こんばんは、kobeniです。私は今週から、自宅待機も終わり、また仕事が始まりました。やっと、少し冷静になってきた。というのが正直なところです。
さて、今回の震災で、﹁オカン︵親︶の情報リテラシーがヤバい﹂と痛感してしまった方はいないでしょうか。
あれは地震の日の翌日だったか、うちのオカンが家に来て、文旦︵高知あたりでとれる、でっかいミカンです︶を置いていきました。その帰り際にひとこと﹁ちょっとあんた、有害な物質が含まれた雨が降るらしいから、雨に濡れちゃイカンよ!関係者の人が言ってるらしいから!﹂ …そうです。コスモ石油の例の件です。
﹁LPガスなので人体には影響がない﹂って、LPガスをググれば文系の私でも理解できる内容でした。しかしオカンは、友達からのメールで受け取ったらしく、あっさり引っかかっておりました。 ちなみにうちのオカンですが、60代です。ずっと教員をやってました。新聞は普通に読みますが、パソコンは﹁一太郎﹂で文章を書く程度。インターネットはできません。︵﹁この本をインターネットで買ってほしいんだけど﹂、と私に頼むレベル︶ただ、ケータイメールはよく使っています。
私がコスモ石油の件がデマと知ったのは、twitter経由でした。オカンからはそれとほぼ同時に﹁ごめんデマだった﹂というメールが来ました。安心したのもつかの間…その後も続々と ﹁冷却水を首相が断ったという話もあるって﹂ ﹁とろろ昆布がどっさり送られてきたんだけど﹂ このあたりで、オカンというよりオカン・ネットワークが変なのではないか?と気がつきました。﹁誰からそんな情報が入ってくるの?﹂と聞くと、地方の︵オカンと同世代の︶友達だと言います。東京に居る彼女を心配して、同じ60代くらいの、まあオバサンと言える人たちですよね、から連絡が来るみたいなのでした。
どうして、オカンは、オカンの世代は、デマを簡単に信じてしまうのでしょう?ただでさえ、日々なんらかの緊張感ある報道があり、こっちもナーバスになっているのに、実の肉親が、イソジンを買い占めていたり、福島のほうれん草食べない!なんて言っているのが分かったら、正直グッタリです。
もちろん、うちのオカン個人の問題もあると思います。ですが今回、私と同じような経験をしたアラサーが多いと感じています。私たちの世代とオカンの世代のリテラシーに差をつけるものは何か?最も大きな要因として考えられるのは、、やっぱり﹁インターネット﹂の存在です。ネットを使わないと、情報源が圧倒的に少ないです。TVと新聞と雑誌だけ。人によっては、週刊誌とワイドショーだけ。TVや新聞や雑誌は、基本的に一方通行なので、いったん受け取った情報に疑問を感じても、そのまま何となくうやむやになります。﹁今、仕入れた情報を、リアルタイムで別角度から検証する﹂ということができません。 もしかすると、その限られた情報源の中においては、選別をしているのかもしれません。しかしその量が基本的に少ない︵これまで通りの量である︶、し、また発信元が少ないが故にある程度﹁権威づけ﹂されているので、疑いようがないのかもしれません。
これだけで理解できるか?というと、まったく疑問が残ります。うちの親世代は、学生運動だってやった世代のはず。むしろ私たちよりも、社会の動きに対して敏感で、意識も高いのかと思ってました。そんな人たちが、あわててトイレットペーパーやら、とろろ昆布を買い占めるなんて、なんだかエキセントリックすぎませんか。よくわからないので、とりあえずオカンに質問してみました。
それで一応たどりついた、ひとつの解が、これです。
﹁オカン達の世代は、国や政治家を信用していない。 ︵それに対して不正を暴くマスコミや、異論を呈するスピーカーには、一定の信頼を置いている︶﹂ ﹁私達の世代は、誰も信用していない。 ︵しいて言えば、専門家とか、﹁自分が信頼できる人が信頼してる人﹂を信頼する︶﹂
オカン曰く、彼女たちの世代︵といっても、全員がそうではないと思いますが︶は、基本的に主要な情報は、国や政治家は隠しているはずだ と思っている。なので、公式ルートから来る情報—つまり、枝野さんが言う﹁物は安定供給されているので買い占めするな﹂等—は、基本的に信頼してない。なので、別ルートから入ってきた情報︵別ルートならなんでもいい、というところが謎なのですが、それは近所のオバサンの憶測かもしれないし、週刊誌の煽り記事かもしれない︶の方を信用する。 で、私たちの世代︵もちろん、これも人によりますが︶がどうかと言うと、別に国や政治家に全幅の信頼を置いているわけではないが、﹁主要な情報をひた隠しにするのは不可能だろJK﹂と思っている。誰が発信元であろうと、間違った情報が流れた場合、webを見ていればリアルタイムで﹁デマでは?﹂→﹁デマでした﹂と訂正されていくことを知っているため、最終的には正しい情報だけが残るだろうと思っている。
