日銀が物価1%展望できるまで基金残高維持検討へ、事実上無制限緩和
﹇東京 22日 ロイター﹈ 日銀は早ければ30日の金融政策決定会合で、資産買入基金の残高を長期間にわたって維持することを検討する見通しだ。目標である80兆円の残高を達成する2013年末以降も、物価上昇率1%が展望できるまで残高を維持することで、米量的緩和第3弾︵QE3︶同様に事実上の無期限︵オープンエンド︶緩和に近づける。
日米緩和策の違いから進行する円高を防ぐ効果も期待できる。複数の関係筋が明らかにした。
日銀は9月の決定会合で追加緩和に踏み切ったばかりだが、日中関係の悪化で再び景気の下振れリスクが高まる中、目標とする物価上昇率1%に﹁2014年度以降、遠からず﹂到達することは難しい情勢。このため、今月30日の決定会合で追加の金融緩和策を検討する可能性が大きい。
9月に米連邦準備理事会︵FRB︶が打ち出した量的緩和第3弾︵QE3︶は、雇用状況が改善するまで住宅ローン担保債権︵MBS︶を購入するという事実上の無期限緩和策。このため市場や政府・与野党関係者からは、日米緩和差による円高進行を防ぐため、日銀に対抗策を要望する声が強まっている。前原誠司経済財政担当相は今月10日の講演で、日銀に対して﹁欧米がしっかり金融緩和をやっている中で、やっていない事自体に問題がある﹂と述べている。
日銀は2010年10月に目標35兆円でスタートした基金を相次いで拡大、期限も延長している。事実上の無制限緩和であるのは米国と変わらないとの立場だ。今月11日に公表された9月18、19日会合の議事要旨では、ある委員がQE3について﹁あらかじめ上限や期限を決めずに買い入れる点が注目されているが、日銀も上限や期限を累次にわたって拡大・延長してきている﹂と強調している。実際、消費者物価指数がマイナス圏で推移を続ける中、上昇率1%が展望できるまで強力な金融緩和を進めるとしており、長期の緩和を続けるメッセージとなっている。
しかし、日銀は基金が現行の残高目標である80兆円に到達する13年末以降について、国債などが償還を迎えて残高が減少することへの対応を明言しておらず、日銀の主張する﹁無期限性﹂は十分に市場に浸透しているとは言い難い。償還分を市場から買い続けて残高を維持することは、資産買い入れ自体が緩和強化につながるとの日銀の主張とも整合的だ。
日銀は2月に物価上昇率1%の目標を明記した際も、政策は従来と変わらないとしつつ、目標を英語で﹁goal︵ゴール︶﹂と明記するなど説明をわかりやすくし、国債買い入れの増額と組み合わせたことで、異例の円安・株高など緩和効果をもたらした経緯がある。
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