![pt-kirin-impression-header](https://automaton-media.com/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-header-696x392.jpg)
ホラーゲームは怖い。しかしなぜ人は、怖いとわかっていてなお手に取らずにいられないのか? 現在このジャンルのゲームは数え切れないほどあるが、私にとっては﹃P.T.﹄こそ我がゲーマー人生の中で最も恐怖で凍りついたタイトルと言える。いや正確には発売されたものではなく某ゲームの﹁デモ版﹂という形でリリースされたものであるが、最後までプレイし終わった時に1本の大作ゲームを体験したかのような興奮――自分の背後と暗闇と電話と窓と雨と、とにかく私を取り巻くすべての事象におののかずにはいられない心地が一気に身体を駆け巡った。
![始まりは薄暗い部屋の中。この扉をくぐった先には……。](http://jp.automaton.am/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-001.jpg)
未体験の恐怖を求めダウンロード
![なぜこの家の中で目覚めたのか? 答えは自分で探すしかない。……あればの話だが。](http://jp.automaton.am/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-002.jpg)
手探りで進まなければならない怖ろしさ
![ラジオから「後ろを向きなさい」との指示。あなたなら無視できるか? それとも……。](http://jp.automaton.am/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-003.jpg)
![バスルームの中には……。](http://jp.automaton.am/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-004.jpg)
![家の住人らしき女性の「リサ」。目の前に現れたり憑りついたりとさまざまな恐怖をお届けしてくれる。](http://jp.automaton.am/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-005.jpg)
今後のホラーゲームの発展がさらに楽しみになる出来
無料で遊べるゲームながら、極上の恐怖体験が味わえる﹃P.T.﹄。グラフィックの絶妙にリアルな﹁質感﹂もそうだが、何よりこの舞台となる家に蔓延る﹁空気﹂が異質なのだ。廊下の照明が与えてくれる心もとない光、どこからともなく聞こえる物や家が軋む音……。家屋自体は西洋風だが、その﹁空気感﹂はジャパン・ホラーそのものだと感じた。日本のホラー映画にもある陰湿でジメジメとした、見ているこちらにも伝わってくる生温いような空気。決して単純に脅かしてビックリさせるだけではない、何か独特な﹁空気﹂がそこにはある。﹁誰か﹂がそこに居るのに気付かず通り過ぎ、後で思い出して身震いするとか、誰もいないはずなのにドアの向こうから気配を感じ、異様な雰囲気に恐れおののくとか……。じわじわと逃げ場も塞がれてしまっていくようなゆっくりとした恐怖……それこそが﹃P.T.﹄に感じた怖さの根源ではないだろうか。というふうに書いていたらなんかまた後ろが気になってきた……。 ……ここまで紹介してきた﹃P.T.﹄。是非ともプレイしたことが無い人にもオススメしたいところなのだが、ある事情があってそれも難しくなってしまっているのが現状だ。﹃P.T.﹄の正体は﹃Silent Hills﹄の“プレイアブル・ティザー”
2014年、ひとつのゲーム情報が世界を席巻した。それは小島秀夫監督率いる小島プロダクションが開発すると発表された﹃Silent Hills﹄だ。世界でも評価が高いサイレントヒル最新作ということで注目度が凄まじかった。しかし2015年現在、そのサイレントヒル最新作は残念ながら開発中止が発表された。それと同時にこの﹃P.T.﹄もPlayStationストアからダウンロードができなくなってしまった。 というのも﹃P.T.﹄とは、その﹃Silent Hills﹄のプレイアブル・ティザー︵遊べる広告︶として無料で公開されたもの。最後までクリアするとエンディングではなく、まさにその時点では開発中だった﹃Silent Hills﹄のティザー映像が流れる。﹁次のサイレントヒルはこういう怖さもあるんだァ……楽しみだな!﹂と私も心を踊らせたものだが……非常に残念だ。 またどこかで、新たな形で出逢えることを心から願いつつも、こういった﹁異質な空気感のホラーゲーム﹂のさらなる登場を待ち望むばかりだ。![霧に包まれたこの町は幻となったのか……。しかし未だ、最後の謎の明確なクリア方法は確立されていない。あなたも電話で知らない男から「後ろを向きなさい」と言われても絶対に振り向いちゃダメだぞ!](http://jp.automaton.am/wp-content/uploads/2016/01/pt-kirin-impression-006.jpg)