藤山哲人の実践! 家電ラボ

日本は食洗機後進国!? 食洗機を使った方がいい理由、しっかり説明します

日本は食洗機後進国!? 食洗機を使った方がいい理由、しっかり説明します

 先日パナソニックから「面白い工場見学があるけど来る?」という話しが舞い込み、早速行ってきた。訪れたのは、滋賀県の草津工場! エアコンや冷蔵庫なども作っている工場だ。

滋賀県にある、パナソニックの草津工場

 

 We will soon arriving at KYOTODEABC()

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キッチンに据え置き式のビルトイン食洗機。いまやこちらが主流で、卓上型の4倍出荷されている
デジタル家電と違って、製造工程が品質を大きく左右する白物家電。ジャパンクオリティは白物家電ではとくに武器になる

お母さん必見! 食洗機で子どもを怒る回数が激減!?


 

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まだ洗剤を入れていない状態。ノリ状になっているお米
左の食洗機用洗剤を入れたものは色が少し黄色くなり、ノリ状がシャブシャブになった。右の手洗い用洗剤は、きめ細かな泡が立つのみでベットリとしたまま

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食洗機用の洗剤は食洗機と合わせて使うことで、どちらも最大のパフォーマンスが引き出せる相乗効果を持つ。かたや手洗い用の洗剤は、昔ながらの石鹸成分が中心

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食洗機の水流の噴射は、垂直で2mまで飛ばせるほど強い。お風呂のシャワーを天井に向けて、水栓全開にしてもなかなか2m(床から天井まで)飛ぶ家庭は少ないはず

 さて食洗機自体は水圧で洗浄するので、ごはん茶碗についているノリ状のお米も、カピカピのお米も実は超苦手(洗剤を入れないでごはん茶碗を洗うと、ぜんぜん取れないので、苦手ってのがスグ分かる)。つまり食洗機は、ごはんの汚れを、食洗機じゃなく洗剤が落とすのだ。

 そう、食洗機があれば、ごはん茶碗が一晩経とうと問題なし! 米(でんぷん)を直に分解するので、漬け置きする手間もイライラしながら家族を教育する手間も省ける。

お父さん必見! 食洗機で洗ったグラスで飲むビールは旨い!?


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いつもより泡を立ててついでおります! さて、コップの違いでビールはどうなるのか!?

 「えーーーーーーーっ! マジで!」「はい、マジです」なんと食洗機で洗ったグラスの方が泡立ちが、まったくと言っていいほど違ってくる。

 ドラマや映画、本物でもちょっと高くてオシャレなバーに行くと、バーテンダーさんが曇りひとつないように、グラスを磨いている。あれは伊達でも演出でもなく、グラスの中に汚れや水道で洗ったときのカルシウム分などが残っていると、ビールの泡立ちが悪くなったり、お酒の味や風味を壊してしまうからなのだ。

入れたてはそれほど変わりなし。でも左側の食洗機で洗ったグラスのほうが、泡がきめ細かいような……。右側はいつも飲んでるビールだな(笑)
しばらくすると……なんじゃ! この違いはっ! グラスの洗い方ひとつで、ここまでビールが違ってくるのだ! 「確かに店で飲むやつは、左側だわ~」改めて気づかされた

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コラム:業務用のガラス食器用食洗機

 硬度が高い水で洗うと、マグネシウムやカルシウムの水滴痕が残ってしまう。そこで業務用のガラス食器用食洗機では、特殊フィルターで不純物を取り除き、「超軟水」(コンタクトレンズ用の純水って言ったほうが早いかも?)で洗浄している。

 ただし飛行機の機内食を提供するケータリング会社の「超」業務用の話(笑)。でも水滴痕が許せない! という場合は、水道水の軟水よりさらに硬度が低い超軟水で洗ってみるといいかも?

 食洗機で洗ったグラスなら、ホテルやバーで飲むビールのように、きめ細かい泡が長い時間ビールを覆う本格的な味が楽しめるのだ。

 もちろん他のお酒もおいしく飲めるだろうし、なにより曇りのないキレイなお皿に盛ればおつまみもいっそう旨くなる。

【無駄な】手洗いが食洗器にかなうわけがない!【努力】


 

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食洗機の温度

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手洗いと食洗機の水量比較

 ただ水温を80℃まで上げるのにヒーターを使うため若干の電気代はかかる。とはいえ給湯器を最高温度の60℃にセットしておけば、浮いた水道代で十分ペイしておつりが来るという点も補足しておこう。

【悲報】日本は食洗機「超発展途上国」【ガラパゴス再び!】

 目を海外に向けると、日本は涙が出るほど食洗機の超発展途上国であることを思い知らされる。次の図は世界の食洗機普及率を年次のグラフにしたものだ。

食洗機の普及率。日本は3割に満たない

 201628.4%! EU70%宿

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 DNA
食洗機の歩み

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エコナビ搭載モデルは、食器の点数や汚れ具合に応じて水量が自動調節される

