トチノキ(読み)とちのき

改訂新版 世界大百科事典 「トチノキ」の意味・わかりやすい解説

トチノキ (栃/橡)
Aesculus turbinata Bl.


735m4m572540cm565471退4cm312沿湿

 Aesculus25A.hippocastanum L.horse chestnutA.chinensis Bunge


1709︿調4︿


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トチノキ」の意味・わかりやすい解説

トチノキ
とちのき / 橡

[学] Aesculus turbinata Bl.

トチノキ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉高木。高さ30メートル、径1メートル以上になる。冬芽は大形、頂芽は長さ約4センチメートル、長卵形で樹脂がある。葉は5~7枚の小葉からなる掌状複葉。小葉は倒長卵形で長さ9~30センチメートル、幅4~12センチメートル、基部はくさび状に細くなって葉柄につながる。明瞭(めいりょう)な側脈が18~22対ある。初夏、円錐(えんすい)花序をつくり、両性または雄性の花をつける。両性花は雄しべ7本、雌しべ1本。雄性花では、雌しべは退化している。萼(がく)は鐘状で不規則に5裂し、花弁は4枚で微紅白色、やや不同形で雄しべより著しく短い。蒴果(さくか)は倒卵円形、10月ころ熟して3裂し、中にクリの果実に似た光沢のある赤褐色の大きな種子がある。山間の沢地に生え、北海道南西部から九州に分布する。種子は食用に、材は家具、器具、彫刻材に用いる。トチノキ属は北半球の温帯に広く分布し、13種知られる。マロニエ(セイヨウトチノキ)が有名である。

[伊藤浩司 2020年9月17日]


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リフォーム用語集 「トチノキ」の解説

トチノキ

トチノキ科トチノキ属の落葉広葉樹。漢字では栃の木(橡)、英語では「Japanese horse chestnut」と表記する。フランス語名「マロニエ:marronnier」の西洋橡が近縁種である。材の性質としては、木理がやや交錯しており、肌目は緻密、硬さはやや軟かく、腐食耐久性、磨耗耐久性、共に弱い。細胞の並び方が特殊な為、板目面に著しいリップルマーク(さざ波模様)が現れることがある。粘りがあるので曲木に適しているが、一般的に利用価値の少ない木で、白太だけが利用される。主に家具に用いられる。

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百科事典マイペディア 「トチノキ」の意味・わかりやすい解説

トチノキ

トチノキ科の落葉高木。北海道〜九州の山地にはえる。冬芽は大型でよく粘つく。葉は対生し,大型の掌状複葉,小葉は5〜7枚で縁には鋸歯(きょし)がある。5〜6月,若枝の先に大型の円錐花序を出し,白色で紅色を帯びた4弁花を開く。おしべは長く湾曲。果実は倒円錐形で,9〜10月に熟し,3裂して赤褐色でつやのあるクリに似た種子を出す。種子は苦いが,さらして食べる。材は建築,器具とし,樹を庭木とする。

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事典・日本の観光資源 「トチノキ」の解説

トチノキ

(高知県香美市)
森の巨人たち百選」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内のトチノキの言及

【地名】より

…低湿地をあらわすアクツ(圷)という地名が全国的に分布し,大和川流域ではアキツ(秋津),アト(吾斗),アンド(安堵)に変転(佳字化)しているが,こうした地名の存在によって古代地理を具体的に探ることができる。同県内にはトチノキは今はほとんどみられないが,《太平記》に吉野で大塔宮がトチの実を食べた記述があり,トチ関係の地名が250例以上もあるとすれば,古代・中世の植生の復元も可能であろう。植物だけではなく服部,錦部,忌部,鏡作,石作,刑部,春日部など部民制にもとづく地名の分布によって,古代豪族の職種,勢力圏などを推察することもできる。…

【団栗】より


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※「トチノキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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