あとは、オカンがしきりに﹁水俣病とか﹂と言っていたので、ちょっとググってみたのですが、ああいうレベルの汚染を子供心にでも体験していたら、﹁放射能=ひどい汚染!!﹂という︵身を守るための︶飛躍が働いてもおかしくないかも…と妙に納得しました。
国や政府の言うことを鵜呑みにしない、というリテラシーまではあるのに、その次に﹁みのもんたの言うことは鵜呑みにする﹂みたいなところが、ちょっと︵いやかなり︶不思議ではあります。いずれにせよ、彼ら/彼女らには、枝野さんが言ったところで届かないようですし、﹁専門家の意見﹂が、webやブログで積極的に上がっていても、インターネットをしないので、目に触れる機会が少ないでしょう。現状では子供がweb等で得た情報を親に﹁もー!﹂とか言いながら伝えている形ですが、仮に﹁ほうれん草食べない﹂などと言っているのがオカン世代であるとしたら、webで﹁買い占めないで!﹂とたくさんRTするだけでは、あまり本質的な解決にはならないだろうな。と思ったりします。
それからもうひとつ。﹁私たちの世代は、誰も信用してない﹂というのは、私の主観ですけれども、割とそういう人が多いと思います。日常的にマスコミ批判が渦巻いているインターネッツを見ているわけだし、国や政治というのはもうずっと昔から遠い存在だった…となれば。 だから、この震災で﹁もう誰も信用できない!﹂とパニックになる人には、意外と若い人も含まれているんではないか。と想像しています。
自分と、大きな脅威の間に、﹁枝野さん﹂が毎日登場する今の私たちの現実は、全然﹁セカイ系﹂*1じゃないんですが…とはいえ、小さくて大きな決断を、毎日迫られている私たちの世代も、試されているような気がします。
マジメな話、今後、風評被害や差別を防ぐといった点では、みのもんたとか綾小路きみまろとか、イ・ビョンホンとかにも頑張ってもらいたいところです。
さて、今回の震災で、﹁オカン︵親︶の情報リテラシーがヤバい﹂と痛感してしまった方はいないでしょうか。
あれは地震の日の翌日だったか、うちのオカンが家に来て、文旦︵高知あたりでとれる、でっかいミカンです︶を置いていきました。その帰り際にひとこと﹁ちょっとあんた、有害な物質が含まれた雨が降るらしいから、雨に濡れちゃイカンよ!関係者の人が言ってるらしいから!﹂ …そうです。コスモ石油の例の件です。
﹁LPガスなので人体には影響がない﹂って、LPガスをググれば文系の私でも理解できる内容でした。しかしオカンは、友達からのメールで受け取ったらしく、あっさり引っかかっておりました。 ちなみにうちのオカンですが、60代です。ずっと教員をやってました。新聞は普通に読みますが、パソコンは﹁一太郎﹂で文章を書く程度。インターネットはできません。︵﹁この本をインターネットで買ってほしいんだけど﹂、と私に頼むレベル︶ただ、ケータイメールはよく使っています。
私がコスモ石油の件がデマと知ったのは、twitter経由でした。オカンからはそれとほぼ同時に﹁ごめんデマだった﹂というメールが来ました。安心したのもつかの間…その後も続々と ﹁冷却水を首相が断ったという話もあるって﹂ ﹁とろろ昆布がどっさり送られてきたんだけど﹂ このあたりで、オカンというよりオカン・ネットワークが変なのではないか?と気がつきました。﹁誰からそんな情報が入ってくるの?﹂と聞くと、地方の︵オカンと同世代の︶友達だと言います。東京に居る彼女を心配して、同じ60代くらいの、まあオバサンと言える人たちですよね、から連絡が来るみたいなのでした。
どうして、オカンは、オカンの世代は、デマを簡単に信じてしまうのでしょう?ただでさえ、日々なんらかの緊張感ある報道があり、こっちもナーバスになっているのに、実の肉親が、イソジンを買い占めていたり、福島のほうれん草食べない!なんて言っているのが分かったら、正直グッタリです。
もちろん、うちのオカン個人の問題もあると思います。ですが今回、私と同じような経験をしたアラサーが多いと感じています。私たちの世代とオカンの世代のリテラシーに差をつけるものは何か?最も大きな要因として考えられるのは、、やっぱり﹁インターネット﹂の存在です。ネットを使わないと、情報源が圧倒的に少ないです。TVと新聞と雑誌だけ。人によっては、週刊誌とワイドショーだけ。TVや新聞や雑誌は、基本的に一方通行なので、いったん受け取った情報に疑問を感じても、そのまま何となくうやむやになります。﹁今、仕入れた情報を、リアルタイムで別角度から検証する﹂ということができません。 もしかすると、その限られた情報源の中においては、選別をしているのかもしれません。しかしその量が基本的に少ない︵これまで通りの量である︶、し、また発信元が少ないが故にある程度﹁権威づけ﹂されているので、疑いようがないのかもしれません。
