無為なホテル宿泊こそ至高の行為である。私はそう思うのであります。
旅行でもないのに、なんとなくホテルに泊まってみるというのはとても贅沢な気分になるものである。ふわふわ絨毯の廊下、ピカピカの浴槽、パキパキのシーツ…… 窓を開けて部屋の空気を入れ替える時のような、さっぱりとした気分を獲得できるのである
師曰く、贅沢は味方!
旅行にでかけて、というのは最善なのだけれど、やっぱりお金もかかるし、出かけること自体がそれなりに体力を要する行為でもある。しかし、都内のホテルに泊まればそんな懸念は何もないのだ。
phaさんも意味のないホテル宿泊が好きなようだ。
pha.hateblo.jp
今回泊まったのが、山の上ホテル。
御茶ノ水駅の近く、大通りを折れて少し坂を上っていったところにある。都内にあるのに、どことなくひっそりとした雰囲気が漂っていて、時間が止まってしまっているかのようだ。ホテルはひっそりしているに限る。恥ずかしげもなく、ででんと一等地に立ち誇る外資系ホテル、否、ひっそりホテルである!!むむ、これはいいのではないか??とこの企画の同行者ともりあがる。
山の上ホテルは1954年の創業で、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎などの作家がここで缶詰めになって、執筆活動に勤しんだことで知られている。文化的な文脈ではわりと有名らしい。僕も何かの本を読んでいたらこのホテルが出てきたので、一度泊まってみたいなあと思っていたのだ。
外観はかわいらしい三角形で、内装も赤絨毯にレトロな調度品でなかなかたのしい。高級なホテルというよりは家庭的な雰囲気のあるホテルだ。
チェックインを済ませ、部屋に入る。部屋のキーも化粧品のような気品がある。
こぢんまりした部屋。一泊息抜きするには十分だ。ベッドのわきについているBGMというボタンを押すとクラシックが流れ出して笑ってしまった。
ドアノブ。
部屋で、お茶を飲み、置いてあった洋菓子を食べる。リーフクッキーがとてもおいしい。
時間はたくさんあるので、 ホテルの中を探検してみる。赤い階段が渦巻いている。古い建造物の階段というのはなかなか蠱惑的である。ここは置き去りの、時のないホテル20世紀を楽しむ場所!︵ユーミン︶
作家に愛されたホテルだからなのか、こんな感じの調べものデスクみたいなものがちょこちょこ置いてある。かわいい意匠のいい机だ。ここでブログを書いたら、多少は文章がいい感じになったりするのではないだろうか。変な方向に格調高くなってしまうだけのような気もする。
夕飯を食べる。
カツレツ?をオーダーする。柔らかくておいしい。昔ながらのレストランというのはこういうタイプのカツレツをよく出すように思う。 よだれがでてくるね…… 部屋に戻り、ぐだぐだする。テレビをつけると、LA LA LANDがやっていたので、ベッドに寝ころびながら、眺め見る。ホテルにいるからといって何か特別なことをしないといけないわけでもない。LA LA LANDは曲がいいんだよなあ。楽しくなってきてしまうね。 バー ノンノンへ。 かなり歴史があるバーらしい。人々の名残が擦れた机に残っている。大学が近くに多いこともあり、大学教授ふうの人が何かをぼそぼそとしゃべっていた。結構一人客が多く、席に着くと、髪をかちっと決めた、ザ・バーテンダーという雰囲気を漂わせる男性が、何も言わずさっと酒を提供していた。そうか、行きつけの人たちは、何も言わずとも、酒が出てくるのだなあ。なんだか真実味のあるバーである。 ヒルトップというオリジナルのカクテルを頼んでみる。味は覚えていない。さっぱりしていたような気がする…… 静かないいバーだった。紳士たちの社交場に長居するのもあれなので、一杯だけ飲んで部屋に戻った。 部屋に戻ると、雪が降り始めていた。つもるほどではなさそうな、小さな雪がふらふらと頼りなさげに降り落ちていた。何歳になっても、雪が降ると少し特別なことが起こっているような気がして感慨深くなってしまう。エモというやつである。 しめに洋風雑炊を食べたい!となって、ルームサービスをつかう。作家たちの夜食だったんだとか。