改訂新版 世界大百科事典 「ペティの法則」の意味・わかりやすい解説
ペティの法則 (ペティのほうそく)
Petty's law
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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国民所得水準の上昇に伴って、一国の産業構造が、第一次産業から第二次産業、第二次産業から第三次産業へ、その比重を移していくという経験法則。産業の三部門分割はフィッシャーAllan George Barnard Fisher(1895―1976)の先鞭(せんべん)によるが、この産業区分をもとに、イギリスの経済学者C・G・クラークは彼の実証研究『経済進歩の諸条件』(1940)のなかで、国民所得水準の上昇につれて、労働力の比重が第一次産業で低下し、第二次および第三次産業で上昇することを明らかにした。そのなかで、17世紀イギリスの経済・統計学者W・ペティの著作『政治算術』(1690)からの章句を引用し、ペティがすでに経済発展と産業間の労働力分布の関係に注目していたことを指摘して、この経験法則をペティの法則と名づけた。なお今日では、ペティの法則は、クラークの法則Clark's lawともペティ‐クラークの法則ともよばれている。
[三浦正史]
…第2次大戦後オックスフォード大学に戻り,53年より69年まで同大学農業経済学研究所所長を務めた。代表的著作《経済進歩の諸条件》(1940)においてクラークは,産業を第1次産業,第2次産業,第3次産業に区分し,経済発展に伴い一国の産業構造の比重が第1次産業より第2次産業へ,ついで第3次産業へ移るという経験法則を発見,〈ペティの法則〉(ペティ=クラークの法則ともいう)と名づけた。ほかに《人口増加と土地利用》(1967)など著書多数。…
…ペティは17世紀ころイングランドで農夫の賃金が1週4シリングであったのに,海員の賃金が12シリングであったという事実や,人口の大部分が製造業や商業に従事していたオランダの1人当り所得水準が他のヨーロッパ諸国より高かったという点に注意を払い,同一国内でも1人当り所得水準あるいは相対的生産性の高い第2次,第3次産業に労働力や資本が移動し,したがってその所得構成比も高まろうとする一般的傾向が発生するとみる。クラークはこれを〈ペティの法則〉といった。しかし,各国の国民所得統計や労働力統計を駆使して,世界経済的規模においてこの傾向を実証したのはクラークであるから,これを〈クラークの法則〉ともいう。…
※「ペティの法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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