これだけで理解できるか?というと、まったく疑問が残ります。うちの親世代は、学生運動だってやった世代のはず。むしろ私たちよりも、社会の動きに対して敏感で、意識も高いのかと思ってました。そんな人たちが、あわててトイレットペーパーやら、とろろ昆布を買い占めるなんて、なんだかエキセントリックすぎませんか。よくわからないので、とりあえずオカンに質問してみました。
それで一応たどりついた、ひとつの解が、これです。
﹁オカン達の世代は、国や政治家を信用していない。 ︵それに対して不正を暴くマスコミや、異論を呈するスピーカーには、一定の信頼を置いている︶﹂ ﹁私達の世代は、誰も信用していない。 ︵しいて言えば、専門家とか、﹁自分が信頼できる人が信頼してる人﹂を信頼する︶﹂
オカン曰く、彼女たちの世代︵といっても、全員がそうではないと思いますが︶は、基本的に主要な情報は、国や政治家は隠しているはずだ と思っている。なので、公式ルートから来る情報—つまり、枝野さんが言う﹁物は安定供給されているので買い占めするな﹂等—は、基本的に信頼してない。なので、別ルートから入ってきた情報︵別ルートならなんでもいい、というところが謎なのですが、それは近所のオバサンの憶測かもしれないし、週刊誌の煽り記事かもしれない︶の方を信用する。 で、私たちの世代︵もちろん、これも人によりますが︶がどうかと言うと、別に国や政治家に全幅の信頼を置いているわけではないが、﹁主要な情報をひた隠しにするのは不可能だろJK﹂と思っている。誰が発信元であろうと、間違った情報が流れた場合、webを見ていればリアルタイムで﹁デマでは?﹂→﹁デマでした﹂と訂正されていくことを知っているため、最終的には正しい情報だけが残るだろうと思っている。
あとは、オカンがしきりに﹁水俣病とか﹂と言っていたので、ちょっとググってみたのですが、ああいうレベルの汚染を子供心にでも体験していたら、﹁放射能=ひどい汚染!!﹂という︵身を守るための︶飛躍が働いてもおかしくないかも…と妙に納得しました。
国や政府の言うことを鵜呑みにしない、というリテラシーまではあるのに、その次に﹁みのもんたの言うことは鵜呑みにする﹂みたいなところが、ちょっと︵いやかなり︶不思議ではあります。いずれにせよ、彼ら/彼女らには、枝野さんが言ったところで届かないようですし、﹁専門家の意見﹂が、webやブログで積極的に上がっていても、インターネットをしないので、目に触れる機会が少ないでしょう。現状では子供がweb等で得た情報を親に﹁もー!﹂とか言いながら伝えている形ですが、仮に﹁ほうれん草食べない﹂などと言っているのがオカン世代であるとしたら、webで﹁買い占めないで!﹂とたくさんRTするだけでは、あまり本質的な解決にはならないだろうな。と思ったりします。
それからもうひとつ。﹁私たちの世代は、誰も信用してない﹂というのは、私の主観ですけれども、割とそういう人が多いと思います。日常的にマスコミ批判が渦巻いているインターネッツを見ているわけだし、国や政治というのはもうずっと昔から遠い存在だった…となれば。 だから、この震災で﹁もう誰も信用できない!﹂とパニックになる人には、意外と若い人も含まれているんではないか。と想像しています。
自分と、大きな脅威の間に、﹁枝野さん﹂が毎日登場する今の私たちの現実は、全然﹁セカイ系﹂*1じゃないんですが…とはいえ、小さくて大きな決断を、毎日迫られている私たちの世代も、試されているような気がします。
マジメな話、今後、風評被害や差別を防ぐといった点では、みのもんたとか綾小路きみまろとか、イ・ビョンホンとかにも頑張ってもらいたいところです。
*1:「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性 (「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」であり、代表作として新海誠のアニメ『ほしのこえ』、高橋しんのマンガ『最終兵器彼女』、秋山瑞人の小説『イリヤの空、UFOの夏』の3作があげられた。「世界の危機」 とは全世界あるいは宇宙規模の最終戦争や、異星人による地球侵攻などを指し、「具体的な中間項を挟むことなく」とは国家や国際機関、社会やそれに関わる人々がほとんど描写されることなく、主人公たちの行為や危機感がそのまま「世界の危機」にシンクロして描かれることを指す…Wikipedia「セカイ系」より