かわいらしいうつわだ。 コンソメベースの優しい味付けだった。ふふふふと静かに奇怪な声をあげながら、一気に口へと運んでいく。夜中の炭水化物というのは常に3割ましでおいしいものだ。この世の幸福は夜中の炭水化物、そういっても過言ではないのではありませんか!? 雪が降ったせいもあって、街は静まっているようだった。部屋では、クーラーの音だけがしゅーと響いていた。弾力のあるベッドのパリパリシーツにくるまれて眠った。普段、べこべこになった布団で寝ているのだけど、ああ、やっぱりよいベッドで寝たいものだ、それは思いのほか生活上のいろいろなやる気に影響しているにちがいないのだろうなあと思った。いらぬことに気が付いてしまったようにも思った。 宿泊代にプラス1000円の朝食付きプランにしていた。和食と洋食を選択できたので、和食を選んだ。和食を食べる場所が、一回外に出る感じのところにあったため、前日の雪の冷気を残している風にあてられて、おそろしいほどの寒気をかんじた。 夜に続き、ふふふふと不敵な笑い声をこぼした。刺身のおいしさよ。たまにちゃんとした朝食を食べると元気が出てくる。 べつに高級なものでなくてもよいので、これからもたまに、無意味にホテルに泊まりたい。 www.yamanoue-hotel.co.jp
カツレツ?をオーダーする。柔らかくておいしい。昔ながらのレストランというのはこういうタイプのカツレツをよく出すように思う。 よだれがでてくるね…… 部屋に戻り、ぐだぐだする。テレビをつけると、LA LA LANDがやっていたので、ベッドに寝ころびながら、眺め見る。ホテルにいるからといって何か特別なことをしないといけないわけでもない。LA LA LANDは曲がいいんだよなあ。楽しくなってきてしまうね。 バー ノンノンへ。 かなり歴史があるバーらしい。人々の名残が擦れた机に残っている。大学が近くに多いこともあり、大学教授ふうの人が何かをぼそぼそとしゃべっていた。結構一人客が多く、席に着くと、髪をかちっと決めた、ザ・バーテンダーという雰囲気を漂わせる男性が、何も言わずさっと酒を提供していた。そうか、行きつけの人たちは、何も言わずとも、酒が出てくるのだなあ。なんだか真実味のあるバーである。 ヒルトップというオリジナルのカクテルを頼んでみる。味は覚えていない。さっぱりしていたような気がする…… 静かないいバーだった。紳士たちの社交場に長居するのもあれなので、一杯だけ飲んで部屋に戻った。 部屋に戻ると、雪が降り始めていた。つもるほどではなさそうな、小さな雪がふらふらと頼りなさげに降り落ちていた。何歳になっても、雪が降ると少し特別なことが起こっているような気がして感慨深くなってしまう。エモというやつである。 しめに洋風雑炊を食べたい!となって、ルームサービスをつかう。作家たちの夜食だったんだとか。かわいらしいうつわだ。 コンソメベースの優しい味付けだった。ふふふふと静かに奇怪な声をあげながら、一気に口へと運んでいく。夜中の炭水化物というのは常に3割ましでおいしいものだ。この世の幸福は夜中の炭水化物、そういっても過言ではないのではありませんか!? 雪が降ったせいもあって、街は静まっているようだった。部屋では、クーラーの音だけがしゅーと響いていた。弾力のあるベッドのパリパリシーツにくるまれて眠った。普段、べこべこになった布団で寝ているのだけど、ああ、やっぱりよいベッドで寝たいものだ、それは思いのほか生活上のいろいろなやる気に影響しているにちがいないのだろうなあと思った。いらぬことに気が付いてしまったようにも思った。 宿泊代にプラス1000円の朝食付きプランにしていた。和食と洋食を選択できたので、和食を選んだ。和食を食べる場所が、一回外に出る感じのところにあったため、前日の雪の冷気を残している風にあてられて、おそろしいほどの寒気をかんじた。 夜に続き、ふふふふと不敵な笑い声をこぼした。刺身のおいしさよ。たまにちゃんとした朝食を食べると元気が出てくる。 べつに高級なものでなくてもよいので、これからもたまに、無意味にホテルに泊まりたい。 www.yamanoue-hotel.co.jp