇宙から流星を呼んで世界が半分に裂けるとかな。途方もないどデカイモンスターを倒すのも大好きさ。狂った鎧も武器もほしいね。ビジュアルと音楽がきれいなゲームでもあってほしい。﹃XenobladeX﹄でクールな音楽を聴きながらロボットで広大なエリアを探索する体験は、2015年の最高の瞬間のひとつだったよ。
さまざまなクリエイターにJRPGへの想いを語っていただいた。それぞれ考えは異なっているが、否定的な意見はJRPGの根本的な構造というより、長さや煩雑さといった個々の要素に集まっている印象だ。現代では、JRPGだけでなく、すべてのゲームにおいてテンポの向上や快適さの向上が求められているのだろう。こうした背景を考えれば、快適さやテンポに配慮されている﹃ペルソナ5﹄の高評価は合点がいく。JRPGは、日本のRPGを総称するうえで非常に便利なカテゴリーであるが、ゲームにおいての不満点は、カテゴリーやジャンルではなく、そのゲーム自体に起因するものだと考えるべきなのかもしれない。