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手洗いにない噴射

一度使うとやめられない食器洗い乾燥機の製造工程を見てきた


 
シェア推移

 今回見せてもらったのは、ビルトインタイプの食洗機。卓上型と違い、食洗機の良さをあらかじめ知っていて、家を建てるときなどに建て付けて末永く使うものだ。それゆえ品質が問われる製品ともいえる。

 また2003年ごろは卓上とビルトインが半々というシェアだった。しかし今年は、卓上1に対して、ビルトインが4倍となっている。おそらく食洗機のエントリーモデルを使った人が、「食洗機は必須! 家を建てるなら置き場に困らないビルトイン!」と、徐々に卓上からビルトインにシフトしているものと考えられる。

 そのビルトイン食洗機は、まず1枚の鉄板を加工することからはじまる。

1.鉄板のロールをプレス機にセット
2.何段階かにわけてプレス・穿孔加工をする金型。これをプレス機にセット
3.プレス機で部品を打ち抜いて形作る
4.プレス加工した鉄板をロボットアームが次の曲げ機にセット
5.ほかに必要な部品もプレス機で加工する。一度にプレスするのではなく、何段階も経てようやく部品となる
6.ほかにもユニット単位で必要な部品を調達。青や緑のコンテナに入っているのは、すべて必要な部品だ
7.すべての部品が揃ったら最終アッセンブリ(組み立て)ラインに
8.食洗機内部の底部。取り付けているのはヒーターユニット。裏返して、おそらく心臓部のポンプユニットを取り付け
9.各工程のネジ止め作業は、デジタルカウンターがセットされている。これには、あと何本ネジを打たなければいけないかの数が表示され、作業ミスを防止する。写真は場所Aに残り1本、場所Bに残り3本のネジ打ちが必要
10.電線の束(ハーネス)の取り付け工程
11.水の循環経路工程の組み立て。ここにもネジカウンターが。水系の部品だけに1+7本のネジでしっかり固定
12.隣の工程は底部のカバーを取り付け
13.コントローラユニット(マイコン)の最終組み立て、製品のパレットに載せる(取り付けは別工程)。水を通すホースなども付いた
14.ノズルの取り付け+内側カバーの取り付け。コントローラユニットはパレット左側に乗ったまま
15.循環系のホースの取り回し
16.筐体にさびないステンレス製のスライドレールを取り付け
17.先に組み立てた食洗器ユニットをスライドレールにはめて梱包。もちろんマニュアルもれっきとした部品です!
生産予定数と実績などの電光パネルで作業の進み具合や、ペース配分を調整。このラインではおよそ1日500台の生産が可能だ

 

 
画面中央、デジタル数字の下段に注目。この工程では7本のネジ打ちが必要で、ネジ止めをしていくと、カウンタの数字が減る
0になればネジの締め忘れなしということ

 また数工程ごとの部分検査も厳しく行なっていた。中でも水が通るラインは、エアーを入れて空気漏れがないか(気圧が下がらないか?)を厳しくチェック。その検査工程は機密として撮影できないぐらいなのだ(笑)。

おまけ:えっ! 生まれる前からあったの!? 食洗機ヒストリー


 19603!
ズラリと並んだ歴代の食洗機。意外とその歴史が古いことに驚く

 一般公開されていない展示物だけに、見る機会もほとんどないだろう。「あ! これ家にあった!」的に見て欲しい。

1960年製:初代食洗機
一人暮らし用の縦型洗濯機ほどもある食洗機。もともと洗濯機事業部が作ったので、洗濯機みたいな形になったんだとか
1968年製:卓上食洗機
9年かかってここまで小型化! 丸っこいデザインと、半分が透明でロボットの頭みたいなのが、未来的なデザインだったはず
1969年製:ビルトイン(床置き)式食洗機
どう見ても洗濯機(笑)
でも当時の大きな部品なのに、モーターやポンプなどが底面に収まっているのは凄い!
1978年製と1999年製:ビルトイン(床置き)式食洗機
1978年製。ビルトインと呼べる大きさに小型化
1999年製。ようやく現代のビルトイン食洗器になった
1986年:卓上型食洗機
前作の卓上型からおよそ20年して現代の食洗器っぽく! 時代はバブルまっさかり
LED+パッチボタンでコンピュータの最先端感があったころ
愛称は洗濯機からとった「キッチン愛妻号」! なつかしっ!
1999年:薄型卓上食洗機
ここまでくると、もう現行モデルと大差ない感じ

お母さんを食器洗いから解放してあげる日本へ!

 食洗機の普及率は、世界に比べまだまだ低い日本。しかし日々進歩する食洗器本体に加え、洗剤の力も加わったシナジーで、手洗いをはるかに越えるキレイさ、便利さ、安全を手にできる。

 みんなで日本のお母さんを食器洗いから解放してたい! という願いを込めて、ますますの普及を願いたい。

藤山 哲人